ダーク・ファンタジー小説

Re: 危機を免れた一人の少年の物語 ( No.53 )
日時: 2016/12/11 18:49
名前: ブルーオーガー (ID: o4cexdZf)

俺は恐る恐るトイレの扉を開け、トイレをあとにした。
廊下には誰もいなく静寂に包まれていた。そんな学校に不気味さを感じていた。この状況でしかもこれが夜中だったらと思うと足がすくんでしまうだろう。
廊下を進んでいくと辺りに血が飛び散っていて床や壁にへばりついていた。だいぶ前に飛び散ったらしく血は乾ききっていた。

緊張が絶えなかったが、恐れるようなことは何もなかったらしい。何事もなく校内を探索し、最後の一部屋にたどり着いていた。

「うっ…うう………う……」

目の前の部屋からうめき声が聞こえた。
「だ…誰かいるんですか?」
そう尋ねてみたが返事は返ってこなかった。
多少戸惑ったが、心を決め扉のドアノブを捻った。



—————記憶の欠片がキラキラと輝いた。



部屋の中に男性が苦しい顔をして壁にもたれかかっていた。肩から血が出ていて酷いさまだった。
「大丈夫ですか!?」
ウイルスに洗脳された人の可能性もあるが、そんなことを考えるより前に体が動いていた。



—————隣同士で扉の前に立っている。



「うっうう…………」

男性が目を見開いた。
俺の方を見てこう言った。

「—ヒ…ヒデキなのか?」

「な…なんで俺の名前を知ってるんだ?」
「お前はヒデキなんだな…よかった……」
俺の言葉を無視してそう言ったが見知らぬ人にいきなり反抗するのもどうかと思い、出そうになった言葉を飲み込んだ。
「僕はサーディ…いや、なんでもない……タカノリと呼んでくれ」



—————目の前にある大きな紫の塊が姿かたちを変える。



「よかった…無事で……」
「あの…どうかしたんですか?」
相手のことは何もわからないのでそう尋ねた。
「いや…なんでもない…今までの発言は気にするな」
「あ…はい」
素直にそう返事をした。



—————紫の塊が人間を滅ぼす。そう聞こえた。