ダーク・ファンタジー小説
- Re: 危機を免れた一人の少年の物語 ( No.54 )
- 日時: 2016/12/24 16:02
- 名前: ブルーオーガー (ID: o4cexdZf)
「ヒデキすまないな………こんなことになってしまって……すべて僕のせいだ。本当にすまない」
「いや、なんで謝るんですか?別にタ…タカノリさんのせいでこの状況なったわけではないですよ。誰がこんなことをしたか知りませんが、タカノリさんには関係のない話ですよ」
急に胸が苦しくなった。
僕もこの状況を作る一環に協力していたんだ。なんて言える状況ではなくなってしまった。そのことは心の片隅にそっと置いていくことにした。
「あ…まあ、そうだな。すまない、おかしなことを言ってしまって……今のことは忘れてくれ。あと、僕の名前にさんなんて付けなくていいし、敬語なんか使わなくてもいいから気軽に接してくれ」
「わかり……わかったよ、タカノリ」
照れくさそうにそう言った。
そんな顔を見れてなんだかほっとした。だがその表情は無理しているようにも見えた。まあ無理もないだろう。周りのすべての人が自分の敵になってしまったのだから。
拳を強く握りしめる。
「さて、じゃあヒデキ僕について来い」
ヒデキの小さな手を握り、全速力で学校の外へ向かった。
まるでジェットコースターにでも乗ってるかのようにスリルがあった。狭い校舎の中を右へ左へと曲がるは階段を急降下したりとぶつからないか心配だったが、そんなことを思っている内に学校の下駄箱に着いた。
「じゃあ靴に履き替えて」
「な…なんだよその速さは……タ…タカノリってふ…普通の人間じゃないよな」
息を切らしながらそう言った。
「ああ、まあこれが僕の自信作だよ。僕はいろんな科学のことを研究して運動エネルギーとか力学的エネルギーなんていうものを操作したりして、便利なものを開発してるんだよ」
「そんなことニュースで聞いたことないんだけど。まさか裏でこそこそと研究してる的な?」
「まあそういうことだね」
———研究していることがばれると罪になるから
口は開かずそう言った。
「で、タカノリはどこに行くつもりなの?外も洗脳した人しかいないけど」
「まあ安全なところがあるんでね。そこに二人で暮らそう」
———そして、いつかはNZUKSを滅ぼす
「まじかよ、でも本当に安全なのか?」
「ああ、大丈夫だ。さあ、早く行こう」
草原を走るチーターのように学校を抜け出した。