ダーク・ファンタジー小説
- Re: 危機を免れた一人の少年の物語 〜ウイルスの脅威〜 ( No.7 )
- 日時: 2016/10/16 17:26
- 名前: ブルーオーガー (ID: o4cexdZf)
「ヒデキー!?友達は帰った?」
そう尋ねてきたのは、俺の姉だ。
姉は今大学二年生。姉は俺とは違い成績が優秀だ。部屋もきれいで、勉強熱心でツッコミどころがない完璧な人だ。よく母は姉の名を出し、俺に勉強させようとする。
だが、姉は姉で俺は俺だ。
違う人間なんだから仕方がないだろう。同じ親だが、細胞の組み合わせが違うから—と何度も言い訳をした。
二年生の時、理科で細胞についてのことを勉強した覚えがある。すこしは勉強してるアピールをしたつもりだ。
「うん、もう帰ったよ。何でそんなこと聞いた?」
「え、……ただ単に、うるさかったから………。大学は大変だよ……宿題は多いし、内容が複雑で難しいしね。だから、集中してやらないと頭に入らないの。ヒデキもいずれ行くことになるんだから………勉強しないとね♪」
笑顔を見せながらそう言った。その笑顔には裏があるんだろう。勉強の話を持ち込むと、いつもおきまりの台詞を笑顔と共に言う。
勉強していない俺にとってはすごく心に突き刺さる言葉だった。
「でも、たまには休憩しないとね………ずーっとやってたら、それこそ集中できないよ」
「そうやって言い訳して逃げてちゃ駄目だよ。今年の最後には受験もあるんだし…………まあ、無理にはいいけどね。私とは関係ないし。じゃあね♪」
姉はそう言い、自分の部屋へ落ち着いて戻っていった。
後ろから見る姉は、なんだか頼もしい姿だった。俺は「流石だ」としか言えなかった。
まあ、あんな姉は気にせず………
ゲームを片手にリビングに向かった。
すぐさま冷蔵庫に向かい、アイスを手に取った。
テーブルに向かい、椅子に腰掛けた。ゲームをやる合間にアイスを食べる。それが、俺のスタイルだ。
休日はこんな感じで、あっという間に終わってしまう。
ゲームばっかりやっているから、一日はもの凄く短く感じる。でも考えてみれば、充実した時間を過ごせたといってもいいだろう。
何もしないよりは、いいだろう。
それが俺の考えだ。
ふと、宿題があったことを思い出した。
今日と明日の宿題は新研究とプリントだったはず。だが、いつも新研究はやっていない。
なぜなら面倒くさいからだ。
このことは、誰もが感じているだろう。そう思った人の中で、やろうと思う人の気持ちがまったく分からない。
—人生を歩むなら、楽しもうよ。
そう言ってやりたかった。