ダーク・ファンタジー小説
- Re: 異常性癖者のキロク【リメイク版】 ( No.11 )
- 日時: 2016/04/02 13:49
- 名前: 紫音 (ID: HKLnqVHP)
EpisodeA a sequel_後日談
「うぇぇ…人多すぎて吐きそう…」
現在場所はかつて通っていた地獄と言う名の高校の校門前。
約半年着ていなかった制服に袖を通しまたこの地に来たのにはちゃんと理由がある。
「奏音、良い加減行って来いよ」
そう兄様から言われたのが昨日の夜。
「…どこに?」
「とぼける気か、お前」
はぁ、と呆れたように溜息を吐く。
「分かってるよ。どうせ学校に退学届出しに行けって言うんでしょ」
「そうだよ。お前さもう18歳なんだから、いつまでも駄々こねるのやめろよな」
「だって…あんな生身の人間の多い場所に行きたいとは思わないよ」
行ったらオリとか、他の元クラスメイトにも会う可能性が高い。と言うか絶対会う。
「明日行け。行かなかったら当分飯抜きにするぞ」
「死ねと申すか?」
「死にたくないならちゃんと行くこと」
そう言われて冒頭に戻るわけですよ。
吐きそうになりながらもちゃんと学校に来た私を褒めて欲しいくらいだ。
「あれ、藍沢奏音じゃない?ほら、あの不登校児の!」
「藍沢ー?…あぁ、あの桐生センパイに無理やりキスしたあの子ね!」
どこからか女子生徒の喋り声が聞こえる。
周りの生徒も私を見てクスクス笑っている。
「藍沢奏音だ」 って。
指をさされて笑われるのは慣れている。視線が背中に刺さる。
下を俯いて早足で歩いていく。
人々の視線がとても気持ち悪い___。
「君みたいな成績優秀な生徒が減るというのはとても残念なことだよ」
寂しくなった頭を撫でながら校長はそう話す。
心にも無い言葉をよく言えるよ。この爺さんは。
「…では。私は失礼いたします。今までありがとございました」
心で思っていることは口にせず、別の言葉を発し、頭を下げる。
顔を挙げると急いでこの空間から脱出する。
校長と、私以外誰もいないあの最悪な空間からやっと出れた。
校長室の周りには幸い、人はいなかった。
でも玄関に近づけば近づくほど人は多くなっていく。
「あれ…ノン、ちゃん…?」
その声を聞いた瞬間に動いていた足が止まる。嫌な汗が額から吹き出る。
「あ、やっぱりノンちゃんだー。覚えてる?」
何て言いながら私の前にやって来る【 悪魔 】。
「私だよ、かお…」
「知らない」
彼女の言葉を遮る。聞きたくもない、君の名前は。
「え…?」
顔を見なくても声だけで落ち込んでいるということはわかる。
「貴方の事なんて知りませんので。さようなら」
そう言って彼女の前から去って行く。
校門に出ると流石にもう登校する生徒の姿は見当たらない。
さようなら、嘗ての友人。さようなら嘗て通っていた学校。
さようなら。高校生だった藍沢奏音。
EpisodeA a sequel_後日談 fin