ダーク・ファンタジー小説
- Re: 異常性癖者のキロク【 参照300突破感謝!! 】 ( No.30 )
- 日時: 2016/05/17 05:34
- 名前: 紫音 (ID: HKLnqVHP)
EpisodeD 秋沢拓真 Ⅰ
放課後。体育館裏。夕暮れの中後輩と二人っきり。後輩の方は俺を見て少し頬を赤めらせている。
やや濁った色の瞳には俺の姿が映っている。
「秋沢センパイの事が好きです。よかったら私とつきあ_」
「ごめん。俺、君の事興味ないいだ」
いくら見た目が可愛くたって。いくら性格がよくったって。いくら純粋無垢だって。目の色が好みでなければ俺は誰とも付き合わない。
・
翌朝、後輩を振ったという噂は俺のクラス中に広まっていた。
朝から何人にも「振ったって本当か」なんて聞かれた。
全く。後輩振ったくらいでそんな騒ぎ立てんなよ。と思いながらもしっかり答えるところは我ながら素晴らしいと思う。
クラスメイトからの質問攻めがやっと終わり、自席で本を読んでいる時に、
「はよ、拓真」
「お前、また告白されたって聞いたけど…本当か?」
という声が聞こえた。
目の前を見ると見慣れた顔が二つ、並んでいた。
「おぉ、おはよう。梨音、玲愛」
小学校から同じクラスの藍沢梨音。成績優秀でスポーツ万能。親を早くに亡くしたせいで現在中学2年の妹たちと暮らしている。
俺と同じ異常性癖者。性癖は違うけど同じ先天性。
「そんなに羨ましがるな、梨音。目の色が濁った奴だ。あんなのと俺は付き合わない」
「寧ろ拓真がそんなんと付き合ったら次の日にはこの世が終わるかもな」
合崎玲愛。こいつは高校に入ってからの友人。
後天性の異常性癖者。相変わらずこいつの性癖がどんなのかが思い出せない。
「ホント、拓真って目の事しか頭にないよな」
「オキュロフィリアだもんな」
オキュロフィリア_眼球収集性愛。それは俺の性癖のコト。
眼球を舐めたり、集めたりする性癖。流石に俺は舐めたりしないけど、収集はしているな。
- Re: 異常性癖者のキロク【 参照400突破感謝!! 】 ( No.31 )
- 日時: 2016/06/02 07:15
- 名前: 紫音 (ID: HKLnqVHP)
EpisodeD 秋沢拓真 Ⅱ
「ただいま」
学校も終わり、誰もいない空っぽの家に帰る。
一人暮らしだから家には誰にもいない。
自室の電気をつけ部屋中に置いてある【 瓶 】をみて頬を緩ませる。
一つ一つの瓶を手に取り軽く口づけをする。
瓶の中身はホルマリン漬けされた【 色とりどりの眼球たち 】。
黒は黒でも人によって色は変わる。
カラーコンタクトを付けていなくても元の色が青い目。
数多くの【 眼球 】に囲まれて生活するのはとても素晴らしいコト。
高校入る前は親と暮らしていたけどこんな性癖のせいで親からも嫌われてたしこんな風に眼球収集は出来なかった。
俺の趣味を邪魔する奴は今ここに居ない、ただ一人の住む家と言う名の城。
【 眼球に——自分の好きな物ばかりに囲まれての生活はとてもスバライしい 】