ダーク・ファンタジー小説
- Re: Alice in crazy land ( No.14 )
- 日時: 2016/06/21 20:00
- 名前: きるみー (ID: t/DqlZw8)
ガサッ、ガサッと木の葉が擦れる音、荒い呼吸音が、混じり合い、耳元で不快な音をたてている。
落ち葉の積もった土を踏みしめる私のローファーは、すでに泥だらけになっていた。
服から露出した手足も、生い茂るいばらの棘で、細かい傷が沢山ついている。
でも、私は歩き続けなきゃいけないんだ。
なにがなんでも、裁判所に辿り着いて、現実に帰らなくちゃ。
家族が…大切な人が、待ってるから。
早くもくじけそうになった心に、必死に説得していると。
「…!」
道が一気に開けた。
突如光がさしこみ、目が眩んだ。
目の前に広がっていたのは、ただの砂地。
けれど、小さな可愛い家と、『トウィードル双子のhappy home』、と、くるくるした文字で書かれた看板があることから、そこが第一の希望の場所だとはっきり悟った。
喜びや、疲れでふらふらしつつも、家の扉の前に立つ。
そして、勇気を出してノックをしようと手を振り上げた時だった。
「だ〜れ〜??」
「っつ…!?」
突如後ろからかかった声に、白ウサギの時と同様、飛び上がりそうになるも、ぐっと驚きをこらえる。
ゆっくり振り返ると、目に入ったのは、くるくる綺麗にカールした赤毛だった。
陶器のようになめらかな肌。
サファイア色に光る、真ん丸な瞳。
ふんわりした深紅のエプロンドレスを身にまとっている。
まるで、本物の人形のようだ。
私が昔持っていたフランス人形に、どことなく似ている気がした。
「だ〜れ〜?ねぇ、ねぇ〜」
少女は、にっこりと笑みを《口元だけに》浮かべ、首を落下させる勢いで、傾げさせた。
「え、えっと…その…」
私がしどろもどろしていると、またもや横から声がかかる。
少女の甘ったるい声に似た、ボーイソプラノ。
「キミ、アリス??」
横には、少女そっくりの少年が立っている。
服は同じ深紅色の吊り掛けズボン。
彼の口にも、まったく同じ笑みが浮かんでいた。
「あ、は、はい…。アリスです」
少女の横へとたった少年は、「ねぇ、ダム。アリスだって〜!」、と、どこか嬉しげに彼女へ話しかけた。
少女(多分、トウィ—ドルダム)も、嬉しそうに返答を返す。
「うんうん、ダムも聞いた〜。ディーもビックリしたよね!」
「ビックリした、ビックリした〜!」
お互いの世界に入った双子を、慌てて呼び戻す。
「な、なんで、お二人は私の名前を…!?」
くるり、と同時にこちらを振り返る双子。
私は、またも悲鳴をあげかける。
「アリスは、ここで有名だもんっ!♪」
ダムが朗らかに叫んだ。