ダーク・ファンタジー小説

Re: Alice in crazy land 【参照100感謝!】 ( No.18 )
日時: 2017/07/31 23:21
名前: きるみー (ID: .r7VG6cg)

「「アリスが死ぬってこと、聞いちゃった!」」




「…え?」
口から、純粋な疑問が零れた。
「有名な話だも〜ん♪」
「ね〜」
双子は丸い宝石のような瞳を≪無≫の言葉一色に染まらせて、私の様子を伺ってきた。

「なんで?」

私がそう口にする時、宝石が、無機質なガラスに変わった。
「なんででしょう、ダムは知らない」
「なんでだろう、ディーは知らない」
ざわざわと、森の木の葉が擦れる音がする。
空は、だんだんと闇に塗り込められていた。

「それはね、アリスが」

「女王様に招待されたから」

「アリスはお城でとっても素晴らしい接待を受けました」

「でも、幸せで幸福な時は、すぐ終わる」

「アリスは死んだ」

「死んだ」



「「女王様を、裏切ったから」」


耳鳴りが激しい。
目の前のボロ人形たちの言う言葉が理解できない。
私は女王様に招待されたことなんてない。
だからきっと、これは人違い。
私は死なない。
絶対に。


震える私を前に、双子はゆっくり顔を空へ向けた。
真っ黒な雨雲。
いや、あれは…カラスの群れ?

「カラスが」

「カラスが来た」

双子の顔が、心なしか青白い気がする。

「嫌だ」

「嫌だね」

「死んじゃう」

「死んじゃうよ」

「バラバラ?」

「バラバラ」






「「あああああああああああああああああああああああああ」」




双子は地獄の底から沸き起こるような悲鳴を上げる。
私はそれに耐えきれず、どさりとその場に崩れ落ちた。



「ぎ、ぁ」

「ぐ…ぎぎぎ」

烏の大群が、あっという間に絡繰り人形を囲い込む。
騒がしい羽音の間からは、人形からは普通、聞こえるはずのにだろう、肉がぐちゃぐちゃと潰れる音、小刻みでリズミカルな、骨が折れる音が響き渡っていた。

「あ…ぁ…」

私はあまりの惨劇に目を開けていられず、両手で顔を覆った。

視界が暗くなる。

「「アリス」」

何故かこの暗闇の中でも、双子の声が脳を激しく揺さぶる。







「「お前を、許してやるもんか」」






「「人殺し!!!!!」」