ダーク・ファンタジー小説

Re: Alice in crazy land  ( No.21 )
日時: 2017/08/03 18:51
名前: きるみー (ID: .r7VG6cg)

アリスは走り続けている間も、絶えず恐怖に見舞われていた。
不思議の国…いや、狂気の国の住人たちが、アリスを殺すため、追いかけてくる。
どうして、私がこんな目に遭わなくてはならないの。
ねえ、神様。

アリスが、そう自らを悲観した時。

目の前の道が一気に開けた。
まるで、ここをお通り、とでもいっているように分かれた木々の道を辿っていくと、賑やかな音楽が耳に入る。
アリスがいつの間にか立っていた広場の中央には長テーブルと沢山の椅子が置かれ、テーブルの上には、一か月たっても食べ終えれないであろう量のケーキや紅茶が、ごちゃごちゃに並べられている。
楽しいミュージックの中、お茶会を開いていたのは、大きなシルクハットを被った、スーツ姿の青年と、両耳の千切れた兎…のような人物だった。
アリスは恐る恐る、二人のもとへ近づくも、彼らは、たいして彼女のことなど、気にもしていないようだ。
その淡白な態度に僅かないらつきを覚えながらも、心はどこか安心で満たされている。
アリスはそっとそばにあった椅子に座った。
長く走り続けていたので、少し足を休ませたかったのだ。
それに、お腹も空いている。
こんなにも沢山の椅子とお菓子があるのだから、ちょっとくらい休ませてもらっても…。
アリスがそう思った刹那。
帽子をかぶった青年が、初めて口を開いたのだ。

「最近のオンナノコってモノは、礼儀がないのかな」

アリスは固まって、彼…もとい、イカレ帽子屋を見つめた。