ダーク・ファンタジー小説

Re: Alice in crazy land ( No.3 )
日時: 2016/05/20 20:29
名前: きるみー (ID: oK2pW2ZL)

「っ…!?」

何処からか、大きな怒鳴り声が聞こえてきた。
驚嘆し、顔を上げ、辺りを見回すと…。
目の前の霧に隠れて、誰かがこちらへと駆け寄ってくる姿が見えた。
その姿を良く見ようと、目を凝らした時。

「邪魔邪魔邪魔あああぁあぁあ!!!」

何者かが一瞬で私の目の前に走り込み、額に足蹴りを食らわせてきたのだ。

「きゃああああぁあぁ!!」

私は、地べたへと倒れ込む。

「あんたさぁ!道の真ん中で何やってんの!?交通ルールってモンを知らないわけ!?」

足蹴りを食らわしたことなど忘れたように、少女は怒鳴り散らす。
…というか、此処ここ、郊外でもなんでもないのに…。
「…っひっ!?」
変な悲鳴が喉元からほとばしり出た。
「…?」
少女は訝しげな顔をする。
「えっ、あっ、あ、み、耳、みみみ…」
彼女が動くたびに、頭の上で揺れるモノ。
それは、紛れもなく頭から生えている、白いウサギの耳だったのだ。
それに、格好だって変わっている。
ワインレッドのベストに、黒いバルーンズボン。
大きなパンプスに、ズボンから生えた尻尾。
肩には、頭ほどもある大きな懐中時計が、チェ—ンで吊り下げられていた。
唖然とする私をじろじろと眺めていた少女は、「あんた、変わった格好ね…」、と、変なものを観察するように呟いた。
貴方に言われたくない、という言葉をぐっと飲み込む。
「リボンカチューシャにカールの金髪…、青のエプロンドレスに、縞タイツ、か…」
「…」
すると、彼女は私と紅い目を合わせてきた。
「あんた、名前は?」
「…あ、有栖ありす
私の声は恐ろしいほど掠れていた。
現状をまったく理解できない。
「アリス、か…」
そして、彼女は私に向けて言った。