ダーク・ファンタジー小説
- Re: 怖い恐い話 ( No.3 )
- 日時: 2017/05/20 02:02
- 名前: 兎妬 (ID: 2XDHCgd7)
『紅い女』
いつからだろうか、思い出せないほど前からになる。
俺はマンションに一人暮らしをしている。高校を出て、両親がなくなり叔母に引き取られた俺は、大学生になり一人暮らしを始めた。今時、よくあるような話だ。ただ、一つだけ違うことがある。いや、これは今の時代は多いのだろうか。俺の上の階の部屋には「佐藤さん」という20代くらいの若い女性が住んでいた。それがいつからかはわからないが、いつの間にか住んでいた。佐藤さんは黒髪のロングに、赤いワンピースを着ている。そのせいか、みんな少し不気味に思っている。でも、顔はそこまで悪くなくお姉さんのような風貌をしている。俺も少しだけ佐藤さんのことは怖いが、よく挨拶をしてくれるのでそこまでほかの住人のように不気味には思わなかった。
ある日、大学で嫌なうわさを聞いた。俺が住んでいるマンションの近くで通り魔らしき人物が出たらしい。通り魔はいきなり後ろから襲い掛かり、目の前の人物を切り付けるという。しかも、すぐ襲うのではなく少し後を付けて狙った人に恐怖を与えてから襲うらしい。そして何より俺が耳を疑ったのは、その通り魔は黒髪のロングで赤いワンピースを着ているらしい。佐藤さんの容姿にそっくりというか、そのまんま過ぎて困惑した。確かに、少し雰囲気が暗くて皆不気味がっていたが、本当に佐藤さんがやったのだろうか?あの人が人を切り付けるなんて、想像ができない。そんな不穏な噂が頭の中で渦巻きながら、帰る支度を済ませた。大学からマンションまでは徒歩30分くらいかかる場所にあって、もちろん徒歩で通っている。しかも、いつも授業が終わるとサークルの仲間と遅くまで活動して一人で帰っている。嫌な噂を聞いて、一人で帰る気はしなかったが生憎同じ方向の友達がいないので、仕方なく一人で帰ることにした。
もうすっかり陽が落ちて、街灯も灯り始めた。この通りは、夜は人が少ないが街灯のおかげで割と明るい。それに少し安堵しながら、それでも足は早めた。が、耳を澄ましてみると明らかにいつもとは違う音が聞こえた。足音がなぜか多い、自分以外の足音が耳に入ってくる。いくら自分に、これは違うと言い聞かせても無情にも足音ははっきりと聞こえてくる。こういう経験は少なくどうしたらいいのかわからず、足の進みは止まらないが頭の中はパニック状態になり、思考が止まりかけている。どうすればいいんだ、なにをどうすればいいんだ。こういう時、振り向いていいのだろうかそれともだめなのかさえ判断できなくなってきてしまっていた。
そこで、俺は足をとめた。そして決心を決めて思いっきり振り返ってみた。すると、そこには驚いた顔をした佐藤さんが立っていた。何をしているのかを聞くと、夕飯の材料を買った帰りだそうだ。よくよく考えてみると、確かに佐藤さんと住んでいるマンションは一緒なので、帰り道は一緒になるはずなのだ。
その後、納得した後に佐藤さんと一緒に帰った。何故か、その日佐藤さんとマンションに帰るときどこか懐かしい気持ちになり安心したのを今でも覚えている。
この物語はフィクションです、自作の作品です。
こんばんは。どうも、兎妬です。
今回の話は、怖い話が苦手な方でも読みやすかったのではないのでしょうか。とてつもなく怖い話も良いですが、少しヒヤッとするような物語なんかもリアリティがあって私は好きです。
それと、更新ペースが遅くてすみません。PCの充電ができない状態が続いていました。(今は直りました)
今後は少しだけ更新を増やしていけたらいいと思います(;'∀')
(現在Twitterのアカウントを載せるか検討しております、そちらに意見やアドバイスを募集した方が良いのでしょうか…とりあえず検討中です)
では、ここまで長々と付き合って下さりありがとうございました。