ダーク・ファンタジー小説

Re: 怖い恐い話 ( No.9 )
日時: 2017/05/21 19:36
名前: 兎妬 (ID: 2XDHCgd7)

『玩具』

わたしはしいちゃん、さっちゃんを守るためにつくられたぬいぐるみ。さっちゃんのおばあちゃんのみこさまが、しいちゃんをつくったの。さっちゃんはしいちゃんをおもちゃとしてよくあそんでいる。しいちゃんは、さっちゃんにあそんでもらうのがとっても好きだったの。しいちゃんであそんでるときのさっちゃんは、いつも笑っているの。まだ小さいさっちゃんはしいちゃんを投げたりするけど、しいちゃんはさっちゃんが大好きだから、きにしないの。
さっちゃんがちゅうがくせいになったときに、おばあちゃんのみこさまが死んじゃった。さっちゃんはしいちゃんをぎゅってしながら、なんどもおばあちゃんって言ってた。さっちゃんはおばあちゃんが大好きだったから、とってもかなしんでた。しいちゃんはその日、ゆめでさっちゃんにだいじょうぶだよって言ってあげたの。さっちゃんはそれでも泣いてたから、しいちゃんはさっちゃんがしてくれたようにぎゅってしてあげたの。ちゅうがくをそつぎょうするまで、さっちゃんはそれから毎日しいちゃんをぎゅってしながらねてた。
さっちゃんがこうこうせいになって、みこさまが言っていたとおりになった。みこさまは、さっちゃんはこうこうせいぐらいになったら、わるいものに近づくようになるって言ってた。みこさまが言ってたとおり、さっちゃんはこわいてれびを見るようになったり行っちゃいけないばしょに行くようになった。でも、みこさまはそれを止めないでって言ってた。きっとさっちゃんはお友だちをつくっていっしょに行くようになるから、ただ守ってあげてって言われた。だから、しいちゃんは言われたとおりにさっちゃんにだいじょうぶって言って守ってあげてた。さいしょはとってもおどろいてた、前にもしいちゃんはゆめにでたんだけど、おぼえてなかったみたい。
なのに、さっちゃんはしいちゃんをすてた。ひとりかくれんぼ…だったっけ、そう言ってさっちゃんはしいちゃんのおなかをはさみできった。なかみのわたを取って、お米を入れてお友だちのつめとじぶんのつめを切って、しいちゃんのおなかにいれた。そして赤い糸でしいちゃんのおなかをぬった。さっちゃんはふわふわのわたがはいってたしいちゃんが好きって言ってたのに、どうしたのかな。かえたくなったのかな、そう考えていたらさっちゃんはしいちゃんをつめたい水の中になげた。つめたい、つめたいよさっちゃん。どうして?しいちゃんをあらうときはもっとあたたかいおゆだったのに、つめたいよさっちゃん。よかった、さっちゃんはしいちゃんをつめたい水から出してくれた。でもさっちゃんはしいちゃんをおいて、お友だちとどこかに行っちゃった。まってさっちゃん、おいていかないで。さむいよ、とってもさむいよ。さっちゃんたすけて、たすけて。
よくわからないけど、しいちゃんはなぜか歩けるようになっていたの。だからさっちゃんをさがして、おうちの中をあるきまわった。さっちゃんどこ?おいていかないで、さむいよ。かわかして、とってもさむいの。でもさっちゃんはどこにもいないから、しいちゃんはさっきのばしょにもどった。そしたらいきなり、ガクンってなってうごけなくなっちゃった。そのあと、さっちゃんがもどってきてくれた。よかった、さっちゃん。さっちゃんはしいちゃんをかわかしてくれるんだ、よかった。そうおもったのに、さっちゃんはしいちゃんを刺した。カッターでお友だちもしいちゃんを刺した。そしてさっちゃんは外にでて、しいちゃんを…火の中にいれた。あつくてあつくてあつくてあつくて、くるしかった。しいちゃんがきえていくのがわかったの、でもそしたらさっちゃんを守れなくなるの。さっちゃんたすけて、これじゃしいちゃんはさっちゃんを守れなくなっちゃうよ。さっちゃん、さっちゃん。


さいごに、しいちゃんはさっちゃんの夢に出ることが出来た。さっちゃんはふしぎそうにこっちを見てた。さっちゃん、大きくなったね。美人さんになったね、とってもきれいだよ。私も、大きくなったんだ。漢字も分かるようになったよ。それでね、さっちゃん。あのね、私さっちゃんに聞きたいことがあったの。私、ずっとさっちゃんを守ってきたのに…

「どうして私を鬼にしたの?」


さっちゃんは私で遊んでいるときみたいに、笑って答えてくれた。


「そんなの、あなたが玩具だったからよ」

この物語はフィクションです、また自作の作品です。

こんばんは。どうも、兎妬です。
今回の物語はしいちゃん視点を書きました。みなさんも、幼いころは大事にしていた人形やぬいぐるみを大人になってからこんな風に使っている方、または捨ててしまった方がいらっしゃるのでは?物には八百万やおよろずの神が宿っているといわれています。皆様が使っているものにもしいちゃんのように感情を持っているのかもしれませんね。
しいちゃんは幼い子供の様なイメージにしているので、今回はひらがなを多く使用しました。なので、人によっては読みにくい方がいらっしゃると思います。そこは物語の雰囲気を重要視しているので、ご容赦ください。(打ち込む側としては、とても楽だったとは口が裂けてもいえない)
あ、ひとりかくれんぼの手順は文字数などの関係で省略しています。また、手順が少し違っているかもしれませんが、私が知っている手順と違うのかもしれません。それもご了承ください、どうやらやり方に色々な方式があるようです。
それでは、ここまで読んでくださりありがとうございました。