ダーク・ファンタジー小説
- Re: 悪魔召喚物語〜悪魔が囁いたあの夜〜 ( No.2 )
- 日時: 2016/12/25 19:30
- 名前: 上野 正春 (ID: 2QWuZ1bi)
- 参照: 修正
【section 1/第一章】
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彼は何時だって優しく、また賢かった。
紳士的対応で異性を惑わせる事も易々とやってのけた。
そんな瀟洒とも言える彼の印象は皆口を揃えて言うのです。
「何をしでかすか分からず、常に恐怖を与えられた」___と。
ふふ、可笑しいでしょう?
***
涼しい風がそよそよと流れていき、チリチリチリと声のする、夜の更けたとある日です。
彼__ヴァルプ=ミーティヌはいつもの様に空を眺めておりました。
今日の空は、綺麗に晴れており、星が満足気にキラキラと光っていました。
そこまで書き留め、黒色のペンをポイッと放り投げる。
影の主は恐ろしいくらいの美貌の持ち主であり、何処か威厳を感じさせる...そんな印象を
殆どの人に与えるでしょう。
彼の名前は登米太 勇ートメ ダ イサムー。勿論、ハンドルネームである。本名は誰にも明かさない
というのが彼のモットーであり、本名は誰も知らないのです。
本人自身が名前を忘れているのではという噂も少なからずありました。
勇の居る場所は、酷く暗く、また汚く、不潔という言葉が似合っているでしょう。
光源は乱暴に閉められた大きな遮光カーテンの隙間から、少し射し込む日の明かりだけで、
じめじめとした雰囲気を漂わせるかの様です。
「......題名の割には内容が綺麗過ぎるか?否、どんでん返しというのも狙える..」
勇は原稿用紙に一枚を手にし、ボソボソと呟くようにして言いました。
表情は穏やかな声色とは思えない程に歪んでおり、所々皺が寄っています。
勇の瞳には短く綴られた文が怪しく映っていました。
『悪魔召喚物語』
***
目を覚ます。
暗闇の中では、その綺麗に澄んだエメラルド色の瞳でさえもギラギラと妖しく光りました。
.........ポチッ。
手探りで照明のスイッチを探り当て、強く押しました。
途端、パッと明かりが付いて、目をパチパチせざるを得ないくらいの眩しさが襲ったのです。
「......っう...本当、眩しいよ」
姿を見せたのは中学生というには幼く、小学生と呼ぶにはあまりにも大人びた少年でした。
少年はベッドの上に座っては、茶色の癖付いた髪の毛を右手でモジャモジャに掻き乱し、
エメラルド色の瞳はまだ半目で、眠たそうに焦点も合っていません。
ふと、少年が床を見ると奇妙なものが有ったのです。
赤色のインクで画かれたのだろう、深紅色の魔法陣の様なものが有るではありませんか。
少年はびっくりしてベッドから転げ落ち、奇声とも言える叫び声を出しながら、
魔法陣の様なものへ頭から突っ込んで行きました。
「っあ!?..うわあぁぁぁぁああああああああっ....!!」