ダーク・ファンタジー小説

Re: 生まれてくれて、ありがとう ( No.4 )
日時: 2017/06/15 20:06
名前: 白雪姫 (ID: CXVRcwYu)

「 っ、ぅわぁ」

春香は勢いよく振り返り、井戸の方を見た。
先程と何も変わってない、ただの井戸だ。

「気のせい…か?幻聴でも聞こえだしたかな?」

「気のせいじゃないヨッ。ココにいるヨッ。」

「ぅ、うわぁぁーー!」

なんで?何が、どうしてなんだ?どうゆうことなんだ?
目の前にあった井戸の中から、可愛らしい少女が出てきた。
なんで?何であんなところに…あの子は誰?どうやってあそこに…。

(いや待て、そんな事よりも…)

「ねぇ君、そんなところにいたら危ないって。早くこっちに!」

俺の記憶が正しければ、あそこの井戸はかなり深い。底なしかってくらい。
それなのにあんなところにいたら落ちて、死んでしまう。

「早くっ。危ないよ。」

少女はキョトンとしてから、すぐににこっと笑い、

「アリガトッ♪そんなコトきにしなくてイイのニ〜。」

少女はそう言うと、ピョンっと井戸から出てきた。
少女は7歳くらいで、全身黒い服を着ていた。ただ一つ、首元を飾るリボンだけが黒い服に映える白色をしていた。

「エート…ちょっとまっててネ。ウーんと…。」

服をゴソゴソと漁り、何かを探しているようだった。
俺は突然の少女の登場に、ただ呆然とするしかなかった。

「アッタ!エーットネ…。ハイ♪おまたせしましタ。いくヨ?
はじめまして。ハルカ。サキは、ハルカをタスケルためにやってきましタ。
サキとイイます。コレから、ヨロシクおねがいしまス。」


え、え〜っと?つまり、どゆこと?

「え?え〜っと、サキ、ちゃん?はどこからきたの?
お母さんか、お父さんはいる?お家まで送ってあげようか?」

俺が考え出した答え。
恐らく、迷子か何かだろう。井戸の中にいたのは、かくれんぼか何かしていたから。7歳の子供なら、壁に捕まって落ちないでいられるだろう。

「アッ!ハルカ、まさかシンジてないノ?ヒドイっ!ホントなんだヨッ!」

そんなこと言われたって。ん〜。どうしたらいいんだろう?
あれ?でも…

「俺の名前、何で知ってるの?」

そうだ。サキちゃんは最初から俺のことを ハルカ と呼んでいた。
ただの迷子の子供なら、どうして俺の名前を知っているんだろう?