ダーク・ファンタジー小説
- Re: 生まれてくれて、ありがとう ( No.9 )
- 日時: 2017/01/28 21:05
- 名前: 白雪姫 (ID: CXVRcwYu)
「ハルカ、ハールーカー。オキテ、よるになっちゃうヨォ。」
サキちゃんが…見える…。
背中が、冷たいな…。俺…何してたんだっけ…?
「オハヨウ、ハルカ。いいゆめミレタ?」
「…サキちゃん、俺…。何が…ハッ!そうだ!首が…。」
(取れてるなんて、冗談だろ?)
春香は急いで首に手を回した。どうやら、首は繋がってるらしい。
「よかった…。でも、さっきのは、夢…なのか…?」
「ウン!ゆめダヨー。サキがみせてあげタノ。コレで、シンジくれタ?サキが死神だって。」
とても10歳児には見えない黒い笑みを浮かべたサキちゃんが、よくわからない言葉を放った。
「は…?サキちゃんが見せたって、どうゆう事?」
自分でも、顔が引きつるのが分かった。
訳が分からない。こんな子供のサキちゃんが、背筋が凍る程の黒い笑みを浮かべていることが。サキちゃんの、言っていることが。
「いったでしょ?サキは死神だって。サキの任務は、ハルカを傷つけるものからハルカをまもり、"然るべき時"がきたら、サキのてで、ハルカを殺すこと。」
「ゆめをみせるクライ、オチャノコサイサイ〜。」
サキちゃんは、笑って居た。始めに見せたような、無邪気な笑顔で。
でも、だからこそ恐ろしい。さっきまでのサキちゃんはなんだったんだろう。
サキちゃんは、なんなんだろう。
「カエロッ。きょうから、とめてイタダキマス。」
多分、その時俺はこの世の終わりのような顔をしていたんだろう。
「ダイジョーブッ!スグにじゃナイヨ。ハルカがなんの罪もオカサナければ、サキが殺すことはないからネ!」
気を使われてしまった。
たしかに今日はもう体が重い。夢を見た副作用ってところかな?
寝たら全部夢ってこともあり得るし、今日はもうとっとと寝よう。
「ところで、サキちゃんはどこに行くの?天国に帰るとか?」
「エェ!いまイッタヨ⁉とめてイタダクッテ!」
「キイテなかったノォ?」膨れ顔で呟くサキちゃん。
いや、聞こえてたんだけどさ、あんまり恐ろしいことだったから、空耳と信じたかったなぁと。
「え?てことは俺ん家に泊まるってこと?い、いつまで…?」
ニコッ。そんな効果音がつきそうな程の清々しい笑顔。
「ズーッと。サキの任務がおわるまで、ネ?」
サキちゃんの可愛らしい声が、今は閻魔の囁きにも聞こえた。