ダーク・ファンタジー小説

精霊狩りの貴方たちは、過ぎ去っていった世界に何を想うのか ( No.1 )
日時: 2017/01/19 11:39
名前: こてつ (ID: 3i70snR8)

ブルルルルルッ

砂漠に響くけたたましいバイク音。
大気をゆらし、砂埃を撒き散らしながら走っていた。
サイドカーにいる男が、バイクを運転している坊主頭の男に向かって叫ぶ。

「ねえ!」
「あぁ!?」
「この荒っぽい運転、うわっ、なんとか、うっ、ならないわけ!?ちょっ」
「なんだって!?」
「だから!この運転っ」
「てめえ、声小せえんだよ!もっとはっきり喋れ!」

その言葉に対してサイドカーの男の額に青筋が浮かんだ。
そして口角を歪ませ、ボソッと呟く。

「これだから脳筋は。死ね」
「おいこら!タイガ聞こえてんぞてめえ!!」
「この声は聞こえるのに、なんでさっきのは聞こえないかなあ!!」

半ばキレてる状態で、タイガと呼ばれた男が叫んだ。
そして会話が終わるのと同時に、バイクが急停止した。
その衝撃でサイドカーのベルトが外れ、タイガは頭ごと砂漠に突っ込む。

「よし、無事到着だな」
「え、俺のこの状態見てそんなこと言ってるの?なんなの、馬鹿なの?死ぬの?」
「おいタイガ、もたもたせず早く立ち上がれ」
「…無茶な運転で人を飛ばしといてよく言えるよね、そのセリフ」

ブツブツと文句を言いながら、タイガは頭を振って砂を落とし立ち上がった。

「はっ。そんな変な髪をしてるから砂がつくんだ。俺みたいに坊主にしろ」
「変な髪って言わないでくれる?自慢の天然パーマなんだからさ。あと、絶対坊主はいや」
「長さのことを言ってるんだよ。チャラチャラのばしやがって」
「男の子はちょっと結べるぐらい長い方がモテるんです〜」

そう言いながらタイガは時計に目をおとす。

「もうすぐくるよ、リュウ」
「ああ」

リュウと呼ばれた坊主頭の男は、めんどくさそうに大きく伸びをした。