ダーク・ファンタジー小説

Re: 死人が住む街【オリキャラ募集中】 ( No.3 )
日時: 2017/01/23 22:41
名前: 縷々夢 (ID: 3i70snR8)

【第一幕 一章《夜の街、夢魅町》】№2

あてもなくブラブラ歩いていると、前方からクスクスと笑い声が聞こえた。
羅威ははぁーとため息をつくと、前方に向かって話しかける。

「何の用かな?二人とも」

暗闇の中からぼうっと現れたのは、小さな双子だった。
紫のおかっぱ頭で、見分けがつかないほどそっくりだ。
ただ、二人とも目の色が違っていた。
片方は燃えるように赤色で、もう片方は引きこまれるような青色だった。

「オネエチャン、今何時?」

青い目の子が、羅威に向かって話しかけた。

「今何時ー?」

それに続けて、赤い目の子が羅威に話しかける。
羅威は愛想笑いを浮かべると、丁寧に返答した。

「さあ、何時だろうねぇ。私にも分からないよ」
「えー分かんないの?」
「分かんないのー?」
「うん、分からない。それよりも、今日の『課題』はちゃんと終わったの?紅架に蒼汰」

紅架(こうか)と呼ばれた赤い目の少女は、嬉しそうに頷いた。
一方蒼汰と呼ばれた青い目の少年は、残念そうに首を横に振る。

「僕、まだ出来てない」
「私、人を二人、ちゃんとコロシター♪」

その返答を聞いて、羅威は満足そうに紅架の頭をなでる。

「紅架は偉いね。蒼汰、まだ時間はあるからゆっくりでいいよ。ちなみに紅架はどんな人を殺したの?」
「あのねー、自分の子供を虐めてた父親と母親を殺したのー」

ふと紅架の手元を見ると、血でぬれたナイフが握ってあった。
羅威はそれをちらっと見た後、すぐに視線をもとに戻す。

「そう、凄いね。じゃあ、蒼汰の手伝いしてあげてね」

羅威はそれだけ言うと、また前へ向かって歩き始める。
彼ら…あの双子もまた、深い憎しみを持ち死んでしまった人間のうちの一部。
そんな彼らがこの夢魅町に住むために課せられた『課題』は、毎日現世で人を殺すこと。そしてその罪を、現世の人間に擦り付けること。
現世の人間にとってはとんだ迷惑なのかもしれないが、それも仕方のないこと。擦り付けられたのならその人間には、それだけの『罪』があったのだ。
夢魅町に住むためには、何らかの『課題』が課せられる。
もちろんのこと、羅威にも——————。

「さてさて、早くあの場所へ急がないとね」

羅威は少しばかり歩調を速めた。