ダーク・ファンタジー小説
- Re: Game of death ( No.2 )
- 日時: 2017/02/05 14:53
- 名前: りゅーどん兵衛 (ID: B2tgeA34)
第二話
Error
クエストを終えると、急いでチャットボタンを押した。
お礼を言うのは常識なのだ。
もしも、お礼を言い忘れたら…。どうなるのかは、あまり想像したくなかった。
キーボード画面が出ると、スイスイと文字を打っていった。
春飛:クエストありがとう!
爽汰:ん。ありがと。学校でも飽きずにクエストよくするよなァ。
蘭々:クエありー!いーじゃん!てか、爽汰もその一人なんだし(笑)。
爽汰:まーな(笑)。
宇宙:クエストありがとう。僕はそろそろ落ちるね。じゃあ、また放課後。
蘭々:じゃあね!
爽汰:今日もサンキュー。
春飛:楽しかったよ。バイバイ!
満足してログアウトのボタンを押した。
また放課後、か…。楽しみだな。
私はにこにこしながら、スマホを鞄にしまった。
この時は、もう放課後が来なくなるだなんて、思ってもいなかった。
今日のバイバイが、永遠のバイバイになるだなんて。
「起立。礼。さようなら」
「さようなら」
学級委員の号令に合わせて、全員が声を揃えた。
部活に入っている人は、友達と一緒に更衣室に行ったり、階段を上っていた。
帰宅部の私は、そんな光景を眺めて、少し羨ましいと思っていた。
ゲーム研究部とかがあれば、私も部活に入っていたかもしれないけれど、この学校はマイナーな部活が少ないから、全く興味が湧かなかった。
私は、教室を出ると足早に靴箱に向かった。
正門を潜り抜けると、寄り道一つせず、駅に向かった。
今一番の楽しみは、ゲームだから。
最初は寄り道してアイスを食べながらゲームをしようかと思っていたが、想像以上に速度制限がかかって不便だったから、寄り道という選択肢は一瞬で消えた。
まぁ、家の中で大音量でクエストに行く方が、迫力もあっていいし。
駅を通り抜け、いつもの光景を眺めながら、電車に揺られていた。
早く帰りたい。という気持ちで、貧乏ゆすりをした。
周りの人は迷惑に思っているかもしれないけれど、癖なのだ。ごめんなさい。
ようやく電車が止まると、一番に降りて、すぐそこの家に向かった。
なんとなく、なぜか今日に限って走って帰っていた。
何で走ってるんだろう…。
別に、歩いたって十分時間はあるのに。
なんで、なんで…。
嫌な予感がよぎっているの…。
この嫌な予感は何?君僕に何かあったの?
このとき、外でもゲームができるってことを忘れていた。それくらい、焦っていたんだと思う。
「はぁ、はぁ」と息を荒げながら、全力疾走で家に向かった。
運動不足の私には、短距離でもかなりしんどかった。呼吸がままならない。
角を曲がって、家の鍵穴に鍵をぶっ刺した。
勢いよくドアを開けると、階段を上って部屋に向かってスマホを取り出した。
急いでロックを解除し、「君僕」を開いた。
心臓がおかしい。ドクン。ドクン…。と大きな音を鳴らしていた。
ゆっくりと目を開けてみると、そこには見知らぬ画面が映っていた。
エラーが発生しました。
死のゲームを始めます。
「は…?」
何が起こっているのか、理解が出来なかった。
単純にエラーが発生したなら分かる。けど…。
「死のゲームを始めます…?」
いつもの平和なオンラインRPGとは真逆の、死という言葉。
意味が分からない…。なんで…。
どんなに画面をタッチしたって、全く反応がない。
これは、私の端末だけ起こってるの?それとも、全国…?
そんなことは、分からなかった。
考えても、余計に頭がパンクするだけだった。
「怖い怖い怖い怖い!いつもの平和を、返してッ!!」
思いっきり泣き叫んだところで、全身に電流が流れた。
なに…これ…。
なんで…こんなことに…。
意識がもうろうとして、その場に倒れこんだ。
そして、私の姿と存在は、「現実世界」から消えていった。