ダーク・ファンタジー小説

1.機械学院パルスポート ( No.1 )
日時: 2017/04/25 18:32
名前: クーゲルシュライバー (ID: GfbO1Kzf)

ここは、機械学院パルスポート。生徒達がこの暴力的世界を生き抜く為に、そして新たな技術を開発し、時代を進化させる為に作られた学院だ。
生徒達は基本、生徒寮で暮らしており、授業料、給食費などは無料。電気代や学級費用も払う必要がない。そもそも機械と技術が人類の全てになっていた現代、金などはもう鉄と紙と化していたのだ。
そんな学院の、とある一室では────。

「あー、授業とかメンドクセー」
一人の青年がベッドに寝転がる。
「仕方ねぇよ。俺達はこんなクソみてぇな世界で生きなきゃいけねえからな...」
ハァ、ともう一人の青年が溜め息をつく。
彼らの名はルークとガブリエル。パルスポート学院の生徒だ。
二人は幼なじみ。幼い時に親を亡くし、孤児となっていたところを、パルスポート学院の院長・アイロスが見つけ、二人を引き取った。...いや、捕まえたと言った方がいいかもしれない。
そんな二人だったが、ルークもガブリエルも、この学院生活に嫌気が差していた。授業は訳の分からない問題が続出。先生は
「復習したら分かる」
などと言っているが、専門的な問題に生徒達が分かるわけがない。全てを技術と機械に掛けていて、生徒のことなどどうでもいいような目付き。
二人は、こんな生活が嫌でならなかった。

1.機械学院パルスポート ( No.2 )
日時: 2017/04/25 18:33
名前: クーゲルシュライバー (ID: GfbO1Kzf)

「食べたくないけど...ご飯だよ〜」
少女が部屋に入ってくる。
「オッケー、アノイル」
ルークが寝転がり、立たずに吐き捨てる。
アノイル。ルークとガブリエル同様、幼なじみで、ここに引き取られた孤児だ。彼女も、この学院生活に腹がたっているらしい。
「正直、マズイ飯は食いたくねぇんだけどな。行かねぇと怒られるし」
よいしょと立ち上がるガブリエル。
「ほら、ルーク。行くぞ」
「僕はいいよ。君達だけで行ってらっしゃいな」
ルークは天井を向いたままだ。
ガブリエルはハァ、とまた溜め息をつくと、アノイルと共に部屋を後にした。

ルークの周りには沈黙しかない。だが、こんな時は逃走作戦を考えるのに絶好の機会だ。
独りで黙って考える。ガブリエルとアノイルがいない分、頭の思考回路がぐるぐる廻っていく。

しばらくして。
「よし!これを明日、決行だ!」
ルークは汗を手で拭い、くしゃくしゃになった紙を目の前に出した。
『1.食事の時、自作の銃で学院中を混乱させる。
 2.そうすれば、警備員も管理者も、一斉に食事室に集まるはずだ。
 3.その間に、皆の目を盗み、学院を脱走する。
 4.警備員は食事室に集まっているはずなので、逃走が成功する。』
よし、と満足げに首肯くルーク。
だが、ガブリエルとアノイルを連れていく気はなかった。三人で逃げ出すには難し過ぎる。食事室に行かなかったのも、二人にこの作戦をこっそり一人で考えるためだ。
拳をグッと握りしめたその時。
ガチャ...。
ドアの音がした。
「げっ!」
その音を聞いたルークは、慌てて紙を引き出しの中に入れる。

1.機械学院パルスポート ( No.3 )
日時: 2017/04/25 18:35
名前: クーゲルシュライバー (ID: GfbO1Kzf)

ガブリエルとアノイルが帰ってきた。
「お帰り。...今日のご飯どうだった?」
「まずかったぜ。いつも以上にな」
ルークに目を合わせないまま吐き捨て、ベッドに寝転がるガブリエル。いつも言っている名言だ。
「でも...なんでルークはご飯を食べなかったの?珍しいじゃない」
ルークの傍らに座り、首を傾げるアノイル。
「あんなまずいご飯食べるより、そこら辺のランドに寄って、なんか買ってきた方が断然マシだよ」
ルークは溜め息をつく。ちなみにランドとは、今で言うコンビニエンスストアのことである。

しばらくして...。
「三人!」
ドアの後ろからバン!と音がした。
驚いて後ろを振り返るルークとアノイル。ガブリエルは無反応だ。
ドアの先には生徒会長、アカヤスがいた。規則や法律には大人も顔負けになるほど厳しい、アノイルの姉だ。
「授業は始まってるの!三分の遅刻よ!早く教室に行きなさい!」
アカヤスが怒鳴る。
「は、はーい...」
さすがに生徒会長の言うことには従うしかない。
とぼとぼ寮を後にするルークとアノイル。
だが、ガブリエルが出ようとしなかったことを、アカヤスは目に捉えていた。

1.機械学院パルスポート ( No.4 )
日時: 2017/04/04 15:51
名前: クーゲルシュライバー (ID: oq/GQDEH)

アカヤスを先頭に、ルークとアノイルはしぶしぶと教室に向かう。
生徒寮は一階で、教室は三階。200年前の人なら嫌がる人もいるが、機械と技術が発達している今では、エレベーターを作ることなど朝飯前。全ての学校や学院などには、エレベーターが必ずと言っていいほど設置されているのだ。
アカヤスがエレベーターの前に立ち、三階のボタンを押す。開いた扉の先には誰もいない、狭い部屋がある。
三人はエレベーターに入り、教室へと向かった。

授業は生徒がそれぞれ決められた席に着き、コンピューターなどで学習をする。席が大幅に離れているため、カンニングや無駄話などが出来ないが、逆に言えば、先生や生徒の目を盗みやすい。
この時間の授業は技術。先生が歩き回ったり、話し合いをしないので、より他のことが出来る。
ルークはデスクの下で、序盤で学んだ銃の作り方を応用しつつ、作り上げていく。
しばらくして。
「よし、出来た!」
ルークはデスクの下を覗き、キラリと光る銃を見て、満足げに笑った。これまで沢山の銃を開発していったが、これは最高の出来だ。
授業終了まであと十分。後の時間は、技術の勉強をしていた。これが、ここで学ぶ最後の授業になるからだ。


カーン、カーン、カーン...
鐘がなる。授業終了の合図だ。
皆は身支度をして、家に帰ったり、寮に戻ったりしていく。
ルークも寮に戻る準備を始めたが、ガブリエルが今回の授業を受けなかったことが、何故か不思議でならなかった。

1.機械学院パルスポート ( No.5 )
日時: 2017/04/25 18:29
名前: クーゲルシュライバー (ID: GfbO1Kzf)

翌朝。
起きて、まず最初にすることは食事だ。ぞろぞろと人だかりが出来ては、食事室に向かって行く。
ルークも、食事室に行く準備を進める。昨日作った銃を持って。

「...で、俺、告白したんだよ。そしたらそいつ、オッケーしてさ」
「マジか!?良かったじゃーん」
男子生徒の一部が恋バナをして盛り上がっている。
「あのアイドルグループ、ホントイケメンしかいないよね〜」
「そうそう。特に村木君、ツンデレなとこがいいよね〜♪」
女子生徒の集団が、とあるアイドルグループの話でキャッキャと騒いでいる。
だが、そんな幸せな時間も、もうすぐ終わるのだ。
ルークはただ独り、何も言わずにスプーンを動かしながらニヤニヤと笑う。
そして、食事が終わる五分前。
(ここら辺かなぁ...)
ルークは時計と作戦が書かれている紙を見る。準備も覚悟も万全だ。
テーブルの上に足を乗せる。相変わらず、食事室はほのぼのした空気で満ち溢れている。
銃を上に上げる。
次の瞬間。


バババババン!!!!!!!


一瞬、銃声が周りを支配した。
しかし、
「ギャァアーー!!!」
と悲鳴が響く。
「ど、どうした!?」
後から警備員と管理者がやってくる。
よし、後はこっそり脱出するだけだ。
そう思っていたが、そんな甘くはなかった。
「こんなに沢山の人数は必要ないわ!」
アカヤスが警備員と管理者に指示を出し始めた。
「五人くらいは外を管理しなさい!」
そう言い、半分の警備員や管理者は去っていく。このままでは、脱出は困難となるだろう。
「くそっ、こうなったら...」
ルークは唇を噛みしめる。やりたくない行為だが...やるしかない。
ルークは銃口をアカヤスに向ける。そして、銃弾を入れ込む。
緊張で手が汗で濡れ、身体が震える。でも、ここで失敗したら確実に捕まる。それだけだ。
深呼吸をする。そして、息を吐くと、銃の引き金を思いっきり引いた。


バァン!!


銃声が鳴り響く。そして、沈黙が流れたかと思いきや。
「ぐふっ...!」
アカヤスが目を大きく見開いた。頭と口から、赤黒い液体がドボドボと出てくる。
そして、バタリと倒れていった。目がカッと血走っている。
「...い、いやっ、いやぁーーーっ!!」
生徒がギャーワーと叫びまくっている。うるさい連中だ。
混乱している人だかりをかき分け、ルークはこっそり、食事室を出ていった。

1.機械学院パルスポート ( No.6 )
日時: 2017/04/07 14:53
名前: クーゲルシュライバー (ID: oq/GQDEH)

学院はほぼ混乱で道溢れている。そんな学院を、ルークは静かに出ていく。
「何をしている!」
警備員が銃を向けるが、ルークは構わず、銃を警備員に向かって打ちまくる。打たれて倒れた警備員の床には、血の水たまりが出来ている。
「誰も...いないな?」
ルークは辺りを見回す。誰もいないことを確認し、学院を出ていこうとする。
そのときだ。


バン!!


扉が大きく開いた。
「え...。」
驚きに身体を支配され、ルークは身動きが出来ない。扉から、生徒と管理者が出てくる。
見つかった...のか?
ルークは呆然とする。けど、見つかってしまったのだ。敵に。

脱出は、失敗した。

信じたくないことが、ルークの頭を埋め尽くした。
「くそっ...クソォ!!!!」
ルークはドン!と地面を殴る。頬に、涙がつたう。
この先、どうなるのか。ルークには理解出来ていた。
死刑。
それも、ただの絞首や斬首ではない。おそらく、電気か火炙り、鋸(のこぎり)で殺されるだろう。
死ぬとはいえ、やはり死ぬのは怖い。喜んで死ぬ人は、人生に飽きた人や人生に絶望した人、頭が狂った人だけだ。
もう、諦めた。素直に捕まろうとした。
しかし。


ドドドドドン!!!


人ごみの後ろから銃声が聞こえる。
「は...?」
全員が目を丸くする。
次の瞬間、管理者や生徒の頭から、ドバドバと鮮血が溢れてきた。
銃で打たれたのだろう。血を流していく人々は、どんどん倒れていく。
「ルーク!」
聞き慣れた声が、ルークを呼ぶ。ハッと我に返り、ルークは声がした方を向く。
ガブリエルとアノイルだ。
「ぼーっとしてないで、早く抜け出すわよ!」
アノイルにそう言われ、ルークは思い出したかのように急いで立ち上がると、二人の後を追う。

1.機械学院パルスポート ( No.7 )
日時: 2017/04/25 18:31
名前: クーゲルシュライバー (ID: GfbO1Kzf)

「けど、何でガブリエルとアノイルがこの事を知ってんだよ?」
走りながらルークは聞く。ガブリエルはふぅ、と溜め息をつく。
「お前...知力不足だな。何で俺が昨日、技術の授業に参加しなかったか分かるか?」
「......技術の授業が嫌いだから?」
しばらく間をとって、ルークが口を開く。ガブリエルはペチン!と自分の頭を叩いた。
「テメェ、作戦を紙に書いてたろ?」
ガブリエルが面倒くさそうな声で言う。それを聞いて、ルークも分かったようだ。
「あれを見たかったんだ。それも、テメェらがいない間にな」
フン、と鼻で笑うガブリエルの姿に、ルークは少し怒りを覚えた。
「でも、何で真夜中にしなかったの?」
「お前は馬鹿を通り過ぎた大馬鹿だな!」
ガブリエルの一言を耳にして、ルークは頭に血が登りそうになった。
「真夜中にしたら、紙が別の場所に移動されるかもしれないし、作戦執行日時が知りたかったんだよ」
ああ、とルークは感心する。
やがてスタスタと一目散に走っていたら、正門が見えてきた。
「あそこの門を通り過ぎたら、脱出よ!」
アノイルが門の先を指差す。きっと、門の先には自由の世界が広がっているのだろう。
三人は思いっきり走り、門の先へと走っていった。

作者から ( No.8 )
日時: 2017/04/25 18:36
名前: クーゲルシュライバー (ID: GfbO1Kzf)

いやぁ、『機械帝国ガイアロイド』の序章という場面が終了しましたね。何か、達成感がありますね。ハッハッハ。( ´∀`)ケラケラ

さて、「え、これだけ!?何かストーリーの進み具合速すぎね!?」と思う人もいると思います。(というか、この速さじゃ、思う人がいないわけない)
けど、ご安心ください。
この作品は、かなり長〜いストーリーになるので、次からはのびのびと長くなると思います。
まあ、「もう読むのメンドクセ」とか「読み飽きた」とか思った時点で読まなくてもオッケーです。(ダ・メ・だ・ろ絶対)
とにかく、私のモットーは『楽しく、泣けて、読みやすく』なので、そこを分かっていただけたら幸いです。
それでは、私からのお話はこれぐらいにして、『2.逃走した生徒達』の『作者から』でお会いしましょう!
Thank You!!justregard!!