ダーク・ファンタジー小説
- Re: その緋眼に映る景色はなんと呼ぼう 【和風ホラー】 ( No.5 )
- 日時: 2017/05/19 06:03
- 名前: 阿修羅 (ID: X2arTSSH)
《 〜 プロローグ 〜 》
ここは何処だろう…
目の前には果てしなく黒い闇が広がっていて、どんなに目を凝らそうが白い光なんて見えなくて。
いや、白だけではない。
赤、黄、緑、紫、橙、青、桃、水
そんな色すらも見ることが出来なくて…
必死に抜け出そうともがくけど、そのもがく白く細い自分の手すら見えなくて。
黒以外の色を目が受け付けてないみたいで…
何処を見たって黒。右を向いても黒、左を向いても黒、前も後ろも斜めも上も下も、黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒。
もはや、何処をどう向いて、何をしたいのかすら分かんなくなってきた。
なんの色も見えない、そんな不安に駆られて…
必死に走る。あてもなく、続く。いつ終わりが来るのか?いつ、いつ、いつ、いつ、いつ!?
終わりすらないのかも…
今ふらふらとあっちへこっちへ動いても、何処にもぶつからない。
壁すらない。なら、終わりもない。
ざわざわと胸が疼く気味の悪い感覚が襲い、キュッと何者かに心臓を掴まれたかのように痛くなる。
ぎゅーっと体を締め付ける感覚に襲われる。
その何者かわからないものから、逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる。
頭は警報が鳴りっぱなしで、止む気配すらない。
足のピリッとした痛みがビリっという痛みに変わるまで、走り続けたおかげで、肩は激しく上下し、身体は酸素を求めた。
ぽたぽたと頬を伝う雫は、汗なのか涙なのかもう分からない。
まだ暗い。
まだ黒い。
まだ見えない。
もう、見たくない。
見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない!!!!!!!!!!!!!
どうすればいい?
どうすればいい!?
あ…そうか。
こうすりゃいいんだ。
狂っていた。何もかも、自分もこの黒い世界も。
そんなものから目を離したくて…
グジュリと不穏な音が聞こえた。そんな音に耳を傾けず、1つの事に集中した。
丸い球状のものがある。それは小さく、ぬめりがひどく、そして柔らかかった。
その球に、両手の圧力をかけた。
でも、だめ。
もっと…強く…
もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ピチュッ
そんな音と激痛とともに見えた…その景色は…
* * *