ダーク・ファンタジー小説
- 優しい蝉が死んだ夏(あとがき) ( No.28 )
- 日時: 2017/09/03 20:48
- 名前: 立花 ◆FaxflHSkao (ID: kXLxxwrM)
【 あとがき 】
初めまして。ちゃんとした挨拶はこれが初めてな気がします。
立花と申します。
七月からこちらのサイトで小説を書き始めて、これが最初の作品になっております。
このスレッドは「藍色の宝石」という中編集になっておりまして、二か月ごとに色々な小説を書いていこうと思っています。
気が付けば暗い作品になることが多いのですが、頑張ってコメディにもチャレンジしたいと思います。
どうぞよろしくお願い致します。
七月〜八月 「 優しい蝉が死んだ夏 」
とにかく暗いお話です。
百合のようで百合じゃない。恋愛感情のように見えて、実はただの執着心、共依存。そんなのがこの上なく好きな私の性癖が垣間見える本作。
( ストーリー)
※時間軸が分かりにくい作品ですので、簡単に
主人公のマキは小さいころに母親にネグレクトを受け、施設行きに。暫くして彼女は一人の少年に出会います。それが御門です。
彼は優秀な兄が死んでしまい、悲しむ親たちに「兄のようになれ」と強要されて悩んでいました。親から「自分の存在を否定された」という点で同じ彼らはいつの間にか恋に落ちていました。
高校生になって「いつでも別れる」を条件に付き合いだした二人。でも、そんな関係はきっと長く続かないだろうとお互いわかっていました。
そんな時に一人の少女が現れます。風子、というマキの母親の再婚相手の連れ子です。御門のことを好きになった風子はマキに対抗心を抱きますが、御門が自分のほうには絶対に振り向いてはくれないという事実を突き付けられショックを受けます。
その日の夏、風子が突然マキの前で飛び降り自殺を図りました。死ななかった風子を見て、マキは少しだけショックを受けました。
マキが二十歳になり、自分が病気であり、寿命が残り少ないことを知ります。それをきっかけに御門に結婚を申し込まれ、どうしようもなくなり姿をくらませます。
しかし、結局自分はどうあがいても御門のことが好きで、風子にも誰にも渡したくないという感情が抑えきれなくなり、マキは御門と結婚することに。
死ぬまでにやりたいことをすべてやったマキは最後に風子に会います。彼女はどうやら妊娠しているらしく、最後にマキは彼女と御門と自分の三人分の紅茶を入れます。
マキが死んだあと、御門の携帯に風子から電話がかかってきました。「流産した」という内容とともに、マキが最後に入れた紅茶に薬が入っていたということが風子の口から伝えられます。
−−− キャラクター −−−
マキの風子への感情は、半分が愛情で半分が憎悪でした。マキの一番好きだった相手はきっと母親(美夜子)でした。マキは母親が異常な人格の持ち主だと知っていました。きっと風子は母親に苦しめられていると知りながら助けなかったのは、きっとそれすらも羨ましかったからなのだと思います。子供はいつだって親に愛されたいと思っていますから。その典型が愛されなかったマキなのだと、私は考えます(おい作者)
風子は典型的な嘘つきです。御門のことが好きすぎて、他を傷つけても何も思わない、そんな子でした。義母である美夜子からの異常な愛情に耐えられなくなり、一度自殺を図りますが、未遂に終わります。マキのことを恋愛がらみでは敵対視していますが、心のどこかでは自分を救ってくれるヒーローだと思っていました。最後についた妊娠のウソは、きっとマキなら気づいてくれると信じていたのでしょう。面倒くさいツンデレがこの子の本性です。
一番よくわからないのが御門です。マキのことを愛しているし、それに絶対ウソ偽りなんてありません。風子のことを大切にするのは、きっとマキの妹であるから。そういう部分はちょっとマキに心酔してる気がします。マキからの最後の手紙で、マキは自分よりも風子のことが大切だったのだと気づきます。それで、妊娠がウソだということに彼も気づいてしまいました。ですが、こやつは賢いのでそれを絶対に口にはしません。未亡人になって、永遠マキを愛し続ける気がします。
まぁ、簡潔に言えば「幸せ」って何かなって話です。
突然現れた大好きな母親の新しい娘。いつかいなくなってしまうだろう恋人。現実にはないようで、ある話。
個人的にこの話は落ちもないし、面白いかって問われたら面白くないいって私は答えます。でも、誰かの心に触れられる作品になった気はします。次は「面白い」と自分でも思える作品を書けたらなと思います。
また、夏の小説大会で次点をいただきました。初めての作品で入賞(?)することができ感激です。また、次の作品で会えることを願っております。
立花