ダーク・ファンタジー小説

カラミティ・ハーツ 心の魔物 Ep25 極北の天使たち ( No.28 )
日時: 2017/08/14 00:11
名前: 流沢藍蓮 (ID: GfAStKpr)

 どーも、藍蓮です。
 帰省するので、14日昼〜17日夕まで更新できません。
 すみません、よろしくお願いいたします。

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「おーい!」
 声がした。アルフェリオは声のした方に首を向ける。
「リル。何とかなったのかい?」
 赤い天使が、青い天使の前にふわりと着地した。
 うん、と彼女は言う。
「でも、なんか、さぁ。なんか、変だったのよねぇ」
「言いよどむなんてリルらしくないね。何かあったのかい?」
「……凄絶な、戦いの痕跡が、あったの」
「……そうかい」
 アルフェリオは、少し考え込むような顔をした。
「ねぇ、リル。私をそこに、連れて行ってくれないかい?」
「今はだめ。怪我人の収容が先でしょ。……って、アル、その子の治療は?」
 リルフェリアは、眠ったリクシアを指し示した。アルフェリオはうなずいた。
「私がやっておいたよ。で、怪我人の収容? どうだかなぁ。みんな、許してくれるかなぁ」
 彼は、知っている。
 自分がこれから帰るところが。余所者に厳しいことを。
「というか、そもそも怪我人は何人だい?」
 問えば。
「三人よ。でも、そこのお譲ちゃんとあんたを含めれば五人」
「私は怪我人じゃないよ?」
「まともに歩けない人は怪我人なの。飛ぶことだってできないくせに」
「これは生まれつきなんだからつべこべ言わない。でも、リルだけじゃみんなを運べないね」
 どうしよっか、と言いかけたら。

「呼ばれて飛び出てズドドドドーン! 緑の天使をご用命かい?」
「……用があるならそう言え」
「お困りですかー? お助けしますー!」

「……なんでそんなにタイミングよく出てくるの君たち」
 双子の天使仲間が。緑のラーヴェル、黒のヴァンツァー、黄のリリエルが、そろって現れた。

  ◆

 で、必然的に。遅いが動けるアルフェリオが、残されることになった。リルフェリアは心配げな顔をしていたが。アルフェリオだって戦える。
 動かない足を必死に動かし。「里」の方へと歩いていく。
 運ばれてきた「リクシアの仲間」は、どこか、魔物の匂いがした。
(魔物にやられたんだろうねぇ)
 それも、かなり強めの奴に。
 記憶を呼び起こしながらも。小さな森の中を歩いた。

  ◆

「状況はよくわからねぇけどさ」
 話を聞いて。空を飛びながらも、緑のラーヴェルは首をかしげた。
「ま、とりあえずは。余所者が入れるように取り計らえってことかい?怪我人収容するために」
 でしょうねー、とリリエル。
「みんなが目覚めてくれなきゃ、わかるものもわかりませんけどー」
 そもそもアルが、リクシアちゃんを助けたのが悪い、とリルフェリアが愚痴をこぼす。
「なんか、大事に巻き込まれたよーな気分なんですけどー」
 ヴァンツァーはどう思うわけ? と黒い天使に話題を振ってみると。
「俺は知らん」
 あっさりと返された。
 リルフェリアは口をとがらせる。
「はいはい別にいーですよーだ。ヴァンに聞いても意味ないし!」
「……それをわかって訊いたのならば、お前は天性の馬鹿だぞ」
「はいはいはい! 聞こえなーい!」
 耳をふさごうとするが、リクシアを背負っていたことを思い出してやめる。

 やがて見えた、小さな里。極北の地の、小さな里。
「さ、降下準備!」
「わかってるての!」
「行きますよーぅ」
「……落下」
 そこへ。ゆっくりと翼をたたみつつ、四人の天使が舞い降りる。
「で、待っているのも癪だから」
 リルフェリアはリクシアを下ろすと。
 再びその翼を広げた。
「リル? 抜け駆けすんのかこら!」
「しないってば! アルを迎えに行くんだよ!」
 ラーヴェルの憤慨した言葉に答えて。
「ってことで、待っててね!」
 再び、飛び立った。

  ◆

 アルフェリオは、短剣を構えていた。
「これ以上近づくなら……実力行使もいとわないけど」
 そんなことを言っている割には。
 つうっと流れおちた汗。
 対峙するは、異形の女。異形の足で、身体を支えて。
 片手にレイピアを携えて。狂ったように、一歩、また一歩。
(困ったなぁ)

 戦いが、起きようとしていた。

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 天使たちの話その2。主人公勢が意識不明なので、メインメンバーはお留守です。赤青天使の旧知らしい、緑、黄、黒の天使まで出てきてにぎやかに。
 次こそはみんなを目覚めさせたいです。
 帰省のために更新ペースは遅くなりますが、これからもよろしくお願いいたします。