ダーク・ファンタジー小説
- カラミティ・ハーツ 心の魔物 Ep26 ハーフエンジェル ( No.29 )
- 日時: 2017/08/17 18:41
- 名前: 流沢藍蓮 (ID: GfAStKpr)
お久しぶりです藍蓮です。
帰ってきたので再開しまーす!
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狂ったような異形の女。アルフェリオは、彼女の正体を知っていた。
策略にて、人を魔物にする。権謀術数の魔性の女。
「『偽りの女神』が……。落ちぶれたものだよね」
構えた短剣の先は、細かく震えていた。
余裕がないのは確かだけど。戦わなければ死んでしまうから。
「キエエエェェェッ」
飛びかかってきた異形の女を。腕の剣で、なんとかいなす。
「手加減なんて……してくれないよねっ」
呟き、剣に特殊な呪文を乗せて、異形の女に放とうと身構えた。
(これをやったら……正直、身体が保つかどうか。でも、仕方ないよね。戦えない僕にとっては。これしか生き残るすべがない……)
アルフェリオは、ただの天使ではないのだ。
リルフェリアの、双子の兄。水に愛されし青き天使。
それは、表の顔にしかすぎなくて。
その裏には。闇に愛された、暗く黒い悪夢の申し子の姿が、あった。
普段、戦えないのは。闇の力の代償で。
ひとたび本気を出せば、百の軍勢でさえ一人で倒せるほど強いけど。
一度、そうなったら。彼の身体は深い深い闇に侵され。天使でいられなくなる可能性すらあった。
「でも……仕方な……」
「——仕方なくない!」
と。
天から舞い降りた赤い稲妻が。
異形の女を、手にした剣で。
刺し貫いた。
「……リル」
「来て大正解! もう、アルったら! 勝手に死んだりしないでよぅ!」
「……死んじゃあいないけど」
「死にそうだったくせに何言ってんのよアンタは! とりあえず、あたしにつかまって! みんなの待ってるところまで飛ぶわよ!」
叫び。倒した異形の女には見向きもせずに。
リルフェリアは、アルフェリオに背中を差し出した。
「乗って!」
「……いつもごめんねぇ」
「そんなの気にしない! さあ!」
赤い翼が、大きくはばたく。
「みんなが待ってる! いくわよ、さぁ!」
どこまでも前を見据える真っ直ぐな瞳は。
仲間の待つ、村の前を目指した。
◆
「……う……」
フィオルは、明るい光で、目を覚ました。
知らない所だ。あの戦場ではない。リクシアが助けてくれたのだろうか?
身を起こそうとするが、どうも力が入らない。
ちなみに、今寝ている場所は。どこかの土の上らしい。
どうしようか、と思った。これでは状況がわからない……。
と。
「あら、目覚めましたかー?」
ふわふわとした、声がして。
「おっ? 誰よ誰よ? って、天使さん?」
「……外見で人を判断するな。まだ、天使と決まったわけじゃない」
他の声が、そのあとからやってきた。
フィオルの眼に映るのは。色とりどりの天使たち。
——天使、たち。
出会っては、いけない人たち。
フィオルと、アーヴェイにとっては。
フィオルの生まれにまつわることで。
(まずい……よりによって、天使だって? シア、相手を選んでくれる?)
事情を説明しなかった、こちらも悪いか。
どうしよう。
「あのー。お名前、伺ってもいいですかー? あと、天使みたいな見た目ですけど、あなたは天使なんですかー?」
「知りたい知りたい」
「……俺は知らん」
天使たちが、名前を訊いてくる。僕の名は一部の人の間では有名なんだ。だから偽名を名乗ろう。と、言ったって……
(事情を知らないシア達は、僕のことを本名で呼ぶだろうし)
ならば、真実を明かした方が、下手に疑われないで済むか。
どうせ、今は動けないんだ。もう、どうにでもなれ。
フィオルは軽く身じろぎをした。
すると。
現れる、純白の翼。
天使の血を引く者の証。
「あなたは……」
驚いたような、黄色天使の声に。
「ハーフエンジェルのフィオル。……聞いたことない? 僕の本当の父親……大罪人ウォルクのことを」
書物で知った、自分の生まれ。父親は、天使族の仲間を金で売った、ある大罪人。
「僕はその息子だよ……」
だから、だからこそ。他の天使には会いたくなかった。大罪人の息子だから。ひどい目にあわされると、思いこんでいた。
しかし、現実は違ったのだった。
「あららぁ。そんなことを気にしてらっしゃったのですかー? 他の天使さんたちは違うかもしれませんが、私たちは例外なので! 異常種なのでー」
「自分でそれを言うかリリエル……。ま、おれたちゃ他の天使みたいにお堅くねーもんで。そんなに気張らなくたっていーんだぜ? ちなみにおれの名はラーヴェル。ハーフエンジェルかぁ……。よろしくな!」
「気にしすぎだ。……俺はヴァンツァー。大罪人なんて知ったことか。言い方は悪いが、関係ない俺達には対岸の火事だ」
すべて、フィオルの思い込みだった。
ここの天使たちは、こんなにも親切で。
(あーあ、いつもの警戒心なんていらなかったんだね)
「……ところで、ここって?」
気になることを訊いてみたら。
ヴァンツァーが冷静に返す。
「存在しない町だ」
その次に彼の言った言葉は。フィオルの想像と理解を超えていた。
「花の都フロイライン、と呼ぶ者もいる」
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最近スランプ中の藍蓮です。内容浮かばんわ。
というわけで、前から考えていた急展開をぶち込みました。しっちゃかめっちゃかな駄文ですね今回の話は。
正直、この低クオリティで投稿していいのか不安になりますが、ブランクがあったので一気に投稿。駄作ですみません次はちゃんとやります。
明かされた町の名前。その正体は——
続きます。次こそは主人公を目覚めさせたいです。