ダーク・ファンタジー小説
- カラミティ・ハーツ 1 心の魔物 Ep41 進むべき道 ( No.44 )
- 日時: 2017/08/29 22:41
- 名前: 流沢藍蓮 (ID: GfAStKpr)
場面が錯綜します。ご注意を。
また、内容が上手く浮かばなかったため、この話は下手くそです。
……ご了承ください。
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「はあっ、はあっ!」
——フェロンは、走っていた。
……そして、かつてないほどに怒っていた。
(ローヴァンディア……あの帝国がッ!)
卑怯な手段で、幼馴染の少女を奪われた。
その方法を知った時、これまで常に彼を律していた枷(かせ)が、一気に弾け飛んだ。
(『アルヴァト』? 知るかそんなの! とにかく僕は——!)
救わなければならない。幼馴染のあの少女を。
(アリアンロッドは動けないみたいだしな……)
手紙に書かれていた場所を。馬を借りて、必死で目指して。
そんな彼は、知らない。知るはずがない。
その先に、さらに罠があった、なんて、ね。
◆
「で? 作戦会議と大口叩いたんだ、何か策はあるのか?」
エルヴァインが、暗い瞳でアルヴァトを睨んだ。いや? と彼は首を振る。
「いきなり策なんてあるわけがない。……まずは、座れ」
彼は、そこらに置いてある椅子の一つを指した。
エルヴァインは、仏頂面でそこに座る。
「状況を整理しようか」
言って、アルヴァトは暗い部屋に、大きなランプをともした。
そうして初めて、浮かびあがる部屋の全容。
そこは、居間のようだった。大きくて広い。幾つもの小机があり、中央には大きな机がある。壁には作りつけらしい本棚があり、そこから本がごまんとあふれている。
そして。
居間のような大きな部屋には。沢山の椅子が所狭しと並んでいて、その多くに人が腰かけていた。そのほとんどが少年少女だった。
「紹介する。我らが『反戦部隊』のメンバーだ」
アルヴァトがそちらの方を見ると。皆、それぞれの方法で一礼した。
「生憎と一人一人紹介している暇はない。とりあえず……手紙には何と?」
アルヴァトが問うた。こうなることを予期していたから、エルヴァインは、そのまま手紙を彼に突き出した。
そこには。
【石の家の住民へ
お嬢ちゃんは捕えた。明後日の明朝、処刑する。返してもらいたくば『アルヴァト』を差し出せ。ヴィーカの廃墟でそちらを待つ。
誘拐犯】
とあった。
エルヴァインが怒るのは、アルヴァトを潰すためだけに、赤の他人まで巻き込まれたこと。そしてその相手が、リクシアだったこと。
それを見るなり、アルヴァトは言った。
「そう言えば、人数指定はないな?」
「確かにないな……。だが、ぞろぞろ引き連れていっても、警戒されるだけだと思うぞ?」
「わかっている。僕が連れていくのは二人だけ……。一人はあんただ、エルヴァイン。もう一人は……」
アルヴァトは、力強く微笑んだ。
「お前だ、アリオン」
「え? 選んでくれるわけ?」
「相棒だろう?」
というわけで、と彼は話を締めくくった。
「作戦会議とは呼べないような代物だったが、メンバーはこれで行きたいところ」
あっさり決まったそれに、エルヴァインは反論する。
「そんな少人数でいいのか?」
「精鋭ぞろいだ。あんたも頼る」
「単騎で来いとか言われたら?」
「自分で事態を切り抜ける。あんたほどではないかもしれないが……。剣はそれなりにできるからな」
「このメンバーで、例の場所へ?」
「不満か?」
「いいや?」
エルヴァインは、暗く笑った。
「十分だ」
◆
「……あなたが、グラエキア……?」
「そうよ? ということは、あなたが『反戦部隊』の子?」
石の家では。グラエキアが、新しい客人を迎えていた。
「僕は……リューノス。爪使い……」
「よろしくね、リューノス」
「よろしく……」
リューノスは手に鎖を巻きつけたグラエキアと、それにつながる鎖で編まれた檻の中にいる魔物とを不思議そうに見比べたが、余計な詮索はしなかった。
「とりあえず、護衛」
「任せるわね」
グラエキアは、天を仰いだ。
(早くこの事態が終わればいいのに……)
しかし、そう簡単には。終わるはずがなくて。
グゥゥウァァァアォォォオオオオオオオオオオオオ!
平和だったこの町に。
魔物の咆哮がとどろいた。
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どーも、藍蓮です。
今回はグラエキア編にしようと思ったのに、下手に作戦会議を入れてしまったせいで、ただいま駄文量産中です。すみません。
罠があるとは知らず、リクシアのためにひた走る半貌の剣士。
進むべき道の決まった、鏡写しの赤と青。
ほっとしたのもつかの間、新たな脅威に立ち向かう漆黒の鎖。
それぞれの物語はどう進むのか?
……次の話をご期待下さい。