ダーク・ファンタジー小説
- カラミティ・ハーツ 心の魔物 Ep7 ひとりのみちゆき ( No.8 )
- 日時: 2017/08/06 08:56
- 名前: 流沢藍蓮 (ID: GfAStKpr)
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——ひとりに、なった。
あれから、一週間。「魔物を元に戻す方法」を模索しているが、いまだに何の手がかりもない。当然だ。アーヴェイ達の言う「花の都フロイライン」以外、リクシアは何も知らないのだから。
そして、今。フロイラインに行くという選択肢も潰えた。
——もぅ、どうでもいいかぁ。
かつてリクシアを駆り立てた炎も。いつの間にか消えていた。
フィオルのくれた白い羽根を、見るともなしに眺める。
「どーでもいい……」
憂鬱に日々が過ぎていった。
ひとりになった。また、ひとりになった。
あれだけひとりは嫌だと、言っていたのに。
置いていかないで——。
とりあえず、歩くことにした。先に、何があるのかわからないけれど。
そして気が付いたら、あの、消え去った国の廃墟に立っていた。
「……私ったら……」
とっくの昔になくした国だ。それなのにまだ、忘れられないのか。
「…………」
唇を噛んで、首を振る。こんな幻想にとらわれてちゃいけない。
ひとりきりのみちゆきは、まだ始まったばかりだ。
リクシアはその地を後にした。
◆
「フェロンが……生きてる……!?」
その日、彼女は一つ、情報を入手した。
それは、幼馴染フェロンの、生存の噂。
「確か、片手剣使ってたみたいッスよー。茶色の髪で、緑の瞳で……。あ、もしかしたら、知りあいだったりします?」
例の店主の問いに、リクシアはうなずいた。
「幼馴染なんです! 彼は今、どこに?」
「さぁ? こっちはまた聞きしただけなんで……。よかったら、その情報仕入れてきた商人に、また訊くっすけど、どうすか?」
「——お願いします!」
フェロンに会えれば、フェロンに会えれば!
——ようやく、一人じゃなくなる。
◆
「リアがいるって聞いたけど……どこかな」
町を訪れる人影があった。
「まったく。今までどこ行ってたんだよ。さんざん探したんだからな。ここで見つからなかったらいい加減怒るよ?」
茶髪に緑の瞳。右の腰には片手剣。左利きのようだ。
しかし、その端正な顔の半分は、醜い傷跡で覆われていた。
「あの子なら、兄さんを戻すとか無謀なこと、言いそうだしなぁ……」 歩くその身体は、今にも倒れそうなくらいボロボロだった。
「……ッ! ……まずは休息を取らなきゃ、死ぬな」
そして、とある宿を訪れる。
そこに、よく見知った、懐かしい顔があった。
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……ホントはリクシアだけの話にしたかったけど、無理でした。彼女一人の話を延々と書くなんて無理! 他のキャラが濃すぎるよ!
ってなわけで、新キャラです。
今後、リクシアはどうなるんだろう……。
書くことなかったので短くなりましたが、おそらく次は長くなるはず(たぶん)