ダーク・ファンタジー小説

閲覧数400記念! カラミティ・ハーツ 短編 ( No.9 )
日時: 2017/08/30 22:24
名前: 流沢藍蓮 (ID: GfAStKpr)

 お待たせしました、藍蓮です。
 いつの間にか、閲覧数400!
 皆様、ありがとうございます!

 話が浮かんだので、またやります、記念の話。
 グラエキアの話を書きたかったのですが、浮かばなかったので今回はエルヴァイン編です。

※ 場面が一部かぶるので、本編から文章そのまま持ってきてしまったところが(汗)


◆ † ◆ † ◆ † ◆ † ◆ † ◆ † ◆ † ◆ †


 Speciai Story 廃墟の青


  †。○†


 彼は、国外にいたために。
 何も気がつかなかった。

 その時の彼はただ国外にいて。
 戦争の行方を、冷めた目で眺めていた。

 そしてある日のこと。知らされた情報が。
 彼を変えた。


  †。○†


「……王国、崩壊だと」


 彼の青い瞳が、つと鋭く細められた。


 その、底冷えのするような瞳に睨まれたバーテンダーは、気の毒である。
「あああ、あの! お、怒らないでくださいよ王子様!? こっちだって、今日知ったばかりでさぁ! 睨まないでぇ、頼むからぁ!」
「……僕はいつもこうだぞ。怒ってはいないが」
 彼の声は極めて冷静であった。

 ここは、国境からそこそこ近い町、クルルト。
 この町の酒場のバーテンダーと彼とは、それなりに付き合いがある。グラエキアと何回か、一緒に来たことがある。ゆえにここのバーテンダーは、彼の素性を知っている。

「……不思議なものだ。みんな消えたのに……。心が、痛む」

 そこには。嫌なきょうだいばかりでなく、自分を愛してくれた母や、支えてくれた師匠もいたからだろうか。
 自分の気持ちは、わからない。
 否、わかろうとしていなかっただけなのかもしれないが。

「とりあえず。現地に赴こう。話はそれからだな」

 彼は席を立ちあがる。

「お、王子様!? 魔物がいるって……」
「止せ。国がなくなった以上、もう王子ではない。魔物? 僕の剣に、敵うならばな?」
 冷静さの中に、どこか不敵さをにじませて。
 彼は行く。


  †。○†


「……確かに……焦土だな」

 国があった所に辿り着いての第一声。 
 あらゆる全てが焼き尽くされて。
 人はもちろん、建物すらも。
 一瞬で廃墟になっていた。
 聞いた話によると。この国の大召喚師が呼んだ、熾天使が。
 敵味方区別ない破壊を行い。国土一体が焦土と化した、そういう話らしい。


 ここまで見事だと。いっそ、笑いしか出てこない。


「……これが、僕の国か……」
 

 一歩二歩三歩。踏み出した足。
 何かの焦げカスと砂ぼこりが、歩き出すたびに舞い上がる。

 そして、見た。





「リュクシオン=モンスター……」




 変わり果て、魔物となった。
 かつての英雄の姿を。


 その冷たい瞳が見据えるは、異形となった、かつての大召喚師。
 見る影もなくなった国に、見る影もなくなった英雄の姿。


「諸行無常、か……」


 あんなに栄えていたこの国も。
 終わるのはずいぶん呆気ないものだ。


 彼はしばらくそこに佇んでいたが、やがて。
 その目を悔しそうに細めた。
 魔物を値踏みするように眺め、一言。


「今の僕には狩れないな。駄目だ。力量の差が……」


 月夜にに光るつるぎを抱いて、決意を秘めて、その地を去る。


 彼は、それを何としてでも狩らなければならなかった。
 彼は、何に代えても、その使命だけは守らなければならなかった。


「それを、復讐としたいんだ。だから」


 強く強く、剣を抱く。


「力が、欲しい。あの魔物を狩れるだけの力が。そうしてこそ初めて、僕は奴らを見返せる」


 かつて。闇の魔力を持っていたというだけで、自分を捨てた国に。
 弱かったという理由だけで、自分をあざけり、さげすんだ故郷に。


 復讐をしたいんだ。見返してやりたいんだ。
 今はもう、何もないけど。彼にはそうするだけの理由があった。


「けじめを、つけよう。弱かっただけの自分なんて、もうお別れだ」
 歩き去っていくその胸元には、王族の証たる紋章があった。

  
  †。○†


 あの魔物を倒すためには。他の魔物を狩って、経験を積むことが大切だ。
 そう考えたエルヴァインは、己の体力が許す限り、魔物退治に励んだ。
 無理はしない、休むときは休む。
 万が一の時のために、体力を残すのは当たり前だ。


 そう思い。魔物を狩りに、通報された場所まで出向いた時だった。


「あなたをたすけてあげる」


 不意に横合いからした甘いささやき。
 それに、振り返ってはならなかったのに。

 蠱惑的(こわくてき)に笑った絶世の美女は。
 真っ白な手で彼を抱き寄せた。





 それが、彼の喪失の、始まりだった。






◆ † ◆ † ◆ † ◆ † ◆ † ◆ † ◆ † ◆ †

 ——すみませんッッッ!(土下座)

 最近はネタ切れ気味でして。で、短編集に書く内容に迷った結果。
 ……既にあるエピソードの文を、そのまま使うという愚行に走ってしまった藍蓮です。もう言い訳のしようがありませんねハイ。この話を読まなくても特に支障はないですし、2000文字にも届かない駄作ですし。

 ……「殺人剣のF」で、やりすぎましたかね?

 閲覧数が450行くまでには、いいネタを考えておきたいものですが。
 最悪、今回みたいになることも、今後あると思ってご覚悟ください。

 小説書くのって簡単じゃないです……。

 とんだ駄作を、失礼しました。