プロローグ冬父が死んだ。厳しかったが大好きな父だった。だが……———私は何も思えなかった。春遅れて涙があふれた。桜の木にもたれかかって涙がかれるまで泣いた。それが父のことだったかは忘れた。そんなあわただしい一年が終わり、私の最悪な一年が始まる。この一年は只の序章にしか過ぎなかったのだとこのときは思えなかった……