ダーク・ファンタジー小説
- Re: 血に染まる粉雪と涙に染まる桜 ( No.10 )
- 日時: 2012/08/03 12:28
- 名前: 秋桜 ◆SVvO/z.cC. (ID: uMmok.3B)
第三話〜葬式での出来事は、私の崩壊スイッチ?〜
お父さんが通り魔に殺されたと言う事が明らかになり世間ではニュースがひしめいていた。
家では葬式。涙で目を腫らしている祖母と祖父。
そんな様子を見て私は母が死んだときのことを思い出した。
あのときの私は涙が枯れるまで泣き叫んでいた……
『お母さんっ!お母さんっ!やだよぉ……やだぁ!居なくなっちゃやだよぉ!ねぇ!お母さん!』
『ほら、美里……お母さんがゆっくり寝れないだろ?ゆっくり眠らせておあげ?』
『いや!お母さん!お母さんっ!』
私は頭を優しく撫でようとした父の手を撥ねどけた。
悲しそうな父の顔が視界の端に入るが私はそんなことを忘れただただ母の亡骸にしがみ付き泣き叫んでいた。そのときの父の気持ちなど考えたことがなかった……
それからだっただろうか?
父に余所余所しくなったのは。
正直自分でもあきれるほど馬鹿なことをしたと思う。
だけど……そうするしか自分の気持ちを落ち着ける方法がなかったのかもしれない。
それで、父の気持ちを壊した……私自身も壊したのかもしれない。
「美里……?」
優香の声でふと我に帰る。
私は父の亡骸の前でボーっとしていたようだ。
父の顔は血の気が失せて真っ白だった。だが、遺体を確認したときの顔色よりは大分落ち着いていた。
死に化粧というものなのだろうか?
周りの大人の会話が何時の間にか私のことが中心になっていることに気がついた。
恐らくは引き取ることや親が死んだのに涙一つ見せないことについてはなしているのだろう。
そういえば、私は高校生だ。
一応親元から自立できるが……どうなんだろうか?
下手すると叔母さんのところへ厄介になるのかな……?優香が引き取るとは考えられないし……
引き取って欲しいとも思わない。
私は一体どうすればいいのだろう?
「美里は私が引き取ります!」
凛としたはっきりした声。
優香の声だと気がつくのに時間がかかった。
「まぁ。よかったわぁ。貴方なら安心して任せられるわ」
あったこともないおばさんが賛同する。
厄介払いか。
まぁ、それも仕方がないことだろう。
だって、顔も見たことのない高校生を家に置くのは誰だっていやだと思う。
私もその立場であったら人に押し付けると思う。
「美里も……良いわね?」
優香がこちらに視線を移す。
私は何も答えずただ小さく頷いた。
正直、どうでもいいから。
家族なんて、私が大人になるまでの布団でしかない。
だから、布団が変わらなくても変わってもどうでもよかった。
今日からお父さんが居ない……だけど優香と二人だけの生活が始まった……