ダーク・ファンタジー小説

Re: 血に染まる粉雪と涙に染まる桜 ( No.14 )
日時: 2012/12/27 15:35
名前: 秋桜 ◆SVvO/z.cC. (ID: uMmok.3B)

第五話〜私が壊れるカウントダウン……?〜

身勝手な血のつながらない母……優香との生活。知らない男との同居生活。独りぼっちの生活。孤独な毎日。

「美里ぉ?さっさと買い物行って来い。あたしは憲次さんと出かけるから」

「……はい」

うきうきとした足取りで出て行く優香。
そんな優香を視界の端に捕らえ外す。
そして、携帯を開くと素っ気無い文字。

『冷凍食品5種類。レトルトカレー5種類。つまみ』

私はため息をつき乱雑におかれた黒縁写真に目をやる。
お父さんは上で笑ってたのに今は床の上。
優香の表面だけのキャラ。
今は亡き夫を思う妻。やさしくて家事をそつなくやり遂げる妻。
そんなキャラを演じていた優香。

私はふと思いついた。

———私が居なくなったらどうだろう?

優香は慌てふためくだろうか?
それとも清々したと笑うだろうか?

———見てみたい……

私はそこらのメモ用紙に短く『探さないで下さい』と書き、机の上に放った。そして、唯一の私の住処である自分の部屋へと上る。

幼いころに写されたと思われる家族写真。其処には幸せそうに笑う私と父そして母の姿。
私は部屋にあったなるべく大きな鞄をつかみ、その中へ財布や携帯、友達からもらった宝物などを入れていく。

程なくして鞄がいっぱいになり、私は重くなった鞄を引きずるようにして一階へおろす。

「あ、わすれてた」

私は恐らく自分でも恐ろしくなるような顔で笑ったと思う。私はお父さんの部屋にあった、ありったけのビデオカメラを部屋中に設置する。

———帰ったら見ないとね。

私はほくそ笑みながら家を出た。