ダーク・ファンタジー小説

Re: 血に染まる粉雪と涙に染まる桜 ( No.15 )
日時: 2012/12/26 17:03
名前: 秋桜 ◆SVvO/z.cC. (ID: uMmok.3B)

第六話〜壊れた私と……〜

綺麗な粉雪が私の視界へ入っては消えるを繰り返す。それを見た私はふと、お父さんとお母さんのことを思い出した。
どちらも雪が降っていた時期に通り魔に殺された。

「……次は私……なのかな?」

私は誰とも言わず問いかける。その問いは答えることなく雪を降らす厚い雲に消えたと思う。
そう……思ってた。

「———何が?」

いきなり聞こえた透き通った女の人の声。その声は何処か冷たく近寄りがたかった。

「……誰?」

驚きと動揺を隠し、私は問いかける。辺りを見回したが、私の視界が捉えられる範囲に声の主はいなかった。

「人の疑問に疑問で答えるって失礼な子ね。でも面白いわ」

今度は真後ろ。私は振り返る。其処には冷たい微笑をたたえた女の人が立っていた。歳は優香よりいくつか年上に見える。切れ長の眼が全体の印象を冷たく大人に見せているのかもしれないが。

「で、何が次は私なの?」

「貴方には……関係ないです」

知られたくなかった。赤の他人に。でも、心のどこかで話を聞いて欲しいって思ってた。だけど、私は冷たい声で返した。

「しょうがない子ね……じゃあ、当ててあげるわ。……通り魔に殺されると思ってるでしょう?私が守ってあげるわ」

私がこの不思議だがどこかうそっぽさがない彼女のことを詳しく知るのはこれから何ヶ月もあとのことだった。