ダーク・ファンタジー小説
- Re: 血に染まる粉雪と涙に染まる桜 ( No.2 )
- 日時: 2012/07/30 09:22
- 名前: 秋桜 ◆SVvO/z.cC. (ID: uMmok.3B)
第一話〜日常から壊れていく日常?〜
ごく普通の家庭。ごく普通の生活。
私は高校生になってもそう信じていた。だけど……本当は違った。
「美里の家……変だね」
大切な友人に呟かれたこの台詞。
変といわれるには理由があった。
何年か前母が死んだ。
そして、今から3ヶ月前、父が再婚相手を連れてきた。
そして再婚した。たったこれだけ。
『美里。お前の新しい母さん。今井 優香さんだ』
突如言われた言葉。理解するのにかなり時間がかかった。
父の隣で作り笑いを浮かべている女の人。その人が父の再婚相手?信じられなかった。明らかに女性は私と年が近く見えるほど若い。何故父と再婚したのか理解できなかった。
『よろしくね。美里ちゃん』
優しそうな声で言う女性。
正直私は答えたくなかった。
『美里。あいさつしなさい』
父の優しいけれどどこかどす黒い声。
その声に引っ張られるように言いたくもないせりふを作り笑顔で言う。
『よ……よろしくお願いします……』
頭を軽く下げる。視界の端には満足そうな父の顔が映った。
そして、私と今井優香と父の……生活が始まった。
ごく普通の幸せな生活だった。意外と今井優香もいい人だと思いはじめていた……
そんな事があり季節が代わり冬のある日。私の幸せだった生活が突然消える。
学校から帰る時、雪が降っていることに気がついた。積るかなと思いながら家に帰る。何時ものように本を読む。
今日は優香が居ない。買い物だろうか。
そう思っていた矢先、電話が鳴り響いた。
私は誰だろうと思い電話を取る。
すると切羽詰った泣きじゃっている誰かの声。叔母さんかな……
『み、美里ちゃん!?』
『うん。どうしたの?叔母さん。そんなに慌てて』
『お、落ち着いて聞いてね!———貴方のお父さんが…………』
『父?父がどうかしたんですか?』
『———亡くなったの』
一瞬叔母さんの話が理解できなかった。
今朝あんなに元気にしてた父が……亡くなった?
慌てる私と冷静に受け止める私が居た。
『そうですか……場所はどこでしょう?』
いやに冷静すぎだと思った。
だけど、私は冷静に現実を受け止めた。
『△△通りの……○○ビルの左隣』
『……あそこって確か……』
『えぇ……遺体確認みたいなの……』
『わかりました。すぐ向かいます』
そういって受話器を置く。
そして、制服から着替えて外に出るとうっすら白くなっていた。私は自転車に乗るのをあきらめて走り出す。大体20分ほどでついた。
私はあそこが嫌いだ。暗いし、雰囲気的にも近寄りたくない。まさか、自分の父の遺体確認にいくだなんで考えたくもなかった。
心のどこかで違っていて欲しいと願いながら私は建物の中へと歩みを速めた。