ダーク・ファンタジー小説
- Re: Chage the world ( No.47 )
- 日時: 2017/12/26 18:14
- 名前: 和花。 (ID: qU5F42BG)
26話 ミテス監獄へ
「そういえば、普通に発着場に来て大丈夫だったの?」
「大丈夫。ここは後輩が運営してるから」
帝国の城下町の発着場。
夜のため、人気(ひとけ)がなく薄暗い。
「先輩、久しぶりっス」
ランタンを持って歩いてきた男が来た。
「お、久しぶりだねヨツバ。監視カメラとか大丈夫かい?」
「大丈夫っス。親父がわざと飛空艇調整中にハンマー投げ飛ばして壊して、今はメンテしてるんで」
すごいな… この人の父親。
「ささっと中に入ってください。渡したいものがあるんで」
「丁寧にありがとう。」
「へへっ、褒められるのも久しぶりだな〜」
事務室であろう部屋へ来た。
「これっス。酒場のマスターから貰ったっス」
酒場のマスター… 諜報活動中のディエナだろう。
渡された丸まった紙を広げる。
それはどこかの地図だった。
「ミテス監獄の地図っス。データ化します?」
「よろしく頼むよ」
後ろにあったスキャナーに紙を挟め、データ化した。
それが俺達のスマホに送られてきた。
「紙の方は証拠隠滅のためにシュレッダーにかけとくっス。そこの荷物用のエレベーターから下に降りられるっス。」
「ありがとう。」
ヨツバは手を後ろで組み、胸を張って
「ご健闘を祈るっス。先輩達、どうかご無事で!」
小声で言った。
「行ってくるね、後輩のみんなによろしく頼むよ」
俺達は、エレベーターで山を降り、すぐ近くにあるミテス監獄へ向かった。
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「あれ、行っちゃった?」
「ディエナ姉さん、来てたんっスか!?」
レオン達が監獄へ向かってすぐに、ヨツバの元へディエナが来た。
「今来たの。そういえば、水色の、髪の女の子、いた?」
走ってきたせいか息が少し切れている。
「いなかったっスよ。その子がどうしたっスか?」
「帝国兵から、聞いたんだけど、その子…」
ディエナは呼吸を整えて
「『操られてる』かもしれないの。それで、バハムートの魔石を回収したって。
さっき報告書書き手伝っててチラ見したら、その子の名前が載っててさ」
「連絡した方がいいっスか?」
ディエナは首を横に振る。
この判断が正しいのかわからない。
なぜなら…
ディエナの知っているレオンは、悩むと行動を起こす事が出来ないから。
きっと今のレオンは『助ける』という事で頭がいっぱいだろう。
だから伝えない方がいいだろう。
陰ながらに今まで見てきて、レオンにとってのオリガは大きな存在みたいだったから。オリガにとってもレオンは大きな存在だったから。
だから、みんなに任せておこうとディエナは自分に言い聞かせる。
『みんななら大丈夫』と。
やはり、小さい頃から見てきた者として少し心配だった。
大きくなったからって変わるという事は当たり前じゃない。
「ディエナ、行くなら言ってくれよ」
後ろから少し癖のある声が聞こえた。
振り向くと、毛先の鋭いみんなの姉貴的な存在だった女が階段を降りていた。
「だって急だったんだもん。しょうがないでしょー」
「だからって洗い物全部アタシに押し付けんなッ!置き手紙書くならちゃんと言ってくれ!」
気を取り直して女を真剣な表情で見つめる。
「なんだ?」
「任務を与えるね。レオン達の様子、バレないように見に行って。危なかったら助けてあげて」
「なんでそれをアタシが!?」
「ジュリィ・ティーク。これ、反乱軍としての仕事。頼むよ。じゃあ」
その場を離れる。
「アタシ、反乱軍に所属してないんだけど…」ってジュリィの声が聞こえたけど、やっぱり任せられるのはあなたしかいない。
これは反乱軍…… いや、共に見守ってきて親友だったから頼める仕事だから。