ダーク・ファンタジー小説
- Re: Chage the world キャラ投票をリク依頼で開催中 ( No.55 )
- 日時: 2018/01/14 21:15
- 名前: 和花。 (ID: qU5F42BG)
29話 脱出
「ん? なんだろ」
先ほどから、遠くからこちらへ走ってくる音が聞こえていた。
それにオリガも気がついたのだろう。
「もしかして…」
「何かわかんの?」
情報の中に『脱獄者用のモンスター』的なものがあったような気がする。
その事を伝えた。
「そうなんだ… アレが…」
オリガが指をさした方向に、鋭く尖った角の生えた大きな牛のようなモンスターがこちらへ向かってきていた。
「お〜い、無事か〜」
そのモンスターの前には、フレイとフレイヤ、シドとミントと人の女性が必死に走ってきていた。
「無事だよ… って、ちょっと何連れてきてんのよ!」
「ちっと厄介な事があってよ〜」
すると女性は走ったまま後ろを向き、カードを手に挟み、モンスターへ向かって叫んだ。
「死神のカード、停止しろッ」
少し癖のある声。それは、聞いた事あった。
モンスターは停止した。命が尽きてはいないようだ。
「レオン、東入口から脱出だ!」
「わかった」
角を曲がり、すぐのところにある東入口。
俺達もそこへ向かって走り出した。
東入口に着きフレイ達とも合流すると、モンスターが立ち上がる音がした。
「さ〜て、瞬間移動するよ」
女性が取り出したのは、テレポート石…略して『テレポ石』と呼ばれるものだった。
それを地面に投げつけ1秒ほどたったら、風景は変わり、発着場となっていた。
「飛ばされたのがココで良かった…」
ミントが胸をなでおろす。
テレポ石は、行きたい場所のどこに瞬間移動するか不明という欠点があるからだろう。
「おぉ、皆さんおかえりっス」
ヨツバがこちらへ気づき、歩み寄ってきた。ディエナも一緒だ。
「おかえり、ジュリィ」
「別にレオン達、大丈夫だったぞ」
ディエナに呼ばれた女性… ジュリィ・ティーク。
俺の1つ上で、少し男勝りで賭け事が好きだったやつのはずだ。
ジェシィと共に昔、よく遊んでいた。
ジュリィはこちらを向き、ニコッと笑った。
「これからもお前らに、ついていくからな」
「え、なんで」
「心配なんだとよ、ディエナが」
ディエナがそっぽを向く。だが、すぐ戻った。
その時、フレイのスマホの着信音が鳴った。
「ん? もしもし。…なんだって!?」
すぐに電話をきり、内容を言ってくれた。
「ルミネからだったんだけどよ、今すぐに緑の国へ来いだってよ」
「な、なんで?」
「帝国に襲撃された。あん時みたいにだってよ。しかも… バハムートを使ってだ」
バハムート。それは、幻獣の中で1、2位を争うぐらいの強さを持つ竜王の名だった。
その名だけで、どれほど大変なのか想像はつく。
「行ってきな。各地にいる軍のメンバーには私から言っておくから」
「先輩、頑張ってください」
「了解だよ。そっちも頑張ってね」
急いでユピテル号に乗り、エンジンをかける。
最大速度で緑の国へ俺達は向かった。