ダーク・ファンタジー小説

Re: Chage the world ( No.58 )
日時: 2018/02/02 11:58
名前: 和花。 (ID: qU5F42BG)

30話 戦いへ

壁に囲まれた国内では、帝国兵達と戦っている者がたくさんいた。
建物は燃え盛り黒煙を上げている。また石レンガの塀は崩れ、ところどころの道をふさいでいる。
上空には漆黒の翼を広げた竜……バハムートが飛んでいた。

「いったん隠れよう」

手の甲に火の粉が当たる。だが、そのような事を気にしてられなどいない。
帝国兵や辺りに散らばる亡骸をよけ、少し大きな建物の裏に隠れた。

「シド、ちょっと手伝ってくれないか?」

小声でフレイが問う。

「いいけど、何を?」
「城の地下図書館へ来て欲しいんだ、話はそこ…」

フレイの声を遮るかのように、近くで連続音が聞こえた。
銃を持った誰かがいる。ここで見つかったら命はないだろう。

「だいたいわかったよ。手伝えばいいんだね」

フレイが頷くと「時間を稼いでくれ」と俺達に言い残しシドと共に城へ走って行った。

時間を稼ぐ… この状況だと戦えという事だった。
とりあえずここは、

「分散して帝国兵と戦う。それでいいか?」
「OKだ、じゃあ、行ってくるから」

ジュリィはタロットカードの札を何枚か浮かせ、歩いて行った。
その余裕が少し心配だ。

「レオン、私とフレイヤって一緒に行動していいかな」

提案してきたのはミントだった。
ミントの鞭は、攻撃範囲は広いが威力が弱い。フレイヤの銃は弾1発分の威力は強いが、リロードに時間がかかる。弱点を互いに補うための判断だろう。

「かまわない。行けるか?」
「準備は大丈夫だよ〜」
「こっちもOK」

フレイヤとミントもジュリィとは反対の方向に走って行った。
残るは俺とオリガだけ。

「それじゃあ私も行ってくるとしよっかな」

オリガは形見の槍を取り出し、上空を見た。
いや、屋根までの距離を確認しているようだ。

「屋根の方で戦うのか?」
「まわりが見やすいし、状況も把握できる。私の得意な場所だからね」
「だが裏を返せば見つかりやすいという事になる。おまけに腹の刻印は消えてない。…無理をするなよ」

オリガが一瞬戸惑う。俺は何か変なことでも言っただろうか。

「どうした」
「いや、ちょっとね… レオンが私のこと心配してくれた事にビックリしてね…」
「そうか?」
「ま、まぁ気を取り直して! まわりをよく見るし、無理もしないでがんばるから! ただ… 生きて戻ってこよう」
「もちろんだ。約束、覚えているからな」

オリガは屋根までジャンプし、走って行った。
さて、俺も行くとするか。