ダーク・ファンタジー小説

Re: Chage the world ( No.65 )
日時: 2018/02/13 17:46
名前: 和花。 ◆5RRtZawAKg (ID: qU5F42BG)

長らくお待たせしました。31話です。

31話 緑の国の伝説

緑の国の城の図書館。
一部の者しか入れないその図書館には、緑の国の歴史、国宝、伝説… について詳しく書いてある本が眠っている。

地下へと続く螺旋階段を降り、オレとシドは図書館へ入った。
木製の古いドアを開けた先は真っ暗だった。
火猪を出し、辺りを見渡す。
ところどころ石レンガの壁にはヒビが入り、隅には蜘蛛の巣がかかっている。
本棚も埃をかぶり、長年使われていなかった事がよくわかる。

「スイッチはっと。コレか?」

壁にあったスイッチを押すと、辺りは明るくなった。
中央には使い込まれた茶色の木製の机と椅子が4つ。それを囲むように本棚が並んでいた。

「ここで何を探すのかい?」
「【緑国伝説書】っていうこの国の伝説が書かれている本。オレの記憶が正しけりゃここにあるはずなんだ。」

孤児院にいた頃、フレイヤとオレと女王様と院長で特別にここにきた事がある。
なんの用があってここに来たかは覚えていないが、
『緑の国が危機に陥った時、ここの【緑国伝説書】を探しなさい。きっと’’ある幻獣’’の元へ導いてくれるわ』
と女王様に言われたのだけは覚えている。
’’ある幻獣’’とは何なのかわからない。だが、今、この状況を覆すにはその力が必要だと自然と思えた。

「ら、り…… うげ、り から始まる本はこんなにあんのかよ」
「りょ だから り の最後の方だと思うよ。普通の順番だったら」

りょ から始まる本は見た感じだと約100冊。
この量を2人なら、短時間で見つかるだろう。


「これかな?」

見つけたのはシドだった。
他の本とは違う材質の表紙で、【緑国伝説書】と書いてある。間違いなく、この本だろう。
中央にある机に持って行き本を開くと、目次が目に入った。
関係ありそうなのは、256ページ。
256ページを開く。すると、伝承のようなものが載っていた。

『多次元宇宙より来し機竜 この地に降りし 石となりて眠りこの地を守らん 悪と対峙せし刻 善となりて 悪を伐つ その名は アポロン』

「アポロン…? 聞いたことないな」
「続きを読んでみようぜ」

更にページをめくる。

『機竜は待つ 共に戦いし者の血を引く者を この地に伝わりし秘宝を 目覚めの刻を』

’’ある幻獣’’とは、多次元宇宙より来た機竜… アポロンという事はわかった。
この伝承が正しいのならば、この地…緑の国のどこかに石となって守っているということになる。
また、眠りから目覚めさせるためには『共に戦いし者の血を引く者』が『この地に伝わりし秘宝』を使わなければならない事にもなる。

「フレイ… 確かここの王様だったよね。何かわかるかい?」
「『この地に伝わりし秘宝』ってのはわかるんだけどよ、それ以外がわからない」

『この地に伝わりし秘宝』というのには、心当たりがあった。
それは、この地の王… 緑の国の王となりし者しか知らない国宝のことだろう。

「そういえば石となって守ってるってあったよね。これはあくまで推測だけど、石って石像の事を指してるんだと思うんだ。守るという事は、見ているという事にもなる。」

機竜、石像、秘宝… ん?

「わかったッ!」

シドの話を途中で遮ってしまったが、わかった。
とある場所に心当たりがある。

「昔よく遊んでいた場所に、機械みたいな竜の石像があってその石像の台の丸いとこに欠けている部分があったんだ。んで、その欠けている部分の形が国宝とピッタリなんだ」
「はめるってことかな」
「きっとそうだ。よし、広場へ行くぞ!」
「国宝、忘れないように」
「おっと危ねぇ」

なんだか頭の中がスッキリした。
これでやっとバハムートに対抗できる。それにこの国を守るという事で、恩返しがやっとできるのだから。