ダーク・ファンタジー小説
- Re: Chage the world ( No.74 )
- 日時: 2018/03/04 19:01
- 名前: 和花。 ◆5RRtZawAKg (ID: qU5F42BG)
33.5話 情けない
「そろそろレヴェリーに行くね。ミントの分も頑張る」
昔、よく遊んでいたジャングルの中の海の見える崖にオリガはいた。
思い出の場所… 今はミントの墓標があるこの場所をあとにしようとしたその時だった。
「…誰」
誰かの気配がする。
しかし、周りを見ても誰もいない。ジャングルの木にでも隠れているのだろうか。
念のため槍を取り出し構える。
すると何かの音が後ろから聞こえた。
…後ろだ!
氷球を音のした方へ放つ。
誰もいないはずなのに、氷球がバリアにぶつかり消えた。
そのバリアが消えると同時に現れたのは…
「パナソ… 」
「久しぶりだね」
皇帝の側近にして、帝国を影から操る者パナソだった。
「自我を取り戻してしまうとは… 残念だよ」
「あんたの思い通りには、私はならないよ」
最後にあった頃のパナソとは雰囲気が違かった。
皇帝がいないから? それとも1対1だから?
なんだか、嫌な予感がする。
「私に何の用?」
「君に刻まれた刻印を完全なものにする。それが用だ」
パナソの周りに10本ほどのナイフが現れる。
私の刻印に用があるならさすがに殺されはしないだろう。
刻印のおかげで力は強くなり、辺りのモンスターは楽に倒せるようになった。
でも、また捕まってしまったら刻印にきっと私は蝕まれ、みんなに迷惑をかけてしまう。
どうにかここをやり通さなければ。
飛んでくるナイフを弾き飛ばしなら攻撃する。
「あんたは結局何がしたいの」
「一族の使命を果たしたいだけさ。だから、帝国を利用しているんだ」
「使命って何なの」
「『神を超える者を作る』そう聞けば大体わかるだろう?」
昔話のような何かに、そのような使命を背負った一族がいたような気がする。
確かその一族の名は『ホウフハの一族』。実在しているのか不明だったはずだ。
よくは思い出せないが、世界に関わることであるには変わらない。
もっと、情報を集めなければ…
「キャッ!」
幅の広いジャングルの木に打ち付けられる。衝撃のせいで足が動かない。
…また私はダメだった。1人ではダメだった。
迷惑をかけたくない。その一心でここまで生きていたが、私はいつも助けられてばっかりだ。
情けない。こんなの… 情けなさすぎる。
刻印が紅みを増す。前回よりも効果があるらしい。
まわりがだんだん暗くなっていき、見えていた景色に向かって手を伸ばす。
しかし後ろから伸びてきた赤黒い帯のような物が私に巻きつき、暗い空間へと更に引きずりこむ。
目に溜まっていた涙が流れると同時に、私の意識がとぶ。