ダーク・ファンタジー小説

Re: Chage the world ( No.77 )
日時: 2018/03/14 22:21
名前: 和花。 ◆5RRtZawAKg (ID: qU5F42BG)

35話 魔法的状態異常専門

前方に、今まで見てきた中で一番大きな城が見えてきた。
城の周りには様々な大きさの家や店が立ち並び、飛空艇発着場や駅のホームまである。
その地に住む者ではないからわからないが、地方に住む者から見た感じだと不便なことが一つもないように感じる。

発着場にユピテル号を停め降りた時、どこからか声がした。

「シドさ〜ん、やっほ〜」

声のする方へ視線を移すとコッチコッチと手招きをしている女性が、飛空艇発着場の地上入り口の奥に立っている民家の前に立っていた。

「ん…? あれって…」
「どうした?」

フレイが目を見開いて女性の方を見る。
そんなに見ても距離があるため近くに行かないと無意味だとジュリィが話そうとした時。
フレイが小声で

「やべ… 何言われても覚悟しとかなきゃ」

と言ったのが聞こえた。
フレイがこんな風に言う時は、何かを忘れてしまったり怒られることをしてしまったりした時だけだ。
…ということはあの女性と知り合いということになる。


「シドさん、お久しぶりです。あと、フレイ! たまには連絡ぐらいちょうだいって言ったよね?」
「ご、ごめんな。最近忙しかったからよ…」
「ま、それは置いといて。初めまして、刻印などの魔法的状態異常専門のルミルです。みなさんと私、同い年なんですってね。フレイやシドさんからいろいろ聞いていますので、とりあえず、中にどうぞ」

栗色の長い髪に黒のスーツ。そして、魔法的状態異常を専門とする珍しい医者。俺達と同い年には思えないぐらいしっかりしていて大人びいている。

背負っていたオリガをベッドに寝かせ、こうなってしまった経緯をルミルに話す。
ルミルは1冊のノートを取り出し、刻印を見ながら話したこと、状態などを書き込んでいく。

「なるほどね。」
「どういう状態なの?」
「刻印は外からじゃ消せないみたい。そして、刻印の力にこの子が負けちゃうともう前のようには戻れない。
結構、危ない状態だね。これ作り出したやつ、かなり凄腕だよ…」

外からは消せない。ならばどうすればいいのだろうか。

「どうやったら消せるんだ?」
「刻印に宿ってる主を中で倒す。それしかないかな」
「中って… どこ?」
「この子の精神世界… っていうのかな。急に言うのもあれなんだけど、今から1人、この子の精神世界へ行ってくれないかな? 意識だけ精神世界に飛ばすんだけど」
「そんなら、こいつがやってくれるぜ」
「ちょ、おい!」

フレイが俺の背中を押す。
それは、俺に任せるということに等しかった。
周りを見ると、皆任せたという顔をしていた。

「君が行くの?」

いったん深呼吸をし、ルミルの質問に俺は答えた。

「ああ。俺が行く」

と。