ダーク・ファンタジー小説
- Re: Chage the world ( No.79 )
- 日時: 2018/03/25 18:26
- 名前: 和花。 ◆5RRtZawAKg (ID: qU5F42BG)
〈ちょっとコメント〉
今気づいたのですが、36話を出した時には日付は変わっていたんですね…
ということは、制作時間約2時間40分!? 今までで一番最長だな〜
…ん? コレいらないって? たまには喋らせてくださいよ(笑)
まぁ、37話、始まります。
37話 次の目的
目を開くと、そこはルミルの家ではなかった。
中央には純白の布が敷かれた長いテーブルがあり、囲むように建物を支える柱が並んでいる。
誕生日席のような場所にいる俺のテーブルを挟んだ先には人影があった。
大きな窓から差し込む月光しか部屋を照らすものが無いためはっきりとは見えない。
しかし、その人影は俺の記憶の中にあるものだった。
記憶の中にある名を口に出す。
「オーディン… なのか?」
人影が振り向き、頷いた。オーディンのようだ。
鎧のせいで顔は見えないため、表情はわからない。
いったい何を考え、何を思い、俺をここへ呼んだのだろうか。
「あんたには聞きたい事がたくさんある。」
「ほう… そうか。我もお主に話したい事がたくさんある。しかし… 時間が無いようだ」
話したい事があるなら、時間がある時に呼んでくれ。
「とりあえず、これだけ伝えておこう。お主達、次はハイランドへ行き秘宝を貰い幻獣界へ来い。話は、そこからだ」
「どういう事だよ…」
再び光に包まれ、眩しさで目を閉じる。
「お〜い、聞こえるかい?」
「ん…?」
目を覚ますと、シドとジュリィがこちらを心配そうに見ていた。
「大丈夫そうだな」
ジュリィが胸をなでおろす。
そんなに長い時間、俺は目を覚まさなかったのだろうか。
… オリガは大丈夫なのだろうか。
「オリガは…?」
「大丈夫だよ。目を覚ましてルミルの話を聞いて、フレイヤと先に飛空艇に戻ったみたいだから」
安心した。もう、心配しなくてよさそうだ。
とりあえず立ち上がり、体を伸ばす。
そして、オーディンから聞いた話をシドとジュリィにも話した。
「幻獣王がアタシ達に遊楽の街へ行けだって?」
「そして秘宝を貰って幻獣界へ来いだってさ」
「ふ〜ん。どーいう意味だかわかんないけど、ハイランドへ行くってのは確定っぽいね」
シドはスマホを取り出すと、報告書を提出しに行ったフレイに飛空艇に戻るよう伝えた。
すぐ出発するらしい。
「おや、そろそろ行くのですか?」
部屋の奥の方からルミルがやってきた。
「うん。次の目的ができたから」
「そうですか… 」
ルミルがポケットから何かを取り出す。
「これ、フレイに渡してください。単なる手紙です。中身は内緒ですよ。」
「直接じゃなくていいのか?」
「私には… ちょっと無理です…」
ルミル頬がわずかに赤くなる。
確かに、中身はフレイ以外見ないほうがよさそうだな。
「シドさん達、これからも頑張ってくださいね」
「ルミルも、頑張るんだよ」
「はい! では」
ルミルは俺達が飛空艇に乗って見えなくなるまで手を振り見送ってくれた。
その後俺は自分の部屋に戻り、ハイランドへ着くまで剣を磨く事にした。
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レオンから「ルミルからだ」と言われて手紙を渡された。
オレは自分の部屋に戻って、ベッドで横になりながら読む事にした。
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フレイへ
言葉にできない思いとか、直接言えない事とか、この手紙で伝えるね。
フレイに伝わるといいな… (バカにしているわけじゃ無いからね)
初めて出会ったのは、レヴェリー王就任25周年記念パーティーの時だったよね。
あまりそこまでに至る経緯は覚えてないけど、立場を考えないで一緒にいてあんなに楽しい思いをしたのは初めてだったの。だって私、他の人と分かり合えない事ばかり知ってたり専門だったりするでしょ?
きっとそれが原因で友達いないし…
でも、フレイは話がわからなくても興味深々で聞いてくれたよね。
こういう経験、私にとって初めてで嬉しかったの。本音で語り合えて、私の事を認めてくれて… 本当に嬉しかった。その時話してくれたフレイの話、面白かったよ。今でも覚えてる。
覚えているぐらいいい思いをしたから連絡先交換したんだと今になって思ってるんだ。
時々でもいいから、連絡ちょうだい。
そう言った理由、わかってくれた?
ちゃんと文章を理解しているならわかるはずなんだけど、きっとフレイの事だから念のために書いとくね。
あなたが私の支えになっているから。
自分で思っている事なのに書いてたら恥ずかしくなってきちゃったな…
フレイが私の支えになっているのと同じく私も、フレイを陰からでも支えられるようになろうと頑張ってるから。フレイも頑張ってね。
だから… 悩み事とか旅の話、いろいろな話でもなんでもいいから、連絡ちょうだい。
長くなってごめんなさい。もう紙のスペースも少ないから、思っている事、ストレートに言います。
本当は直接言いたいけど、私にはきっとできないから。
本当にストレートに言うからね? 驚かないでよ?
直接会って話した回数は少ないけれど、私、フレイの事が好きです。
もし、私でいいのならば… 旅が終わったら返事ください。待ってます。
ルミル・ストレイト
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「えぇ!?」
最後の文章により、思わず声が出てしまった。
なぜなら、オレも… ルミルの事は気になっていたから。
あの他者を思いやる心にオレは惹かれていたから。
それよりもっと驚いた事は…
オレが、誰か… ルミルの支えとなっていた事。
緑の国の人達に支えられて生きてきたオレは、緑の国の人達のように誰かを支えたいと思っていた。
まさか、こんな風に実現するとは…