ダーク・ファンタジー小説
- Re: Change the world ( No.82 )
- 日時: 2018/03/29 17:35
- 名前: 和花。 ◆5RRtZawAKg (ID: qU5F42BG)
38話 条件
エリア1は、他のエリアと違っていてアトラクションがなく雰囲気は落ち着いていた。
エリア自体がスタッフルームのようだった。
あたりには事務所のような建物が並んでいる。
ここでハイランド全ての管理をしているのだろう。
「ニャー」
「猫… ?」
どこからか猫の鳴き声がした。
「待てー! ニョー」
後ろから誰かが走ってくる音がする。
「ちょっと、そこの君! その猫を捕まえて!」
「君… ってアタシのこと!?」
猫を追いかけ走ってくる男性が頷く。
それを見るとジュリィは猫を見てタロットカードを取り出す。
「ニャー ニュー ニョー」
「不思議な鳴き方をする猫だな、ちょいと止まりな」
取り出したのはジュリィが最もよく使う死神のカード。
猫の前にいつもとは違う小さく可愛らしい死神が現れ鎌を振るうと、猫はその場で倒れた。
「ジュリィ、『捕まえる』だよ?」
「大丈夫。気絶しているだけさ… えっと…」
男性が猫を捕まえたのを確認すると、ジュリィはさっきのものとは違うカードを取り出した。
「その猫、起こしていいか?」
男性は少し悩むと、
「部屋に戻ってからでもいいですよね?」
「その方がさっきみたいにならないかもね〜」
男性に案内されてついたのは、事務室という看板がついていた部屋だった。
…ということは、この人はハイランドのスッタフなのであろう。
「お願いします」
「了解! さて、猫ちゃん起きろ」
取り出したのは、審判する人が描かれたカード。そこから暖かい光が放たれると、猫を包みこみ、猫が目を覚ました。首元を掴まれているせいか、猫はおとなしい。
「ニョーを捕まえてくれてありがとう。」
「ニョー… ? この猫の名前か?」
「そうです… あ、私(わたくし)はここの最高責任者のタンド・リキンです。みなさんがエリア1に入るということは、私に用があるということですよね」
「リキンさんやっぱ勘が鋭いね。実は…」
オリガはタンドにここに来た理由を話した。
「秘宝… 『他世界への鍵』のことですね。でも、タダではあげませんよ。なんて言ったって、無の守一族の宝ですから。」
「秘宝って名が付くぐらいだもんね」
「…でも、オーディンが言ったんですよね。今から言う条件を満たしたら差し上げましょう」
「本当か!?」
「条件を満たしたらですよ」
「条件とは?」
「ここにあるアトラクション全てやってきてください。この台紙にスタンプを押してもらえばやったという事になります。中には絶叫系もありますので、仲間と分けて乗ってもいいですよ」
「それならきっと簡単だな。さて、行くか!」
「全てやったら再びここに来てくださいね。いってらっしゃい」
そして事務室を後にした。
この条件なら、すぐに達成できそうだった。なぜなら、このメンバーにはこういうのが好きなやつらが沢山いるからだ。言ってしまえば、俺以外だろう。
「なぁレオン、アレ乗ろうぜ!」
「命の保証… できないな」
「何言ってんだよ! あの高さから落ちることは絶対ないって。だから、な?」
「そういう意味… っておい!」
フレイに誘われたのは、絶叫系のジェットコースターだった。
俺が乗り物に弱い事をフレイは忘れているのだろうか。いくら飛空艇は慣れたからってこれはさすがに酔うだろう。乗る前からそれはわかるはずだ。
腕を引っ張られジェットコースターの列に並んでしまった。
後ろにも人が来てしまったため、戻る事は出来ないだろう。
…ここは、酔い止めの魔法をいつも以上に強くかけ我慢するしかないようだ。
俺は、覚悟を決めてそのジェットコースターに乗る事にした。