ダーク・ファンタジー小説
- Re: Change the world ( No.95 )
- 日時: 2018/05/22 20:59
- 名前: 和花。 ◆5RRtZawAKg (ID: qU5F42BG)
第5章 (題名は考え中です)
47話 食材が…
「お、きたきた。遅かったな」
「まぁな」
扉の向こうは、飛空艇のリビングのような部屋だった。
リビング、と言ってもキッチンが付いていてテーブルが中央に置かれているだけなのだが。
「お腹減った〜」
「そういえば朝から何にも食べてなかったな」
フレイとオリガがこちらを見る。
その目線からは『何か作ってくれ』という事が伝わってくる。
「わかった、昼飯作ってやるよ」
「やったー! でも、もう夜だけどね」
窓を見る。すると日の明かりではなく、月の明かりが僅かに入ってきていた。
ヴェルと別れた時はまだ朝だったはず。幻獣界には1時間ほどしかいなかったのにこの世界はもう夜なのだろうか。思考を巡らせてみる。記憶の奥底からとある本の内容が重い浮かび上がった。
それは『幻獣界は時の流れが違う』という事で、時差がどのくらいなのかは証明できていないという事。
その内容が本当ならば、この事のつじつまが合う。
「さて、作るか」
アイランドキッチンの後ろ側にある冷蔵庫の中を覗く。確かシルフ村などで買ったスノラ米やウリブーの肉などの食材があるはずだ。すべて組み合わせれば、カレーが作れるだろう。
ーーー誰もいじっていなければ。
「なんだと……」
「どーしたんだ?」
冷蔵庫、冷凍庫、野菜室の中に食材が1つもない。
予想しなかった展開に少々戸惑いを覚える。
いったい誰が……
「誰が… やったんだ?」
皆顔を横に振る。誰も嘘をついているようには思えなかった。
「なぁ、これは?」
ジュリィが一枚のメモ書きらしきものを見つけた。
きっと食材がない事と関係があるはず。そう信じてその紙を見せてもらった。
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食材があの場所になさそうだから、ここから取っていくぞ。
国の復興のためにって動いてるが、腹が減っちゃ何もやる気がでねぇだろ?
全員分作らなきゃいけねぇから、一応全部持ってっとく。
材料見た感じ、カレーが作れそうだな。
ちびっ子どもが喜びそうだ。
…なぜここに食材があるかわかったてか? 妖精がきっとここに来るよう仕向けたんだろ。きっと
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名前は書いていなかったが最後の言い訳に『妖精』を使っている事から、材料を持ち出した犯人がわかった。
「リベロ、アンタかよ……」
そういえばあの戦いが終わった後、元孤児院、反乱軍アジトで昼飯作りに手伝わされた。
その時に作ったのはカレーだったはず。きっとその時使った食材がここにあったものなのだろう。
「勝手に使うなよ」と言いたいが、俺も調理を手伝ったため「自分で使っただろ」と言われてしまう。
完全にはめられた。
「なんか他にないの〜」
「記憶の限りない。食べに行ったほうが早そうだな」
食べに行くならメェ〜村が一番お手頃だろうが、今の時間はやっていないだろう。
そうすると行く場所が限られてくる。
「フー吉亭ならきっと今でも食べさせてくれるだろう。いや、食べさせてもらおう」
「どーしたんだよ、急に熱くなって」
この件のお詫びのような形で料理を食べさせてもらおう。
そういえば、このメンバーであそこへ行くのは初めてのはずだ。少しワクワクする。
「シド、フー吉亭まで頼む」
「了解だよ」
「来る前に事前に連絡をいれろ」と言われていたこと思い出す。
自分の育った家に予約を入れるのは不思議な感覚だった。