ダーク・ファンタジー小説
- Re: チェンジ・ザ・ワールド 番外編 ( No.10 )
- 日時: 2018/01/22 18:41
- 名前: 和花。 (ID: qU5F42BG)
【番外編】〜昔話編〜
1.帝国の昔話
むかしむかし、あるところに大きな国があった。
その国は周りの街や国を征服し、どんどん大きくなっていった。
しかし…
これは、国… ラファルム帝国の若き皇帝のラークス皇帝のお話。
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むかしむかし、あるところに大きな国がありました。
鉄鉱石が取れたりなどと豊かでしたが、広い雪原にあったためその国に来る人はあまりいませんでした。
ですが、今日、遠いところからお客さんが来ました。
次期皇帝のラークス=エル=ラファルム皇子は、初めて見るこの国以外の人に興味しんしんでした。
皇子のように華やかな貴族の服装で顔つきはどこか、母に似ていました。
「お兄さんお母さんに似てるね。どこから来たの?」
「君のお母さんとは遠い親戚なんだ。今まで隣の国に住んでいたんだよ。でも今日から君の側近になるね」
「そっきん? なにそれ」
「トモダチみたいなものだよ。まぁ、よろしくね」
ラークス皇子とその側近は毎日のように遊んだりしていました。
それを見たお母さんの表情は明るくなりました。
お父さんが光となって消えてからつまらなかった日々が、変わったのです。
そして数年が経ち、ラークス皇子は18歳になりました。
側近のおかげで頭もよくかっこいい人になりました。
朝食の時間のことでした。
いつもの時間に側近とお母さんだけこないのです。
ラークス皇子は気になってお母さんの部屋に行きました。
すると、側近とお母さんが喧嘩をしていました。
「あの子の側近にしたのは争いを静めるためよ。そうすればあなた達の思うような、私達の思うような皇帝になったからよ。なのに、どうして!」
「それではダメなのです。我らの皇子がならなければ」
どうやら、権力争いについての話し合いでした。
昔から側近の故郷の国とラファルム帝国は合体すると決まっていました。
ですが、合体したらどちらを王とするか争っていたのです。
ラークス皇子は隠れて見ていました。
すると側近の手から鋭く輝く物が見えました。そしてそれでお母さんの心臓の辺りを刺しました。
「え…」
お母さんはその場で倒れてしまいました。
ラークス皇子は隠れてなんかいないですぐに飛び出しました。
「お母さん! なんで… なんで!」
「もう終わりにしましょう。この様な事をやっていても意味がない。」
ラークス皇子は言葉にできない様な気持ちでした。
お母さんの胸に刺さっている鋭い物を手に取り、側近にもお母さんと同じ様な事をしました。
「なぜです…」
「お母さんの痛みを知れ! 」
側近もその場に倒れました。
ラークス皇子には、もう信じることができる人も、頼れる人もいません。
ですから、ラークス皇子はこう思いました。
「いないなら作ればいい。どんな手を使ってでも」
それからというものラークス皇子は皇帝となり、周りの街などを征服していきました。
そして、信じ合える兵をつくる事が出来ました。
「次はここだ。いいな」
「はい。」
自分に従うものこそ、仲間と言える。
皇帝はそう思っていました。
だから、逆らうものは切り捨てていきました。
ですが、ある日。
信じ合える兵達が皇帝を襲いに来ました。
「陛下。もうやめましょう。」
「逆らうつもりか」
「いいえ、もう陛下は… 昔の陛下はではない。陛下の味方はもういません。ですから、降伏してください」
皇帝は、兵に言われ気づきました。
今までやっていた事は、理想と違っていた事に。
そして皇帝は降伏しました。
それから皇帝を見た人物はいませんでした。
天へ行ったのか、どこかに身を潜めているのか。
誰もわかりません。
でも、誰にでもわかる事は…
『力が全てではない』という事でした。
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これは、メンダ帝国に伝わる昔話。
書いた人物はわからない。しかし、後世に伝えたいと思われる事は、
最後に出てきた『力が全てではない』という事だろう。
しかし、歴史は繰り返される。
それを止めるのも後世に伝えるのも、今を生きる者なんだとジェシィは本を閉じて思う。
「力だけじゃなくても、大丈夫だよね…」
反乱軍の活動が本当に正しいのかわからない。
だけど、変えなければいけないとジェシィは改めて思うのだった。
そう、この世界を。
ーENDー