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ダーク・ファンタジー小説
- Re: チェンジ・ザ・ワールド 番外編 ( No.7 )
- 日時: 2017/11/04 13:57
- 名前: 和花。 (ID: qU5F42BG)
【番外編】〜記憶の館編〜 1話
ーーーこの世界では、受け止めなきゃいけないことだってある。
でも受け止めた時、人は前に進もうとするんだ。
新世界の東側には黒き森がある。
日夜関係なく日が当たりにくく、訪れる者はめったにいない。
『館』に導かれた者以外は。
そんな黒き森の中央部には『廃墟 ヘゥリティヂュ』がある。
石レンガには苔やひびが入り、家は崩れたりしている。
畑は荒れ川の水がわずかに流れているくらいで、教会と『館』しかもう残っていない。
その『館』こそ『記憶の館』なのである。
何のために建てられたのか不明なこの館には、人々の記憶や想いが本となって眠っている。
いつか、想いが伝わるのを待ちながら…
これは、『記憶の館』での物語。
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今日もいつもと変わらない日々がやってきた。
誰もいない、景色も変わらない…… 変化のない日々が。
日の光がわずかに当たって目が覚めた少女……ナキナ・エテルはこの館の持ち主。
いつからいて、いつからこうなったのかはナキナもわからない。
記憶にないのだ。
寝間着からベージュ色のワンピースに白いエプロンを身につけ、厨房で朝ごはんを作ることからナキナの1日は始まる。
無限と言ってもいいように入っている食材を取り出し調理し、ベーコンエッグトーストを作る。
「あ、焦げちゃった…」
厨房に自分の声だけが響く。
ナキナは、『廃墟 ヘゥリティヂュ』に1人で住んでいる。
今も昔も。きっと未来も。こんな変わらない日々なのだから。
でもそれが、今日で変わる。
そんな気がする。教会の方から。
ナキナは焦げたベーコンエッグトーストを我慢して食べ終わり、教会の方へ向かった。
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