ダーク・ファンタジー小説

Re: 殺す事がお仕事なんです ( No.21 )
日時: 2011/02/23 20:10
名前: トレモロ (ID: vQ/ewclL)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

『余章』

暗い場所。
暗い空気。
そこにいるモノ全てに暗さが溢れる。
まるで光を拒絶するかのように……。




ああ?進藤が殺されただと?どこの奴の仕業だ?
「不明」
じゃあ俺に話を持ってくんじゃねえよ!
こう見えて俺は忙しいんだ!
「……。だが、推測としてとある人物が上がっている」
じゃあ、それをサッサと言え!この機械人間が!
「……木地見輪禍」
!!——……。
そいつはマジか?
「推測の域を出ない。そう先ほど前置きした」
っち、糞が。なんだってあんな変態に……。
「恐らく我々の【組織】に敵対する関係のモノたち」
んだよ。そんなの心あたり多すぎだっつうの!
……。そういやあ、あの変態は【警察】とも繋がってるんだよな?
「肯定。でなければあの様に大きく動けるはずがない」
じゃあ、あいつを殺したのも警察の命令の可能性があるな……。
「可能性は在る。だが…」
うっせえよ、どうせ『推測の域を出ない』とか言うつもりなんだろうが!
んなもんは聞きたかねえ!俺の仕事は疑いのあるものに【制裁】を加える事なんだからな!
「……」
あ、てめぇ!今、はなから仲間じゃない奴に制裁も糞もねえ、とか思っただろ!!
「否定。思っていない、全く」
いーや、思ったね、その反応は思った証拠だ!
ケッ、顔は鉄仮面なくせに、中じゃ皮肉にあふれやがってよ!
ちょっとは笑ったらどうだ、そうすりゃ面は結構いけんだからよ。
「……。私は女性としての標準思考に理解が乏しい」
へっ、つまんねえ女。

「駄目だよ!そんなこと言っちゃ!」
ぬわっ、いきなり出てくんじゃねえよ!何時から居やがった!
「そんなことはどうでもいいだろう?それより鉄仮面ちゃんの言った事を再考しよう!」
「……。私の名前は鉄仮面じゃない」
「しっているよ?只のジョークだジョーク。世の中冗談というものが在るから人生楽しいんだよ?【笑い】。それを提供する芸人たちには敬意を持とう!」
今芸人の話なんかしてねえよ、アホンだら!
つーかお前なんでここにいる?【組織】の本部は?
「ああ、あそこツマンナカッタから【壊してきた】」
なっ!てめぇ!!どういう事だ!そんなことして只で済むと…
「あーストップストップ。だからさぁ〜ジョークだってさぁ〜。一々反応し過ぎ。【組織】を敵に回して、生き残れると思うほど俺はボケちゃいないよ〜」
……。っち、どうだかな。
「会話修正。木地見輪禍の処遇は?」
「決まっているだろう!殺すんだよ!!」
そうだな。
「……。だが問題がある」
あ?なんだそりゃ?
「【便利屋】が動いている。正確には助手の方が」
は?なんでだよ?あいつになんの関わりが在るってんだ?
「どうやら殺された進藤卓也の娘が捜索を依頼したらしい」
面倒だな、どうするか……。
「決まっているだろう!殺すんだよ!!」
さっきと一字一句違わずに言うんじゃねえ!
なんで【便利屋】と娘まで殺す必要がある!?意味がねえだろうが!
「意味がない?いいじゃないか意味がなくて。意味なんかいらないさ、僕がそいつらを殺したいんだ」
……理由は?
「理由?クッ、はひ、ヒャハハハハハハハ!!そんなものは無い!ただただ、殺したいんだよ!殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して。相手が死んでも殺して、死ななくても殺して、笑顔で悲しみにあふれて、狂ったように、まともな顔で!丁寧に丁寧に相手をすり潰して!どいつもこいつもあの世におくりたいんだよぉおおおおおおおおおお!!!!ひはハハハッハハハハハハ!!!!」
……、狂ってる……。
「……同意、だが制止できる可能性は皆無」
っち、なんでこんな奴が【組織】の幹部なんだ。
おい、ところでその【便利屋】達の居る場所はどこだ?
「街のはずれにあるバー。看板名は【ロゼリオ】」
「ひハハハハハハハ、ハッハハハハ、ハハハ、はぁ〜。そうか【ロゼリオ】ッて場所にいるのか!じゃあさっそく行こう!!」
落ち着いたか。あんまり派手に動くなよ?殺しも極力するな。
「ああ、解ってる。心得ているさ」


「死なない程度に全員殺してやる」




暗い場所。
暗い空気。
そこにいるモノ全てに暗さが溢れる。
まるで光を拒絶するかのように。

まるでそこに元から光など無かったかのように……。