ダーク・ファンタジー小説

Re: スキルワールド ( No.21 )
日時: 2018/04/22 12:54
名前: マシュ&マロ (ID: BB67RT0Y)


 「 ・ ・ ・ えぇ...はい..はい、よろしくお願いします、では...((ピッ!」



 ボスとの電話を切った龍紀、肩から力を抜いて友間とシセラの方へ体を向き直した

 「 ・ ・ ・ その...援助は呼べたんだけど....、軍用ヘリを使っても最低でも丸二日はかかるってさ」

 「じゃあ、二日間は援助が来るまで町の中でサバイバルか?」

 「まー・・・そうなると思うけど、ボスから追伸で『大変だと思うが味方なら、もう一人君達の近くにもいるはずだ』って言われた」

 「..?、...ん〜“もう一人の味方”..?」

 すると友間はピンとくるような出来事を思い出した、・・・それは町に着いてからの道のりで誰かに追われてると思ったという感覚だ

 「味方は、俺達の周りに...いる....。」

 意味深そうに友間は言うと考え込んでいた顔を上げて周りを見回してみた、しかし自身を含めてシセラと龍紀の三人以外は誰の気配もしなかった

 「ん〜・・・・ 一体何処にいるんだ....」

 だが友間に急な尿意が襲ってきて、トイレがないかと周りを見回していると外の工事現場に簡易式のトイレがあったのを思い出した

 「ごめん龍紀、ちょっとトイレ行ってくる」

 「んっ、うん分かった..?」

 そう会話してから部屋のドアノブを回す友間、ここはビルの一階にある部屋だったから部屋を出てから更にビルの玄関にある押しドアを押して開けると外へと出られた

 「え〜と、トイレは.....おっ! あったあった〜♪」

 そう言いながらトイレを見つけると早速トイレのドアを開けて中へと入っていく、この時ドアを閉めるのも忘れずにきちんと閉めた

 「ふ〜と、さっさっと済ませるか」

 友間はそう言いながらズボンのチャックを全開にすると、用事を済ませるために用を足した。だがそんな時だった・・・・


 コンコン! ガチャ!


 急にドアが開くと友間の背にナイフが突き出されたのだった


 「・・・・あ、あの〜...どちら様で..?」


 [〜 ・ 一方その頃 ・ 〜]


 「ねぇシセラぁ~、友間なんか遅いねぇ〜」

 「は、はい...確かに ・ ・ ・ 遅い...ですね」

 そんな風に暇をもて余す二人だったが、部屋のドアが開いた事で二人共ドアの方へと振り向いた

 「もぉ〜、遅いよ友ま...ぁ....」

 「よおガキ、また会ったな」

 そこにはアパートに押し入ってきた男がいたのであった

 「マズイッ! ((ジャキッ!!」

 ハンドガンを構える龍紀、だが動くのが一足遅かった


 バシンッ!!


 頬への平手打ちが炸裂してバランスを崩してしまい銃を落としてしまう、急いで拾おうとするも男に腹辺りを掴まれ宙へと投げ出された


 バリンッ!!


 運が良いのか悪いのか、龍紀は部屋にあった窓からガラスを割って外へと姿を消してしまった

 「これで、どっらも恨みっこ無しだ」

 そう言って男は龍紀に撃たれた両膝を摩って深く息を吐く、さすがの頑丈さにも弱点はあったようだ

 「まーあとは、お嬢ちゃんの始末ってだけか」

 そうしてシセラへと足を動かす男、それをシセラは体を引きずりながら後ろへと後退する


 ズリ....ズリ....ズリ..、ドンッ!....。


 背中が壁に触れる、これでシセラは逃げ場を失ったというわけだ

 「あ...あぁ..助...けて..、お姉..ちゃん...」

 「そんな震え声で言おうが誰も来ねぇんだよ、バカが!」

 「ぜ、絶対に...来ま..((ドゴッ!!」

 一撃の拳がシセラの腹に当たる、これでも軽めなのだが何せ体が弱いため口から吐血を吐き出し自身の服と男の片腕を汚した

 「チッ!、汚ねぇな....楽にして殺ってやろうと思ったが、思う存分になぶり殺してやんよ」

 その声と共にもう片方の腕がシセラを見下ろすように掲げられる、思わず目を瞑ったシセラだがジャッキーのある一言を思い出した




 ・・・・・・〜・・・・・・〜




 「ねぇ、シセラってさ人は好き?」

 「や、優しい....なら好き..かも」

 「そっか、・ ・ ・ ・ でも世間は優しい人ばかりじゃない、シセラのお母さんの様な人だっている」

 「うん ・ ・ ・ 、怖...いし嫌...。」

 「まぁそうね、....だけどねシセラ、もしアナタが怖い人達に襲われたりしても・・・私がそばに居れなかった時は自分で、自分の力で戦いなさい!」

 「自分の....力..?」

 「そう、アナタにあるスキルで戦うのよ」

 「だ、だけど....人が傷つくのは....、...見たくない」

 「うん。私だって同じ気持ちだもん、....でもアナタにとって大切な人や失いたくない存在があるなら必死で戦いなさい」




 ・・・・・・〜・・・・・・〜



 「......たく...ぃ」

 「あぁッ!、何ぶつぶつ言ってんだよ....たくっ!」

 「死に....たく..ない」

 「おいおい、泣いてんのか嬢ちゃん、まったくこれだからガキってのはなぁ」

 「私は...生きる.....いえ、...生きてみせます!」

 「はいはい、そうですか知るかよ」


 そう言って振り落とされた拳、だがその拳はシセラでも何でもない空間に落とされ空振りした....いや、空振りではなく避けられたの方が正しいか?

 「なっ!、普通に歩くのも大変なガキのくせに!」

 そう言って憤慨する男から少し離れた場所に息を切らし膝が震えながらも壁に触れて立っているシセラがいた

 「ハァ ハァ ハァ ハァ 危な...かった..。」

 「クッソ!、ガキがぁ!」

 男が右腕に力を入れながらシセラに向かって襲いかかってくる、だがシセラは体力を使い果たしており移動すらままならなかった

 「(使いたくは....なかったけど、殺るしか....ない!!)」


 スゥ~......““苦痛ノ解放””ッ!


 そうシセラが叫んだかと思うと同時にシセラを中心とした爆発が起こり、男もろとも部屋の所々を吹き飛ばし全てを爆風と一緒に焼き払ったのであった




 「ハァ ハァ ハァ ハァ も...ぉう、限か....!!..ゲホッ! ゲホッ! ((ドサッ!」

 さっきの爆発で焦げてしまった床にシセラは多量の血を吐きながら倒れた、そんな時に誰かがシセラの目の前に現れた・・・・ 。