ダーク・ファンタジー小説

Re: スキルワールド ( No.22 )
日時: 2018/04/25 17:07
名前: マシュ&マロ (ID: BB67RT0Y)

 
「ゲホッ!....ケホッ! ケホッ!......、ハァ ハァ ハァ ハァ 苦...しい...」


 壁に空いた所々の穴から血を吐いているシセラの血を、より赤々として月明かりが照らしだしていた。しかしそんなシセラの視界の端には赤い目をした者が入り込んできた


 「もぉー大丈夫、シセラ?」

 「お...姉ちゃん........。来て...くれた...の..、....ケホ!ケホ!ケホ!」

 苦しみながらもシセラは頭を声のした方へと上げる。すると幻か本物か、シセラに笑顔を見せている姉のジャッキーの姿が見えた

 「はい、これ飲んでみて」

 「え.....何?、...ソレ?」

 ジャッキーはシセラに青色の液体の入った小瓶を差し出した、だがシセラは小瓶を取ることが不可能なまでに衰弱していた

 「冗談よ冗談♪、少し辛いと思うけど我慢してね」

 そう言ってからジャッキーは妹の体を自身に優しく引き寄せると小瓶の蓋を開けて中の液体を口へと注ぎ入れた

 「グビ!...グビ...グビ...)) んっ! うっ!」

 顔を少し歪めるシセラ、だがジャッキーは苦味に苦しむ妹の顔と小瓶を持った手だけは絶対に緩めなかった

 「もう少しだから、もう少しだからねシセラ」


 グビ!...グビ....グビ.....グビ・・・・。


 「ぷは!...、ハァ ハァ ハァ ハァ ハァ 」

 「よし!、よく頑張ったわねシセラ♪」

 「どうして....ココに...、お姉ちゃん..が...?」

 そうジャッキーに問いかけるシセラはゆっくりと楽になった体の上半身を起こした

 「それは姉としての...勘..かな?」

 「...勘....」

 「あっ、それより龍紀と友間はどこにいったの?」

 「ゆ、友間さんは...トイレに行ったまま行方不明で.....龍紀さんは...そのぉ〜」

 「おぉ〜い、僕なら無事だよ〜〜」

 ちょうど後ろから龍紀のそんな声が聞こえてきて、シセラとジャッキーは振り返ってみると壁にある窓から今入ってくるところの龍紀の姿があった

 「ふぅ〜、ここが一階の部屋で本当に良かった、でなかったら僕なんて死んでたよ」

 投げ出された時に窓のガラスで切ったのか、いたる所に切り傷ができていた

 「それじゃあ残るのは友間だけって事ね」

 「あ、あの....京八さんは..?」

 「おう!、俺ならここに居るぜ」

 シセラの疑問の後すぐに服がボロボロになった京八が部屋へと入ってきた

 「ジャッキーがいて助かったぜ、危うく敵に捕まるところだったぜ」

 「そ、それは京八が私の足を引っ張ってたから仕方なくよ」

 「たく、そんなお前ぇの所が可愛くねぇんだよ!」

 「ふん!、あんたに可愛いなんて言われたくも思われたくも無いわよ」

 「ま、まぁまあ二人共、まずは友間のことを心配しようよ」

 「そうね、友間って今回の任務が初めてだったしね」

 そんな会話をしていた四人の耳に、好戦的というか物怖じしなそうな女性の声が聞こえてきた

 「その心配はいらないわよ、だって友間なら私の隣にいるもの」

 全員が女性の声がした方を一斉に見る、確かにその隣には高身長の女性と比べて頭一つ分ぐらい小さな友間がいた

 「何者よ!」

 「今助けるぜ黒奈!」

 「ジャキ!! )) 敵なら、撃ち殺す」


 完全な戦闘態勢へと移ってしまったジャッキー・京八・龍紀、その様子を見ていた女性は嬉しそうに片手を少し上げて構えるとスキルを発動しようとした


 「ちょっ!ストップ!! ストォーップ!、何今から戦闘を始める雰囲気になってんの!!?」

 「えっ?、だって敵なんだろ黒奈?」

 「そうさ、私がお前らをボコボコに.....。」

 「お姉ちゃんは黙ってて! そうだ、三人にも状況を説明しなきゃね」

 「「「ハッ!?、友間の“姉”??」」」