ダーク・ファンタジー小説

Re: スキルワールド ( No.23 )
日時: 2018/04/29 12:28
名前: マシュ&マロ (ID: BB67RT0Y)


 「でっ、美香さんは友間の姉って事?」

 そう聞いてみるジャッキー、友間の姉を改め“黒奈 美香(くろな みか)”は少し笑ってから返事を返した

 「ああそうさ、....だがまぁ少し前に久しぶりに実家に帰ってみたら母親が殺されてたの衝撃的だったな〜」

 軽い感じでそう言ってる美香に対して、友間は母親の事をすっかり忘れていた事に気づいて心で苦笑いを浮かべた

 「そんじゃあよ、黒奈の姉さんが何でここに居んだ?」

 「まぁー、話すとちょっと長くなるわね〜・・・・。」


 [〜 回想シーン 〜]


 美香はストラング基地の廊下を歩いていた、その理由は署長室に向かうためだ

 「ガチャ! )) おーい金森ぃ、呼ばれたから着てやったぞ」

 「美香、そろそろ私のことをボスと呼んでくれないか」

 「何でよ金森?、年下だろうが年上だろうが結局は人間同士でしょ?」

 「まったく、お前のその持論はよく分からんな」


 そうこう言いながら二人は対面する様にソファーに座ると、少しして一人の少女が二人分のお茶を運んできた


 「すまないね、ハルカ」

 「いえ、“金剛おじさん”の手伝いになるのなら嬉しいです」

 その言葉を聞いた途端に美香は飲んでいたお茶を吹き出してしまった

 「ブゥッ!! )) ゲッホ!ゲホ!ゲホ!、金森あんた“金剛おじさん”って呼ばれてるの?」

 「それがどうした?」


 そのボスの回答に美香は笑いが込み上げてきて思わず笑ってしまった


 「いやいや、あんたって今年でいくつよ?」

 「・・・・ろ、68だ....。」

 「ぷっ!....ハッハッハッハッ!!、あんたさぁーそのなりで60代とかって笑えるわね」

 「仕方ないだろ、アビリティアというのは長生きな分だけ容姿の変化が遅いのだから」

 「でも私にとっては、金剛おじさんは金剛おじさんです」

 「まあ人それぞれだから良いけど、あんたが少女趣味だったのかと思ったわよ」


 思い出し笑いなのか美香はまだ少し笑っていたのでボスは一発殴りたくなった、だがここは大人の対応で本題に移ることにした


 「ところで美香、お前への任務がある」

 「んっ?、私に任務とは珍しいわね?」

 「お前への任務の内容は、『今任務を行っているメンバーのサポートとして尾行を行い、時には援助に回る』というものだ」

 「まー任しといて、何かあったら敵とか殲滅しちゃうから」

 「それとだが、お前に兄弟とかはいたりするか?」

 「??、....6つ下に弟がいるけど何か?」

 「いや、何でもない、任務に関しては任せたぞ」


 そう言ってボスは何故か話を終わらせた、疑問が残りながらも美香はソファーから立ち上がると部屋を後にした



 [〜 そして現在へ 〜]



 「.....ってな訳、まさか弟がストラングに所属したなんて思ってもみなかったけど」

 「俺も一緒の心境だよ、お姉ちゃんがどんな仕事してるのか思ってたらストラングで働いてたなんて」

 「まぁーでも意外と楽しいんだよ、今の仕事の方が......よっし!、じゃあ移動するわよ」

 「えっ、お姉ちゃん今!?」

 「だって敵にここが知られるのも時間の問題だし、こんな固い床の場所で眠る気なんて無いわよ?」


 そう言うと部屋を歩き出して外へと向かう美香、全員は痛んだり疲れたりしている体に無理を言って渋々立ち上がった


 「シセラ、車椅子が無いから私が背負ってあげる」

 「あ.....ありが..とう..、...お姉ちゃん...」

 「黒奈ぁ~、ちょっと肩貸してくれ〜」

 「はいはい、分かったよ京八」

 「それじゃあ皆、行こうか」


 全員の準備が終わったのを確認すると、美香はそう言って全員は夜の街中へと美香の背を追って歩き出した

Re: スキルワールド ( No.24 )
日時: 2018/05/02 19:37
名前: マシュ&マロ (ID: BB67RT0Y)



 「ガチャ! )) いらっしゃ〜い、ささっ入って入って」

 そう言って全員を誘導する美香、どうやら彼女は賃貸マンションを借りていたようだ

 「フゥ〜〜、さすがに戦いの後に長距離の移動はきついわねぇ」

 そう言いながらシセラを背から降ろすジャッキー、これを見習って友間も京八を床へと静かに寝かせた


   ビキッ!!!


 「イーテテテテェッ!!、こらゃ明日は全身が筋肉痛だな」


 苦笑いしながら言っている京八、かなり無茶をしていたようだ


 「ふふ、やっぱり京八は無茶が好きだね」

 「いやいや龍紀、俺はあんまり好きじゃねぇぞ」

 「そお?、昔から無茶する事が多かったし無茶してる時の京八って何か楽しそうだし格好良いよ?」

 「た、龍紀、お前は男だろうが、そのセリフは女になった時に言ってくれ」

 「照れてる?」

 「て、照れてねぇ...((ビキ!!」

 「あ〜らら、これはキツそうね京八」

 「そ、そんな事ねぇぞジャッキー」

 そう言って上半身を起き上がらせる京八、だがジャッキーはジトッとした目をして一言呟いた

 「ふ〜ん、そうなんだぁ〜」


    ・ ・ ・ バシンッ!!


 ジャッキーの平手打ちが京八の背中に直撃する、あまりの痛みに声は出さずも身を揺らして痛みの度合いを表していた

 「イ〜チチチチ!、何...すんだ、ジャッキー」

 「無茶する男って今時期はモテないわよ、明日は縛ってでも安静にしてもらうからね」

 「だけど任務があんじゃねぇか」

 「任務なら私達に任せて、ちょうど美香さんも居るんだし」

 「あ〜、その事だが私はやらんぞ」

 「えっ?、どうしてですか?」

 「私は別に助っ人しに現れたんじゃない、あくまでアンタらが任務を遂行できるように道をセッティングするだけだ」

 「じゃあ....。直接的には手は貸さない、という訳でしょうか?」

 「そーゆう事、これも社会勉強だと思って受け入れなさい」

 「そんじゃあ俺も明日...((バシンッ!!)..イーテテテ!!?」

 「だーから、あんたは明日はシセラと留守番よ!」

 「えー待ってくれジャッキー」

 「待たないし聞き入れません」


 そんなこんなで文句を言いながらも京八は、シセラと見張り役の友間の二人+美香と一緒に留守番となりました

Re: スキルワールド ( No.25 )
日時: 2018/05/04 14:28
名前: マシュ&マロ (ID: BB67RT0Y)



 今は夜、まだ夜が明けずも少し明るくなってくる時間帯だった。そんな時間に友間達の眠っているアパートの屋上に動きがあった


 「ここが...、そうか」 

 「ああ。ここに奴らが居るらしい」


 数にしてザッと数十人の武装集団が屋上で待機していた。その手にはアサルトライフルが各自で握られている


 「...1....2....3..、よしッ! 乗り込むぞ!!」

 「うっひょー!、大勢揃って大掛かりですねぇ〜」


 「「「「「「ハッ?」」」」」」


 突如として聞こえてきた女性の声に屋上にいた全員が驚いて声の主へと素早く顔を向けた


 「ヨッ!、今の時間帯って{おはよう}それとも{こんばんは}の方が良い?」

 「き、貴様は!、誰だッ!!」

 「んっ、私はただの友間の姉さ」

 「話し通じてんのか!!?」

 「まーそんな話は隅に置いといて、私らに何か用」

 薄笑いを浮かべて武装集団に聞く美香、背に満月が浮かぶため薄笑いが悪魔の微笑みの様にも見える

 「何の用かって?、それはこれだ!!」

 その瞬間に銃口が一斉に美香に向けられ引き金が引かれる.....が、...美香は動かなかった

 「ハァー、・・・・【逆再生】((パチン!」

 そう言ってから指を鳴らした瞬間、銃口の先から放たれた弾丸は巻き戻しボタンでも押されたかの様に銃口の中へと戻っていた

 「時間が操れるアビリティアか、....なら数で攻めろ!!」

 すると武装集団が大勢で美香へと迫ってくる、だが再び美香は片手構えると一言呟いた


 「・・・・【笑い月】((パチン!」


 指を鳴らしたと同時に背にしていた満月の光が強くなったような気がした、すると次の瞬間に奇妙な光景が広がっていた

 「ワーハハハハハハ!!、ワーハッハッハッハッハッハ!!!」

 その場にいた美香を除いて全員が急に大きな笑い声を挙げて笑い出したのであった

 「どお?、何故か笑っちゃうでしょ」

 そう満足気にその場にいた全員に聞いてみる美香、そして次の手を実行させた

 「次は【巨人の行進】((パチン!」

 今度は指を鳴らした瞬間に美香の右腕がどんどんと大きく肥大化し、像でも掴めそうな程の大きさになった

 「じゃっ、バイバ〜イ♪」

 そう笑顔で最後のお別れを言うと右腕を武装集団へと大振りで横に振り、全員を吹き飛ばしたのだった

 「・・・・んーーー....最近の男って踏ん張りってのが足りないわね〜」

 そんな事を言ってると眠気でも襲ってきたのか美香は大きくアクビをし、天高くに背伸びをする

 「あ〜眠っ、サッサッと夢の続きでも見よっと」


 そんなこんなで美香はベッドを求めて自宅へと戻っていったのでした.....。

Re: スキルワールド ( No.26 )
日時: 2018/06/10 00:33
名前: マシュ&マロ (ID: BB67RT0Y)


 眠っていた友間達は台所からの物音で目が覚めた、ただし例外として京八は爆睡していた


 「おっ 起きたか、ちょうど朝食ができたところだぞ♪」

 そう言って台所から現れた美香の手には大皿に盛られた大盛りの[もやし炒め]と[チンジャオロース]の二品だった

 「こ、これは流石に....。」

 この様な反応を示すジャッキーと打って変わってシセラと龍紀は目をキラキラと輝かせていた、もしかしてこの二人って大食い?

 「お、おーい京八、朝食みたいだよ」

 「ガァー、ガッ......んっ・・・飯か、黒奈?」

 「そうだよ、ほら起きて起きて」

 「ん〜、一晩寝て体が楽になっ....」

   ビキッ!!!

 「うぅぎゃああああああ!!、体が!、体の全身がぁ!!」

 「どうやら、今日は本当に俺とシセラとで留守番みたいだな」

 「絶対に意地でも外へ出てやる」

 そう言って無茶苦茶な歩腹前進で逃走を試みる京八だったが、虚しくもジャッキーの踵落としが腰にヒットし絶叫するだけに終わった

 「こ....、腰が...ぁ・・・」

 「何ごちゃごちゃ言ってんの?、飯よ飯!」

 「き、気の毒そうだけど今日ばかり諦めた方が良いと思うよ」

 そう友間は言った後に腰の痛みで動けない京八に肩を貸して朝食へと向かわせた


※この後のシセラと龍紀の食べっぷりに友間はかなり驚かされました※


 [ 〜 時間は進んで 〜 ]


 「お〜い、大丈夫か京八」

 「ああ黒奈、何とかな」

 今は昼を過ぎた頃だろうか、ジャッキーと龍紀は周辺の安全確認と言って部屋を後にし美香は用事があると言って出掛けたっきりだ

 「あっそうだ京八、昨日のジャッキーとお前に何があったんだ?」

 深い意味は無いが何となく知っておきたかった、そして京八の返事を待った

 「別に言うような事も無かったぞ?」

 「あ...、あの..私も...知りたい....です」

 「まっ、二人がそう言うなら話そうかな」

 そう言って京八は昨日の事について淡々と話を始めたのだった