ダーク・ファンタジー小説

Re: スキルワールド ( No.39 )
日時: 2018/06/13 21:42
名前: マシュ&マロ (ID: BB67RT0Y)



 友間は寝ていた、疲れてしまったのか廃墟ビルの廊下で夢を見ながら眠っていた



 「んー・・・・、前もこんな展開だったっけ?」

 そう言いながら寒くて何も見えない空間を上下左右に浮遊している感覚があった

 「・・・・・でっ、俺に何の用?」

 あまりの目の前の眩しさに目を細める友間、そんな友間の目の前には一度だけ見たことがある結晶らしき物体があった

 (「あっ、スミマセン呼び出してしまって。ですが一つだけ伝えたい事がありまして....。」)

 「え〜と....、まぁまず話を聞かせて下さい」

 (「実は私は、こんな姿なのですがアナタ様のスキルの化身でございます.....」)

 「 ・ ・ ・ えッ!?、俺のスキル? スキルの化身??」

 (「えーとあの、話の続きをよろしいでしょうか?」)

 「え、あっスミマセン、続きをお願いします」

 (「先程に話した通り、私はアナタ様のスキルの化身のような存在であり、もう一人のアナタ様のような立場です」)

 「よく意味が分からないのですがぁ.....。」

 (「そうですか.....なら、この姿はどうでしょうか、性質<炎>」)


 すると結晶は燃え上がり徐々に形が変化していく、そして最終的には炎に包まれた少女の姿へと変化していた


 「も、もしかして俺が吸収した炎なの?」

 (「はい!、面と向かって会うのは初めてでしたね。」)

 そして炎の顔が揺らぎ少女が微笑んだのが直感的に分かった、次に友間の思考に疑問が浮かんできた

 「聞きたいんだけど君が炎の化身って言うならさ、他の性質の化身とかもいるの?」

 (「はい、おられますよ。....ですが、今は眠っておられます.....。」)

 「?、じゃあ君は何で起きてるの?」

 (「それは、その....。アナタ様が...いえ、友間様がお頭を破損された時に炎の性質を使ってなされたのが原因かと思われます。」)

 そう丁寧に答えてくれた少女、すると友間はもう一つ疑問が浮かんできた

 「それとさ、俺って頭を粉砕されたのに何で生きてたの?」

 (「簡単に説明させて頂くと、炎というのは叩かれようが斬られようが炎なので何度でも同じ姿に戻ることができ、炎の源である薪...つまり友間様が生きている限りで何度でも再生いたします」)

 「えーと、つまり俺はスキルを使ってる最中は死なないって事?」

 (「はい、つまり何らかの性質に変化している時だけは体の全てが消滅しない限りで元に戻ることが可能です」)

 「ん〜・・・あっ、じゃあ石とか木とかに変化してても再生するの?」

 (「はい、そうなりますね」)

 少女から話を聞いていて友間の心境は色々と混乱していたが、体が後ろに引っ張られるような感覚で我へと返った


 (「時間がないようですね...。では最後に私から渡したいモノがあります」
)


 そう言うと少女の燃え盛っている手が友間の手に触れて友間の体が一気に燃え出した、けど熱くはなく温かった

 (「では、さようなら。友間様」)

 どんどんと視界が炎で覆われていく、しかし友間は視界に入ってくる炎を払うように頭を振ると少女に聞いた

 「聞き忘れてたけど!、君の名前は何て言うの!?」

 だが意外にも燃えている少女の顔から現れたのは驚きの表情だった

 (「あっ!失礼しました、私には名前などないので答えように困りまして....。」)

 「なら俺が名前を付けるよ、えーとちょっと待ってね・・・・・。」

 そんな友間を焦らすかの如く友間の体は下半身から段々と燃え消えいく、すると思い付いたのように友間は声を挙げた

 「えん!、君の名前は炎!。あっ、でも女の子に対して失礼かもしれ・・・・」

 (「私.....いえ、エンは名前を頂き嬉しいです♪」

 「それなら良かっ・・・・・。」


 ホッとしたのも束の間、友間の体は一気に灰と化してエンの前から姿を消してしまった


 (「・・・・・・。頑張って下さいね、友間様」)