ダーク・ファンタジー小説
- Re: スキルワールド ( No.5 )
- 日時: 2019/09/07 23:04
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
今度は肩を揺すられて起こされた友間、すると直ぐに自身が椅子に座らされているのに気づいた。
「んっ?、・・・・・・え〜と....こんにちは?」
友間の目の前には自分と向き合って座り、服装は黒服で容姿は黒髪にオールバックの整った顔立ちの男がいたのであった。
「やぁこんばんは友間くん、.....私はストラング第2基地の署長を任されている金森 剛(かなもり ごう)という者だ。まぁ周りからは“ボス”と呼ばれてる」
「・・・・・・1つ聞いて良いですか、ここって何処ですか?」
友間は警察の尋問室のような部屋の所々を見渡しながらボスにそう聞いてみた。
「・・・・・・大まかに言えば日本の海に浮かぶ無人島の地下にある基地の中だ。もう少し細かく言えば一般人では誰も知る者がいない島という事かな」
「.....っで、俺はどうなってるんですか?」
「っと、言うと?」
「俺の体が木だったり鉄だったりに変化したんです、普通じゃ信じらない事が目の前で起きたんです.....」
「 ・ ・ ・ それは“スキル”という普通ではありえない力だ」
ボスは何か物深しそうな雰囲気で友間に言った、しかし友間には理解できずにボスに聞き返してみる。
「え〜と.....つまりスキルって何ですか...ボス」
「もう少し詳しく言えば、スキルとは使い方で周りにも自分にも危害を......ん〜、やっぱり実際に見せた方が早いな」
するとボスは座っていたパイプ椅子から立ち上がると片手の襟を少し捲って友間に肌を見せたかと思うと次の瞬間にボスの片腕がダイヤの腕へと変化する。
「ワッ!、なっ! 何ですかソレ!?」
「これは自然系の[金剛]というスキルだ、この様にスキルは普通では考えられない事ができるし鍛えようでは更に上へ極める事もできる」
そう説明するとボスはスキルを解除して服の襟を整えると再び椅子に座り直した。
「じゃあ俺にも、そのスキルってものがあるんですか?」
「あるが、どんなスキルかは君が発動しないと分からない」
「よしッ! 俺もやってみます!」
すると友間は立ち上がってカマキリと戦っていた時の感覚を思い出してみる....。
段々とスキルの扱い方が分かってきた気がする。何と言うか体の一部を動かす感覚に近い、そう思っていると友間の体が全て木材へと変化する。
「よし!、上手くいきました」
「友間くん、君にはもう一つの鉄の姿もあるらしいね」
「はい、ちょっと待って下さい」
今度は友間の体が鉄へと変化したが、体は固苦しくなく普通通りに動くことができた。それもそれで友間にとっては奇妙な体験である。
「ん〜君のスキルは何だろうか.....」
「・・・・・・あっ!....俺、何か分かったかもしれません...ボス、ちょっとさっきの姿になってくれませんか?」
「んっ?、まぁいいぞ」
「どうも、少し失礼します」
そう言って友間はダイヤとなったボスの腕に軽く触れてみた、すると友間の体がたちまちダイヤの姿に変化した
「やっぱり....俺の予想、当たってました」
「それなら君のスキルは何なんだ?」
「はい、え〜と俺のスキルっていうのは・・・・・・」
- Re: スキルワールド ( No.6 )
- 日時: 2019/09/08 18:37
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
「はい、え〜と俺のスキルってのはたぶん“性質のコピー”です」
「性質の、コピー...?」
「はい、説明すると物質の性質を触れる事で使える様になるって事です......つまり石に触れば体が石になって、火に触れば体が火になるって事です」
「・・・・・・これはまた一風変わったスキルだ、なら君のスキルは性質のコピーであって自然自体を操っていないのであれば自然系ではなく超常系という事か......」
深く考えるようにボスは腕組みをし眉を細めている、すると友間は言い切るかのようにこうボスへ言う。
「まぁ、よく分からないですけど俺のスキルはさっきボスが言った超常系ってやつですよ...きっと」
「そうか....まぁだとしたら話は早いな、なら後で誰かにストラングの基地の中でも案内させよう、しかしひとまず此処から出てから物事を進める事にしよう」
そう言うとボスは立ち上がってドアへと近づくと友間を手招きして先に部屋から出るように促した。
数分ぐらい基地の通路を二人が歩いていると偶然通りかかった京八と出くわした。
「おう!黒奈!、元気にしてるか!」
「ああ、京八こそ元気そうだね」
「・・・・・・二人で喋っているところ悪いが京八、お前は友間に基地内を案内してやってくれ」
「おー良いっすよボス、行こうぜ黒奈」
「それとだ京八、今回の任務の成果について少し話がある、あとで私の部屋に来てくれ」
「...はぃ、分かりました.....」
その後、京八に食堂や売店、他にも様々なトレーニング施設などを案内され最終的にはストラング第2基地にいる人の数は900程という事と基地にいる人には一人一人の部屋がある事も分かった。
「おっし! じゃあな黒奈、俺は全部案内し終わったから覚悟決めてボスに会ってくんな」
「じゃ、じゃあ頑張ってね京八」
そうして二人はお互いに手を振って別れ、友間は京八から渡された手書きの紙を頼りに自分の部室を探すことにした。
「え〜と俺の部屋は.....」
_______ドンッ!
「邪魔だ!、俺様が歩いてるのが見えねぇのかッ!!」
尻もちをついた友間の目の前には、いかにもガキ大将というかチンピラというのか柄の悪い取り巻きを数人従えた大柄で太った少年が怒号を吐き散らしながら立っていた。
- Re: スキルワールド ( No.7 )
- 日時: 2019/09/08 18:46
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
「俺を見ずに何処見て歩いてやがった!」
「ど、どうもぉ〜」
友間はあまりの少年の怒りように引き気味に言葉を投げかけてみた、しかし少年の怒りはヒートアップしたようで、憤慨した顔で少年は友間の胸ぐらを掴んで体を引き寄せる。
「オイオイ舐めてんのか?」
「いえ、あなたを舐めても不味そうですので」
この一言で少年の怒りはピークに達し、友間を通路の床に投げ飛ばそうと両腕を高く掲げる。
「おいおい、もっと静かに出来ないのかよ?」
そんな声が憤慨する少年の背後から聞こえたかと思うと肩に誰かの手が置かれる、咄嗟に振り替えると見知らぬ少年が呆れ気味に立っていた。
「よお、俺は氷飴 零(ひあめ れい)だ、よろしく」
「邪魔すんな! 俺はコイツをブッ殺すんだよ!」
「いやいやストラングの基地内じゃ、殺しは“厳禁”だぜ?」
その声と共に肩に置かれた零の手からは周囲に向けて冷気が通路内に充満する。
「手を退かせ! お前もブッ殺されたいかッ!」
「やれやれ...一旦寝てな、フッ!」
そう言うと同時に友間を掴んでいた少年の顔に息を吹きかけると一息の間もなく少年の顔が霜に覆われ体が床に倒れ込んでいた。
「あれ、ちょっと加減を間違えたかな? まぁ死なない程度に抑えてるから大丈夫だろうけど」
「ありがとう...ございます」
「んっ? 良いって事よ、それじゃあ周りの取り巻きはどうすっかねぇ」
そう言って零が周囲の取り巻きどもに睨みをきかせると床に倒れた少年(親玉)を連れて何処かへと去っていってしまった。
「あいつら、新入りを虐めるのを遊びにしてるから気をつけろよ、じゃあまたな」
「あっはい、それじゃあまた」
こうして友間は新たに友達というものが増えた、まぁその話は置いといて友間は再び自分の部屋を探しに無人となってしまった通路を歩き出した。