ダーク・ファンタジー小説
- Re: スキルワールド ( No.53 )
- 日時: 2018/07/18 18:50
- 名前: マシュ&マロ (ID: BB67RT0Y)
「スキルの名前は『細胞コントローラー』、簡単に言っちゃえば自身の体の細胞全てを操れる、こんな風にね」
すると土神の左手が岩のようにデコボコとなり灰色の塊と化した
「今のは左手の細胞を操作して硬化させたんだ、これはどのぐらいの威力になるんだろうね」
「うわッと! ((ドガン!」
友間は気合いで何とか避けることができたが、もし避けられなかったなら先程までいた所のようになっていただろう
「ハァ ハァ ハァ ハァ.....けっこう頑張ったつもりだったんだけど、アンタには勝てそうにないみたいだな」
「そういう事。もし君からダメージを負ったとしても、細胞を新しく作っちゃえば済んじゃう話しなんだよね」
「そうですか....。だけど俺にも俺なりの戦い方があるんですよ。“性質<炎>”」
スキルを発動した友間だが、体から炎が燃え上がるどころか右腕に弱々しい炎が灯っただけだった
「そんな炎でボスを倒すつもりかい?、だったら面白い冗談だね」
「悪いですけど、お前を全力で倒すつもりです」
「面白い! 冗談より面白いことを聞けたよ」
「それはどうも・・・・・・。」
友間は飛び出そうと腰を屈めた、だがその瞬間に土神の背後から蘇芳が現れたかと思うと自身の血で作られた剣を両手で勢いよく降り下ろしたのであった
ーーバキンッ!!
血の刃は土神の肉を抉り切るどころか硬い肌に弾かれて後ろへと高らかに跳んでいってしまった
「えっ!・・・・・、え〜と....ハロ〜?」
「蘇芳! 何で戻って来たの?、シセラはどうしたの!?」
すると蘇芳の後ろからシセラが現れて、友間にこう言った
「た、助けに....来たんで、..す」
「それに仲間を助けるために仲間を犠牲には出来ないからね」
「感動的な友情の話をする前に、誰かを忘れてないかい」
「ええ、そこんところは大丈夫よ」
そう言って蘇芳は後ろにいるシセラに目で合図を送るとシセラは片手を差し出した、そして蘇芳はその手を血の剣の破片で突き刺した
「ッ!!、シセラッ!」
友間は一瞬だけ取り乱したがシセラの覚悟のある目を見たことで我に帰ると、シセラは土神の背に向かって飛び付いた
「なっ、シセラちゃんから抱きついてくれるとは嬉しいね」
嬉しそうな土神をよそに、友間は走り寄ってきた蘇芳に信じられない程の力で倉庫の外へと運ばれていった
「あっ! しまった、二人が逃げてしまっ・・・・・・」
「覚悟して...下さいね.....。」
“苦痛ノ解放”ッ!!
土神の言葉は最後まで言う前に、シセラを中心とした爆発が起こり音と光が全てを包み込んだのであった
ーードッガアァァアアアンッ!!
・・・・・・・。
どのくらい時間が経っただろうか、友間はのしかかってる瓦礫をどうにかどかすと辺りを見回した
「えっ・・・・。蘇芳?、シセラ?」
「う〜ん、いたたた。まさかここまでの威力があったなんて」
「蘇芳!?、良かった生きてて!!」
「あーもーちょっと離れてよ友間、ところでシセラは?」
友間は今までシセラの姿があった場所を見てみた、だが瓦礫の山が積もっているだけだった
「ま、まさかね、そんなはずは・・・・。」
だが瓦礫が降り注いできたはずなので生きてるかと考えれば難しいかもしれない、しかしそんな考えを拒絶するかのように友間は立ち上がると瓦礫の山へとヨタヨタと近寄ってみたところ瓦礫の山から声が聞こえた
「だから言ったじゃないか、君では勝てないって」
「ゾクッ)) まだ生きてるのか!?」
そう思わず友間が言うと、瓦礫の山から人影が姿を現した
「ヤッホー♪、それとシセラちゃんは生きてるよ〜」
そう言って気絶しているシセラを見えるように片手で掲げる土神、化け物にも思える相手を前に友間は恐怖とは別の感情が沸き立った
「・・・・・その手....、離せや」
「んっ?、離せ? どうしてだい?」
「その手を!、シセラから離せやッ!!」
そう友間は叫んだかと思うと右腕に弱々しく燃えていた炎が全身に燃え移り、炎が全身から燃え盛ったのであった
「まだ挑むつもりかい?、結局は全員殺されるというのに?」
「そんなのは俺の知った事じゃねぇ!、俺はお前を焼き殺すっ!」
どこから言葉が出てくるのかは分からなかったが友間はもう目の前の土神だけを見ていた、そんな友間の脳裏に声が響いてきた
(「友間様、私です!エンです!」)
「(えっ!、エン? どうしたの?)」
(「今こそ、スキルの本領を発揮する時です!、さあ何かを大声で叫んで下さい」)
「(何かって言われても....。んーじゃあ、シセラの真似になるかもしれないけど、借りるよシセラ・・・・・。)」
“性質ノ解放”ッ!!
そう辺りを震わせる程に叫んだ友間。そして次の瞬間、ジェット噴射のように全身から炎が吹き出し真夜中の夜を昼間へと変えた