ダーク・ファンタジー小説

Re: スキルワールド ( No.60 )
日時: 2018/08/01 10:27
名前: マシュ&マロ (ID: BB67RT0Y)



 ここで一つ友間の現状を報せたい。友間は今、自身の精神世界に漂っていた、そして目の前には赤く燃えてる少女“エン”がいた


 「う〜ん、俺の人生って結構短かったなぁ〜」

 (「ま、まだ死んではいませんよ......今のところは・・・・。」)

 「今のところ.....か..。」

 (「そんなに落ち込まないで下さいよ友間様っ!!」)

 「あっ、ごめんねエン。やっぱり落ち込んでじゃどうにもならないしね」

 そう言って笑ってみせる友間、その笑顔を見てエンは少しだけホッとした

 「まーそれじゃあ状況の把握だけど、俺の体ってどんな状態なの?」

 (「はい.....体の状態は一言で言ってしまえば深刻です。何とか私の力を干渉させて延命をしていますが、外部からの治療をしなければ数分ぐらいで死んでしまいますね」)

 「んー・・・・、じゃあ事態は深刻って事だね。あっ!、ところで俺が使ってた『“性質ノ解放”』って結局はなんなの?」

 (「それはですね、簡単に説明すれば性質を最大限に上昇させるもので.....いわゆる覚醒といった感じです」)

 「じゃあさ、炎の他にも使えるの?」

 (「たぶん使えはしますが、彼女たちが友間様を認めてくれるかが......。」)

 「えっとー、エン以外の性質の子のことだよね?、その前に認めるって?」

 (「はい、友間様のスキルは普通のスキルとは別物であり性質の一つ一つに意識があってそれぞれの意思があります。いいですね?」)

 「うん。それで問題は何なの?」

 (「えーっと...。私のように友間様の前に現れる事ができるのは友間を認めてる者だけなんです!」)

 「え?、でも他の子は寝てるとか言ってなかった?」

 「寝てはいますが意識はあるんですよ、寝てる状態では実力の半分も出せませんが友間様をスキルを保持する者として認めれば目覚める事ができるんです!」

 「あの〜近いんだけど、エン」

 (「はっ!、スミマセン! つい話に熱が入ってしまいました」)

 「まぁ、つまり性質に俺を認めてもらえば司ってる性質の力を解放できるって事で良いかな?」

 (「はい! そうです! その通りですよ友間様!!、あっ! それと言い忘れてたのですが性質の解放は短時間しか発動できないのが難点なんですよね」)

 「あー、だから急にスキルが解けたんだ」

 そんな事を言って自分なりに解釈できた友間だったが、そこに誰かが現れたのであった

 「えーと....?、アナタは誰ですか?」

 「やっと面と向かって会えました、友間“様”」

 「えっとー、何か知ってるエン?」

 (「いえ、私にもどうして彼女がこの世界に侵入できたのか疑問です」)

 警戒したように目の前の白髪の少女を見つめるエン、それに対して少女の方も応戦する

 「あのー、火花を散らしてる所で悪いんだけど。まずエンは落ち着いてね、それとアナタは誰ですか?」

 「私の名前はシロ、友間様を御守りする従者として来た者です」

 「・・・・・・・今まで色々と変な出来事とかに出会ってきたけど....、ちょっと整理する時間をくれない?」

 「いえ無理です、早くここから出なければなりませんので」

 「えっ?、どういう意み...うわっ!」

 友間が言葉を言い終わる前にシロと名乗った白髪の少女は友間を抱っこすると上へと勢い良くジャンプした

 「しっかり掴まっていて下さいね」

 そうシロが言ったかと思うと二人は消えていってしまった


 [〜 少し時間を戻します 〜]


 ここは全てが白い世界、そこにはノアという謎の男が立っていた


 「ここは電脳世界、色んな情報が出回ってて便利だぞ」

 そう言ってノアが空中に手を伸ばすと小さな画面が現れて様々な映像が流れ始めた

 「情報は武器だ、だがそれに相応しい武力を持っておかなければ意味がない」

 「お前は何が言いたいのだ?」

 そう殺気をバンバン放出しながらノアに訪ねるシロ、するとノアは画面から顔を反らすと素顔の見えない顔でこう言った

 「つまり、情報を殺すことなく活かせられる程の実力を持ってなければならない....という事だよ」

 そうノアが言ったかと思うと電脳世界の地面が揺れだしてノアの背後から巨大な何かが砂煙を舞い上がらせながら現れた

 「こいつの名は『デスオメガ』、この電脳世界の番人であり全ての物の破壊者だ」

 そう言ってノアの背後から現れたのは高層ビルにも匹敵する程の巨体をしており、片手には槍もう片手には鎌といった絶望と滅亡を象徴したかのような装飾品とローブに身を包んでいる死神が現れたのであった

 「お、おいジャッキー、これって状況的にヤバくねぇか?」

 「た、確かに正面からじゃ確実に無駄死にするわね。龍紀の意見は?」

 「ぼ、僕は逃げるに一票」


 そんな感じで視界の奥にいる死神に対して全員が死しか感じていない所へ、シロが一言呟いた


 「お前たちに頼みなのだが、少しの間だけ時間を稼いでくれないか?」

 「んっ?、何か作戦でもあるの?」

 「お前は確かジャッキーと言ったか?、最初に断っておくが作戦などはない」

 「えっ?、じゃあどうして私たちが時間を稼がなきゃなんないのよ!?」

 「まずは友間様の治療から済ませなければならないからだ」

 そう言ってシロは視線を友間へと向けると皆もその方へと向けた

 「確かにね。あのまま死んでもらっても罪悪感がするしね」

 そう言ってジャッキーは頭を掻いた後、山のように立ちはだかっている死神へと体を向けた

 「いちょう稼げるだけ稼ぐけど期待しないでよ?、それと治療ってどうやってやるの?」

 「そこら辺は大丈夫だ、方法は一つしかないしな・・・・・。」

 そのシロの言葉を聞いて皆は頭にハテナマークが浮かんだが、気にせずシロは友間へと近づくと何故か頬が少し赤かった気がした

 「では...。失礼します」

 そう言ってからシロは友間の唇へと前置きなしにキスをした、そしてその様子を見てジャッキーは反射的にシセラの目を塞いでしまった

 「「「「・・・・・、えっ!!?」」」」

 少しの間のあと皆から驚いている声が聞こえてきたのであった