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ダーク・ファンタジー小説
- Re: スキルワールド ( No.65 )
- 日時: 2018/09/10 18:46
- 名前: マシュ&マロ (ID: BB67RT0Y)
友間は今、ストラング内にある自身の部屋に座っているのだが、困ったような表情を浮かべて自身の目の前で会話をしている美香とシロの二人を見ていた。
「友間との出会いはいつ頃なの?」
「実のところ会うのも話すのもあの一件が初めてでして、友間さん自身も私のことを知らなかったと思います」
「うん! うん! 一目惚れってわけ。キャ〜友間のモテモテ〜〜」
「一目惚れ、というわけではないのですが.....」
「分かる! 分かる! 感覚で運命を感じちゃったのよね!」
「あ、いや、そういうわけでも....」
「話してる途中で失礼、それとちょっとシロは付いてきて」
「分かりました友間さん」
「ふーラブラブ〜。二人の子供が待ち遠しいわね〜」
「かあ〜)) えっ!、子供ですか!?」
「いいからシロは付いてきて」
シロを携えて洗面所に入ってきた友間はドアを鍵まで閉めるとまだ頬の紅潮しているシロにこう言った。
「お姉ちゃん、俺とシロのことカップルだと勘違いしちゃってるみたいだよ....」
「はい、私と友間さんは世界の運命で繋がっています」
「違うよ!、それは俺が世界の命運を握っているっていうやつでしょ?」
「はい、ですから友間さんを運命の時までお守りすることが私の宿命です」
そんな事を言っている二人だが、実はシロによると友間には世界の命運を左右する選択が待っているらしくシロはそれが訪れるまでの護衛だとか。
「シロが俺を守ってくれるのは分かった、でもこのままカップルだと勘違いされ続けたら最終的には結婚をしなきゃならないんだよ?」
「ケッコン?....あー、血痕のことですか」
「いや、何か言葉の意味が今違っている気がしたけど....まあいいや、お姉ちゃんが待ってるし行こっ」
「はい、友間さん」
子供については分かっているが結婚については全くもって無知だったシロと共に美香のいる所へ戻ってきた友間は少し心配しつつも先程まで座っていた場所に座り直したのであった。
「二人でキスでもしてたのかしら?」
「え!、えっ!? キ、キスですか!?」
「もうお姉ちゃん、シロをからかわないでよ。それにシロとは付き合ってないんだし」
「あら、それなのにどうして二人で暮らしてるのかしらねー」
「それはシロが俺とできるだけ近くにいたいっていうから.....」
「はい、友間さんは私が守ります」
「やっぱりアンタ達二人って付き合ってると一緒じゃない。 でさ、式はいつになるの? 5年後?、6年後?」
完全に友間の話を聞いていない美香はまだ頬が火照り気味のシロにそう聞いてみたが、当たってるようで間違った答えがシロから返ってきたのであった。
「シキ?.....あー、死期ですか!。私の場合だとまだまだ先になるかもしれませんね」
「そっか、まあ焦っても物事は決まった通りにしか進まないしね、ゆっくりとでも進んでいきな。それと弟の友間をこれからもよろしく頼んだよ?」
「はい!、私の命に代えてでも守り切ってみせます!」
「よしっ!、その意気だ!。そんじゃ私は失礼するよ、またな友間とシロ」
そう言い残して部屋から立ち去っていった美香、その様子を見てから友間自身もう後戻りができない程に勘違いされてしまったのだと思った。
「な、なんか色々あったけど今回ばかりは今からでも覚悟を決めた方がいいかもしれないな」
「えーと.....ケッコンの事ですか?」
「そう結婚、......それとシロってボスと知り合いだったりするの?」
「いいえ、昨日が初めてですが?」
「いや何かさ、二人が会った瞬間にシロもボスも顔見知りみたいな感じだったから」
「いえ、私は知りません」
シロ自身が話したがらないのか友間は肩を落とすと今の話は一旦打ち切りにして話題を変える事にしてみた。
「まー、ところでボスって今何してるんだろうね?」
天井を見上げながらそう言った友間、その横顔を見ていたシロは少し気まずそうな感じで頭の中に蘇った過去の思い出を押し殺した。
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一方その頃ボスはというと誰も見当たらないストラング内にある通路を足早に移動しながら誰かと電話越しで話していたのであった。
「おい美香!、会議までもう少しだぞ! お前は何処をほっつり歩いてるんだ?」
『そう騒ぐなって金森、えーと....あっ! おーい金森ィ〜ッ!!』
ふと顔を上げてみたボスは遠くから手を振っている美香の姿をとらえると軽く息を吐いてから美香との電話を切った。
「悪いな金森、ちょっと友間のとこへ行ってたからさ。それに“あの子”のことも気になってたしさ」
「シロの事か....。人生とは本当に分からないものだな....」
「感傷に浸ってるとこ悪いけど、さっさっと会議を終わらしに行きましょ」
「あぁ悪い美香、確かに今はそれが先決だな」
そう言ってボスは急に美香と共に立ち止まり一つのドアが開くのを待った。そして開いた先に見えてきたのは何十席にもわたり会議室と呼ばれる部屋の中には大勢の人間が座っておりボスはそこを歩きながらこの場の全員に向けてこう言った。
「今日は集まってくれてうれしいよ、幹部の諸君。それでは諸君らと共に会議を始めようか・・・・・・。」
- Re: スキルワールド ( No.66 )
- 日時: 2018/09/12 22:44
- 名前: マシュ&マロ (ID: BB67RT0Y)
会議は終始熱を帯びていた。反論による反論、飛び交うざわめき声。それに対してボスは自身が手を置いている机を壊れない程度に叩いて周囲の飛び交っているた声を静かにさせると落ち着いた様子でこう言った。
「これを“会議”だということを忘れるな。ただの大声だけの討論にするのなら他所でやってくれ、いいな?」
ーーゾワッ!!
この場にいた全員が何も喋ろうとはしなかった。全員でならボスに勝てるだろうが、先手を切って犠牲になることはこの場の誰も負いたくないリスクである。
「・・・・・・・それでは、ちょうど一週間前になるがここストラング第2基地のセキュリティーを軽々と突破したうえ、さらにはストラングへの宣戦布告を申してきたノアの件だが・・・・・・、この一週間で何か分かった者はこの場にいるか....。」
誰も手を上げたり立ち上がる者はこの場には居なかった。すると何処からか携帯の着心音が鳴り出したかと思うとボスの耳に一度聞いた事のある男の声が電子音混じりに入ってきた。
『やあ諸君、ここは今から始まるショーには実に最適な場だ』
そんな声が聞こえてきた後、ボスからして右側の幹部の座っている席から何かが飛び出してきた。
ーースタっ....!
「ふむ、ここは実に警備が手薄過ぎではないかね?」
「電子機器の中まで移動できるとはな、ノア」
「それは誉め言葉として受け・・・・・。」
ーーバキッ!!
ノアの素顔が見えない顔にボスの拳が一撃入って体勢が崩れ、その後は目にも止まらぬ速さでボスに床へと拘束されながらノアは倒れ込んだ。
「俺がストラング内にいる限り、俺自身がここの警備システムだ」
「ふュー。痺れる言葉の途中で悪いけど、後ろ取られちゃってるよ?」
その直後ボスの背後から突如として現れたドルスの蹴りが入る....が、ボスは何の反応も見せずに口を動かした。
「ああ、知ってたよ.....。だが喰らったところでダメージは負わないがな」
そう言っていると段々としてボスの全身がダイヤモンドに変化していき、周りからは指の骨がボキボキと鳴る音が聞こえてきた。
「確かに、基地自体の防衛力など裏世界の住人達からしてみれば紙切れ程度だろうが......だが、そのそんな基地の中には相手にしてはならない怪物どもがいる事を覚えておいてくれ」
周りの雰囲気が混乱から押し潰されそうな程の殺気に変わり、まるで視線の先にいるノアとドルスを食い殺したくてウズウズしているような得体の知れない野獣と言って等しいだろう。
「ストラングを舐めるなよッ!」
ーーバチンッ!!
ノアは得体の知れない何かを感じて反射的に体が動くと自身を抑えているボスを弾き飛ばした。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、確かにそうらしいな」
「おいノアっ!!、大丈夫か?」
「心配ない、大丈夫だ」
ノアはそう言っているが自身の左腕から激しい痛みを感じており折れているか骨にヒビが入ってしまったのだろう。
ノアは心を一旦落ち着かせると自身の荒くなってしまった息を整え、周りにいる幹部やボスを見回して言った。
「今日はお前らなどと戦いに来たのでない。 そう、一種のショーというところどろうね」
「ショー...?....、お前の遊びに付き合うつもりはない」
ボスはそう言ってノアへと近付こうとした瞬間、ボスの真横から次元の大穴が突然に開くと中から大量の何かが飛び出してきてボスをその波が飲み込んだ。
「どうだいサプライズだ。コイツらも君たちと遊べて喜んでいるよ」
大量の何かの正体は黒いローブに赤々した鎌を構える死神のような風貌の骸骨たちだった。
「コイツらは言うなれば電子世界の支配者、つまりデスオメガの分身であり子どものような存在だ」
「おいノア!、ホントにコイツらは使えんのかよ?」
「安心しなよドルス、コイツらの力は単体でも精鋭レベルだからね」
だがそう言った直後、死神の集合体の中心から何かが小さく聞こえてきたかと思うと次の瞬間にボスの片腕が飛び出してきた。
「なら安心したよ、この程度では俺たちを倒そうなんて不可能だからな」
次々と群がってくる死神たちを掴んでは潰し、また掴んでは潰していき徐々にボスのピカピカなダイヤの肉体が見えてきた。
「まあ、まだ余興だ。そしてこれがメインだッ!!」
ノアの背に次元の狭間が何十も出現すると次から次へと周りに死神が飛び散って行った。
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「そうそうシロ、その調子だよ」
「う〜ん、“リョウリ”というものは難しいものですね」
「いや、これ『卵焼き』だから難しくはないと思うけど?」
「私は昔から捕まえた生き物を丸焼きにしたりしかしなかったので細かい作業は苦手なんです」
「えっ!?、シロって今何歳なの?」
「んー・・・・・・、世界に文明ができ始めた頃ぐらいですかね?」
「えーと、その時は何処に住んでたの?」
「むー・・・・、色んな場所を旅していたので見当が....。」
「ならさ、日本に来たのはいつ頃なの?」
「んー・・・・、日本に漢字が伝わってきた時ぐらいでしょうか?。その当時は言葉も分からず川で魚を捕っていましたね」
「泳いだり、素手とかで魚を捕ってたの?」
「はい、そのあと日本に来る途中で捕まえていた亀の甲羅を改造して中に保存していました」
「・・・・・・・そ、それって背負ったまま泳いだりしてた?」
「はい、わざわざ毎回取りに行くのは効率が悪いと思ってましたし力加減も当時はまだ未熟で魚を殺してしまう恐れがあったので」
「ま、まさか皿とか頭に乗せてたりしてないよね??」
「えーと、皆さんが“ぷーる”という四角い箱の中で泳ぐ時などに被るような帽子のように私も似ているものを被っていましたよ?」
(あっ....河童の正体が明らかに...。)
「どうしましたか、友間さん?」
「あっ!、いや....まさか姿は見られてないよね??」
「えーと、たまに人を見かけるので世間に溶け込むには信頼が必要と思いまして挨拶をしたりしていました」
「でっ、結果はどうだったの?」
「全裸で泳いでいたのが原因で肌に苔や水草が付いてしまっていたようで、そのこともあり怖がれてしまいました」
(あっ.....河童伝説に終止符が...。)
どこか遠い目をしていた友間だったが焦げた臭いが鼻を刺してきたことで我に返ってみるとシロの焼いていた卵が目が当てられない程に悲惨な状態になっていた。
「あっ!、折角の卵を焦がしてしまい失礼しました友間さんっ!」
「俺の方も一方的にシロに質問しちゃってごめんね、まだ卵もある今度は俺が作るよ」
「いえ、己の主人に雑事を任せるなど失礼ですので....」
「いいから、俺も少しは料理はでき・・・・・・。」
ーープルル〜、プルル〜
「んっ?、あれ...お姉ちゃんからだ? もしもしお姉ちゃん?」
『あっ!友間〜、お姉ちゃんだけど敵が逃げ込んじゃってるから気をつけてね〜』
「え!、えっ! ちょっと今何て言ったの!?」
『そんじゃ友間、頑張ってね〜』
ーーガチャッ!!、ツー・・・ ツー・・・
「・・・・・敵が、逃げ込んでる....?」
「あれ友間さん、お散歩ですか?」
「うん、ちょっと基地内を歩いてくるよ」
「・・・・・・あの.....、気をつけて下さい」
「....分かった、約束する...。」
友間はまだ卵を焼くことに苦戦を強いられているシロと別れの約束をすると静かに....でも力強く部屋を出て行ったのであった。
「・・・・・むー、やはり止めるべきだっただろうか.....。あっ! しまった、また1つ無駄にしてしまった....」
- Re: スキルワールド ( No.67 )
- 日時: 2018/09/15 23:59
- 名前: マシュ&マロ (ID: BB67RT0Y)
友間は一人ストラング内の通路を歩いていた、だがどこか緊張しており慎重に一歩一歩を踏みしめていた。
(しまった、敵の見た目って分かんないんだけど大丈夫かな?)
「よっ!、黒奈っ!」
「うおっ!!、京八っ!?」
「何だよ?、俺になんか付いてんのか?」
「い、いや〜 そういう事じゃないんだけど・・・・・。」
友間が受け答えに困っていると京八の後ろから片腕にギブスが巻かれたジャッキーが現れて友間に話しかけてきた。
「久しぶりね友間!、ところでシロとは上手くいってるの?」
「はぁー、ジャッキーも信じちゃってるの?」
「何よ?、だって一緒に住んでるじゃないの?」
「ソレさ、お姉ちゃんにも言われた」
「まっ、そういう事で諦めなさいよ友間。それにシロのどこに不満があるのよ?、可愛いし良い子じゃない?」
「ただ俺は.....シロに見合うような人間じゃないと思ったんだ....。俺はシロより強くもないし何の覚悟もないから.....」
友間がそう言って下を向いていると突然 京八に軽く頭を叩かれ思わず視線を京八へ向ける。
「たくよー・・・・。あのな黒奈?、男と女に見合うか見合わないかなんて理由はねぇんだよ。 まー強いて言うなら自分の女を幸せにできるかどうかだな」
「・・・・・・ありがと京八、俺がバカだったよ」
「おうよ!、何があっても何度だって親友のお前を助けてやるぜ」
「ちょっと二人共!、大事なお話の途中で悪いけど厄介な迷子がいるみたい」
横から二人の話に入ってきたジャッキーの指差している方向を見てみた二人は自身の骨で雑音を奏でている死神らしき集団が目に入ってきた。
「まいったな、背骨の亀裂がまだ完治してねぇのにタイミング悪いな」
「同感ね京八、私もまだ片腕が使えないのよね」
「じゃあ俺がこの場を引き受けるから二人はサポートに回ってちょうだい」
「了解だぜ黒奈!」
「OK、友間!」
二人が後ろへ下がったのを確認すると友間は久しぶりにスキルを発動して目の前にいる集団へと体を向けて身構えた。
「性質<炎>ッ!!、さあ来いっ!!」
「黒奈!、いちょう気をつけろよ」
「うん、分かった」
友間はそう言うと前へと飛び出していき死神の集団に突っ込むと敵の攻撃に怯むことなく周りを掻き回した。
「うわ〜、黒奈って初めて此処へ来た時より断然強くなってんな」
「そりゃあ京八、友間は土神との一戦で死を覚悟で戦ってたのよ.....そんな奴が、弱いわけがないじゃない」
「俺も抜かれねぇように張り切らねぇとな、それとジャッキーも気をつけてろよ?」
「ハアッ? 何で私なのよ!?、私はまだまだアンタと違って大丈夫よ!!」
「分かんねぇぞ〜、何が起こるのか分かんねぇのが人生だかんな」
「ふんっ!、何か私も久しぶりに動きたくなったから友間に加勢してくるわね」
「おいおいジャッキー、腕の方は大丈夫なのかよ? まだ完治してねぇだろ?」
「私を舐めてもらっちゃ困るわよ」
“復讐劇・血”ッ!!
ジャッキーから禍々しいオーラが吹き出してきて次にはズカズカとした足どりで戦っている友間へと近寄っていくジャッキー、その様子に少し心配な目で見守っている京八であった。
「うっ!、コイツちょっと手強いな?」
「友間.....ちょっと下がっててくれる」
「え...?、あ..はい?」
友間が後ろへ下がった瞬間、恐ろしいというか驚愕というのか次から次へとジャッキーは敵を掴んでは地面に叩きつけてバラバラに破壊していき、それを見守る友間と京八は絶対に敵には回してはいけないと心に刻んだのであった。
「あ、あの京八・・・・・、ジャッキーを止めた方がよくない.....。」
「そ、そうだな黒奈。おーい! ジャッキー、そろそろで落ち着いた方が・・・・・・」
京八が制止を呼びかけるもジャッキーが最後の敵を骨の一本一本に分解し終えたあとだった。
「ふー・・・・・、いっちょあがりね♪」
「ジャッキー、俺京八だけど分かるか?」
「何よ?、私がなんかしたっていうの?」
「いや、ただ言ってみただけだ」
「そっ、なら良いけ・・・・・」
ジャッキーの言葉が終わってないタイミングで地面にバラバラになって転がっている骨が小刻みに震えはじめて何もない空中で集合していった。
「あー、やっぱもう片腕があった方が良かったわね・・・・・。」
次の瞬間、ジャッキーは吹き飛ばされ先程までジャッキーのいた場所の近くには一回りも二回りも大きくなった死神ような敵の姿があった。
「ジャッキーッ!? たくっ!、いくぜ黒奈っ!!」
「えっ!、俺も?」
「喰らえや化け物ッ!!」
京八の拳は敵の顎を粉砕するような勢いで直撃して追撃として友間の炎の拳が炸裂したが全く効いてきる様子は敵にはなかった。
「おい黒奈、まだ余裕か?」
「まだ大丈夫だよ京八、でもジャッキーの方は無事な・・・・・」
そうかけて友間の真横を誰かが突っ切っていった。最初はジャッキーかと思ったが残念ながら別の少女だったようで勇ましく敵に跳躍すると大きな敵の頭部に軽々と着地し、蛇の威嚇音のような音が辺りに響き渡ると共に少女は敵へと噛みついた。
すると敵の体から段々と小さきながらも小刻みな音が聞こえてきて最終的には大きな巨体が呆気なく崩れ去ってしまった。そして元戦場だった所から先程の少女が現れて京八と友間の顔を交互に見合わせ少しだけ息を吐くと一言二人に呟いた。
「ワタシは羽方ミレア。二人とも仲良くして下さいね?」
「「え、あ、はい...。」」
少し呆気にとられてしまった二人だが、ミレアに差し出された両手の握手を片っぽずつしっかりと握るとミレアの握手に二人はこう答えた。
「よろしくねミレア、俺は友間って言うんだ」
「でっ、俺は京八だ。よろしくな」
しっかり握られている握手なのだが、友間と京八の二人はもう一人のことを忘れている気がするが気のせいなのかな?
- Re: スキルワールド ( No.68 )
- 日時: 2018/09/21 20:32
- 名前: マシュ&マロ (ID: BB67RT0Y)
「改めまして私は羽方ミレア、よろしくね」
「ミレアね。私はジャッキーよ、よろしくね」
ミレアから差し出された手を握るジャッキーは、友間とさっき会った時と比べてボロボロとなっており少しいたたましく思えたがそんな事は気にする様子もなしに京八の声が聞こえてきた。
「まー敵も倒せた事だし、乾杯のコーラでも飲まねぇか☆」
「私はパスするわ、京八」
「どうしたジャッキー、つれねぇなあ?」
「ちょっとヤンチャし過ぎたみたいだから、新しいギブス巻いてくるわ」
「え〜・・・・・、じゃあ友間とミレアはどうだ?」
「私もパスするわ....。」
「あ、ごめん、シロを待たせてるんだ。しかも料理もやらせてるから何が起こるか分からなしさ」
「しゃあねぇな、そんなら俺一人で飲んで来るぜ」
そう言い残して京八が去っていくとそれが合図だったかのようにミレアと友間は自分の来た道を別々に戻っていったのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーガチャ....
「シロ、ただいま」
「あ、えーと、おかえりなさい友間さん.....」
「んっ?、何か言葉に困ってるみたいだけど何かあったのシロ?」
「お、落ち着いて聞いて下さいね友間さん!」
「うん、シロの方がまず落ち着こうか」
その後、友間の視界から消えたシロが手に持ってきたモノは世界の七不思議に匹敵するぐらい正体不明なドロッとした物体であった。
「・・・・・・え...? な、何コレ?」
「あ....その.....。た、卵焼き...です」
「た、卵焼き...? じ、じゃあ今晩も俺が作るよ」
「そ、その.....卵。全部使ってしまいました...。」
「ま、まあ他の食材で作っちゃえば・・・・・。」
「冷やそうと思って冷蔵庫に入れたのですが、全部腐らせてしまいました...。」
「って、事はまだまだ作った卵焼きがあまってるの?」
「はい、お恥ずかしながら冷蔵庫にたんまりと....。」
「・・・・・・まあ、意外と見た目と違って美味しいかもしれないし....味見してみるよ」
「え! ちょっ! 友間さん!?」
台所の近くにあったスプーンを取ると友間は勢いに任せて卵焼きの盛られた皿に突っ込ませると、そのままの勢いで卵焼きを口へと流し込んだのであった。
「ん〜、意外といけ・・・・・。」
ーーバタッ.....。
「ゆ、友間さんッ!? 大丈夫ですか!?、しっかりして下さい!!?」
「あーなんて綺麗な川なんだろうか...。」
「友間さん!?? ダメですッ!!、渡ったりしたら終わりですよッ!!?」
「あー誰か手を振っ・・・・・((ガク...」
口から泡を噴き、だんだんと意識が薄れていく中で最後にシロの声が聞こえてきた気がして友間は意識を失った。
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「ん....、う〜ん・・・・・。」
友間はどこかのベッドの上で白い天井を見ながら目を覚ました、感覚的に言えば学校にある保健室にいるような感じがする。
ーーギュウゥゥウゥゥゥ〜〜・・・・。
友間は突然として誰かに抱きつかれ強く抱き締められた、よく見てみると涙目になりながら抱き締められくるシロの姿だった。
「え....ここ、何処...?」
「ホントに良かったです......本当に良かったです....。」
「し、シロ? どうしたの?、それと何がどうなって・・・・・。」
そこへ誰かが近づいてくる気配して京八が勢いよく現れてきて慌てた様子で話しかけてきた。
「おい黒奈! お前ホントに黒奈だよな!?」
「う、うん....俺、友間だよ京八。もしかして忘れてた?」
ワケが分からずに自分自身を指差しながらそう言った友間。それに対して京八は震えはじめたかと思うと友間へと飛びついた。
「バカ野郎〜っ!!」
「ワッ! き、京八!? ち、ちょっと一旦離れてくれない!??」
「あっ、悪い.....ふぅ〜。しかしよー、お前よく生きてたな?」
「へっ?、“よく生きてた”??」
「そうだぜ黒奈、お前間違ったらシロの作った食物兵器で死んでたんだぜ?」
「し、死んでたッ!?」
「ああ、お前の意識が戻らないまま3ヵ月も経っちまったんだぜ?」
「さッ!、3ヵ月ッッ!!?」
友間は半狂乱になりながら今までの出来事を整理してみたが頭の方が理解に苦しみ、そのうえ突如として頭がクラクラとしてきて友間はベッドに倒れそうになった。
「うっ....頭が...。」
「お前はまだ寝てねな黒奈、またブッ倒られたら次は俺が倒れそうだぜ」
「ごめんごめん、じゃあもう寝るよ京八」
「おう!、それとだな・・・・・。」
するとそこへジャッキーとシセラの姿が見えてきて、ジャッキーは京八を押し退けると友間に一言呟いた。
「もーどうなる事かと心配したわよ。それに京八の慌てようときたら・・・・・。」
「し...シロ...さん、も...心配....してた...。」
「そうそう黒奈! あの時のシロの顔ってのは、もうこの世の終わりみたいな顔してたんだぜ」
面白そうに語っている京八のそれに対してシロはまだ泣き止まずにおり頬や目が熟れた林檎のように赤かった。
「確かにそうみたいだね。それと今度から食事の方は俺が担当する事にするよ」
そう言って友間は笑うと少しまた頭がクラクラとしてきたが、そんな事は気にならない様子でさらに笑顔を見せると周辺に皆の楽しそうな声が響いたのであった。
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